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第4話

Auteur: 酥不問(そふもん)
あの年、寒夜は彼女と一夜を共にした翌日、すぐさま彼女をみんなに紹介した。

その頃の鳴門と立樹も、彼女を歓迎してくれて、にこやかに「可愛いね」と褒めてくれたり、一緒にご飯を食べたり、どうやって輪に溶け込めばいいか親切に教えてくれたりした。

なのに今、彼女はただ目立たない隅の席に座って、彼らをじっと見つめることしかできない。長いこと見つめすぎて、目頭が熱くなってきた。

今日になって、菫は初めてはっきりと違いが分かった。

彼らの目に映る自分は、ただの暇つぶし用の玩具でしかなく、璃宛こそ心の奥底にしまわれた宝物――結局、同じじゃなかったのだ。

でも、それでいい。もうすぐ、あの契約書も期限が切れる。その時になれば、もう無理して馴染む必要もない。遠くへ行って、自分だけの居場所を探すつもりだ。

璃宛は感極まったようにグラスを両手で持ち上げ、頬を赤らめて彼らを見つめた。「みんな、昔のことは水に流して、私を許してくれてありがとう……カンパイ!」

その時、突然、骨ばった大きな手がグラスを覆い隠した。寒夜が、絶対に譲らない口調で言う。

「今夜はもう飲みすぎだ。酔っぱらったら、後で辛いぞ」

璃宛は彼の強引さに、ここ数日の冷たい態度を思い出したのか、唇を尖らせて涙ぐんだ。

「もう私のこと好きじゃないくせに、どうしてそんなに心配するの?寒夜、私を困らせたいんでしょ、いじめたいんでしょ!」

「違う」

寒夜は漆黒の瞳で彼女をじっと見つめ、押し殺すような声で言った。

「俺は、ただ……」

鳴門は見かねたように、思わず口を挟んだ。「寒夜はさ、もう二度とお前を失うのが怖いだけなんだ!甘いことは言えないやつだけど、あの時お前がいなくなってから、精神病むほど苦しんで、一度は死のうとまで思ったんだぞ、何年もずっと……」

「もう言うな」

寒夜が遮ると、次の瞬間、璃宛は泣きながら彼に飛びついた。

「寒夜、まさかそんなに……ごめんなさい、私が悪かった、もう二度とあなたの側を離れないから、信じて?」

寒夜はしばらく黙っていたが、腕だけはぎゅっと彼女を抱きしめていた。

「じゃあ……」璃宛は目を動かし、寒夜の肩越しに菫を見て、挑戦的に微笑んでから小声で囁いた。「寒夜、私と仲直りしたら、菫さんはどうするの?」

その言葉に、鳴門が先に笑い出した。

「彼女は寒夜が選んだ身代わりだろ。お前が戻ってきたら、当然お役御免だ」

誰かが続けて言う。

「そうそう、寒夜はみんな断ったのに、菫だけはちょっとお前に似てたから……」

璃宛はぱちぱちと瞬きをして言う。「ねえ、どうなの、寒夜?」

立樹が酒を一口飲み、笑って言った。「そんなの、聞くまでもないだろ」

「だよなぁ、まさか本命差し置いて、金目当ての身代わり選ぶわけないし?ハハハ!」

菫は彼らの言葉を聞けば聞くほど、心が冷えていき、体まで震えそうになった。

この数年、彼女は真面目に働いてきた。身代わりになるだけじゃなく、秘書としても、あらゆる仕事を手伝ってきたのに、彼らの目にはただの「寒夜にぶら下がる余計者」としか映っていなかったらしい。

だが、皆が好き勝手に喋る中で、肝心の寒夜だけは黙ったまま、何を考えているのか分からない。

璃宛はその沈黙に戸惑い、唇を噛みしめた。

重苦しい空気の中、鳴門がふと何かに気づいて、「うそだろ……」と信じられない声で言った。「寒夜、まさか本当に……」

「私、出ていきます」

突然、菫が立ち上がり、微笑んだ。「皆さん、私はちゃんと分かってますから。これは取引だったし、私の役目は終わりです。誰にも迷惑はかけません」

照明の下、彼女のワインレッドの長い髪がきらりと光り、きりりとした顎を少し上げて、鮮やかな顔立ちと微笑みが、見る者の目に焼き付いた。

その瞬間、誰も何も言えなくなり、皆が彼女を見上げるしかなかった。

そうだ、身代わりとはいえ、彼女は誰よりも多くのことをしてきた。むしろ寒夜を救ったと言ってもいいくらいなのに……

鳴門も呆然と見つめたまま、急に罪悪感を覚え、ふざけた調子で言った。「そんなに落ち込むなよ、菫。だったら俺と付き合うか?俺には初恋の人なんかいないし」

「……」

菫は目を逸らした。

その時になって、寒夜がようやく我に返ったように菫を見つめた。その瞳の奥は底知れず、恐ろしいほど深く沈んでいた。

しばらくして、彼は口元に皮肉げな笑みを浮かべる。

「自分から出ていくなら、その方がいい」

その方がいい。

たった数文字が、まるで刃のように胸に突き刺さる。菫は彼の目を見つめた。冷たく澄んだ表情、これまで何度も見たことのある、あの無関心なまなざし。

結局、最後の最後まで、彼はこんな風に、痛くも痒くもない顔をしている。まるで何もなかったかのように。

彼女の脳裏を、二人で過ごした五年間が駆け巡る。抱き合って眠った夜も、寄り添い合った日々も、耳元で囁き合った、あの激しい瞬間も。五年……猫や犬だって情が湧く年月だ。

菫は心の中で自嘲する。グラスを握る指に力がこもる。

そうね、結局はお互い利用し合っただけ。未練なんて、あるわけないじゃない。

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