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第5話 ​

作者: 怠け王様​
どのように救急車に乗せられ、どのように病院へ運ばれたのか、記憶は定かではない。

ただ、医師から「赤ちゃんはダメでした」と告げられたことだけは、鮮明に覚えている。

その子の誕生を心から望んでいたわけではないけれど。

それでも、一つの小さな尊い命が唐突に消え去ってしまったことに、傷つかないはずがない。

だけど、その子にとってはこれで良かったのかもしれない。

壊れてしまった両親のもとに生まれてくる必要がなくなったのだから。

私は半ヶ月ほど入院した。

その間、スマホが鳴ることは一度もなかった。

着信もなければ、メッセージも一つ届かなかった。

雅史は、まるで最初から私の人生に存在していなかったかのように、完全に姿を消している。

体調が少し回復すると、すぐに退院手続きを済ませた。

大した荷物はまとめなかった。

この街には、私物と呼べるものなど最初からほとんどなかったのだ。

私は実家への新幹線に乗った。

数時間の旅の道中、窓の外をものすごい速さで流れていく景色を眺めている。

不思議なことに、胸の中にはこれまでにないほどの解放感が広がった。

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  • 晴れゆく霧のように、静かに去る   第9話 ​

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