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第1210話

Auteur: 佐藤 月汐夜
雅彦があっさり承諾したので、桃は少し驚いた。だがすぐに表情を整え、問いかけた。「本当にいいの?ごまかしたりしないでね」

そう言うと、桃はベッド脇のスマホを手に取り、録音ボタンを押して、もう一度雅彦に言わせた。

証拠を残すためだ。美乃梨にも送っておけば、万が一雅彦が気を変えても安心できる。

桃の行動に、雅彦は困ったように眉を寄せた。自分はそんなに信用できない人間に見えるのか。

それでも、弱々しかった桃が久しぶりに張りのある表情を見せているのを見て、心のどこかで嬉しく思い、止めることはしなかった。

「じゃあ、もう一度言うよ」

「約束する。君が子どもたちを連れて出ていい。ただし、医者が退院を許可してからだ」

雅彦ははっきりと繰り返した。桃はそれを録音し、その短い音声データを見つめながら、久しぶりに明るい笑顔を浮かべた。

その笑顔を見た瞬間、雅彦の胸には嬉しさと切なさが同時に広がった。嬉しいのは、ようやく桃が自分の前で笑ってくれたこと。切ないのは、その笑顔が自分から離れられることに喜びを感じているからだ。

――それでもいい。もしこの約束が桃に病気と向き合う力をくれるのなら、自
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