ログインー夜ー
パソコンの前に座りキーボードを叩く。
当たり前の日常。私は小説家なのだから。
あたりを見回す。雑然としていた。
当たり前だ。私は家事が苦手だから。
「少し前までは……綺麗になってたのに……」
なんのことはない、隣室の友人が忙しくなって、私の世話をしなくなったから……依存だ……わかっている……彼は私の世話を焼く必要はない……わかっているのに……
今夜も隣室はお盛んだ。朝までだって珍しくない。
ただ……壁越しに聞こえる彼の声が……彼を呼ぶ声が頭に焼き付いて離れない……ただのノイズだ……これは……ただの……
……嫉妬だ……
「乙女か!」
私は、自分が思っていた以上に彼に惹かれていた事を自覚し、思わずテーブルを叩いてしまった。
「いやわかってたのよ!だいぶ前から!はいはい!そうです!好きですよ!これでいいですか!?」
こんな独り言を叫んでしまうほどには彼にやられてしまっていたらしい……
会いたい……会いたくない……こんな矛盾を抱えたままで、いつまで彼のそばにいられるのだろうか……
「だから乙女か!私は天才小説家"しずか"!理性、仕事しなさい!」
ー
「しずかさ〜ん。ここの表現なんだけど……」
「あ、これはね……こうすると幅がでるわね……」
最近は、彼の起こした[水Pプロジェクト]の事務所によく足を運ぶ。
流石と言うべきか……彼の本物を見る目は"本物"だったようで、ここに集まった子達は才能の塊だ。
吸収は早いしすぐに結果に結びつく。
私自身、ここで多くの刺激を受けて、毎晩筆の乗りがいい。
だが……
「ヤスタカさん♡取り敢えず滑り出しは上々ですよ!……まあ……赤字は想定内ですが……」
「ヤスタカ?あ〜なんか肩凝ったわ〜誰か揉んでくれないかしら……」
「ああヤスタカ?動画のここなんだけど……」
……彼は引く手数多なようだ……いつのまにか動画チームでも彼の評価は上がっているらしい……
しょっちゅう誰かが相談にきてきる。
ここは彼がいる事で上手く回っている。
彼には本来、サポートが向いているようだ。
……彼の才能は……ヤスタカの才能は、私が最初に気づいたのに……
だから!乙女か!ポエムを綴るな私の脳!仕事して!
……ダメ……ここは刺激が強すぎる……
ー
『あ……ん……ヤスタカさん……♡そこ……もっと……♡』
『ほら……ヤスタカ……ん……そう……後ろ?いいわよ♡』
『いろは、ようこの上に……』
今夜も隣はお盛ん……そうだった……家の方が刺激が強かった……
彼の息遣いが……私じゃ無い誰かに向けられて……
でもそれが私の選んだこと……けど……
「ん……ふ……ん……」
私は今夜も、壁の向こうの彼の熱を想いながら……私自身の熱に浮かされる……
(きっとまた……いろはちゃんに見透かされるのね……)
わかっていながらも……私の体は思うようにいかない……理性の殻に閉じこもろうとしても……指が……手が……私を必死に慰める……
「あ……ん……いい……ん、んん!……はあ……」
気づけば、"15cm君"はレギュラー入りを果たしている。ほぼ毎日お世話になっている大型ルーキーだ。
ー
「あ〜……ダルいわ〜……」
事務所に足を運ぶと、テーブルに突っ伏したようこがいた。
「……あんた……たまに顔出したと思ったら……なにその人のやる気を奪う態度……」
ようこは私の顔をチラリと見た。そして周りを見渡すと、事務所には私とようこ。それにお茶を入れているいろはだけだった。
それを確認して、ようこは語り出す。
「だってさ〜しずかも知ってるでしょ?ここを立ち上げる時のヤスタカの熱量……つまりあっちに全部影響出てて辛くて……♡」
……辛い……と言いながらも顔はニヤけていた。それがまた腹立たしい……
「……そう……でもあなた最近仕事してないでしょう?もう立派な給料泥棒ね」
ようこは急に起き上がって、蕩けた顔を更に緩ませてにじり寄ってくる。
「なに言ってるのよ……ヤスタカの“処理”こそここでは1番の仕事じゃない。いや〜大変で大変で……他の仕事が疎かになるのも仕方ないじゃない?」
コトン……
いろはが笑顔でお茶を持って来てくれた。そしてそのままいろははようこに圧をかける。笑顔のままで。
「……ようこさん……確かに大変ですよね……けど私はちゃんと毎日ここへ来て仕事してますよ?あれあれ?おかしいですよね……いつも先にKOされて、後は私に丸投げしてませんでした?それを?1番の仕事をしてるから?他が疎かに?ようこさん私のこと見えてます?」
いろはの圧にようこはぐうの音も出ない。それはそうだ。ここで1番の働き者は、ヤスタカを除けばいろはだろう。……夜も含めて……
それでもようこはなんとか声を絞り出す。今度は本当に辛そうに。
「でもさ〜いろはちゃん……そろそろ限界じゃない?ヤスタカ……またどんどん強くなって来てるじゃない……2人がかりでも正直手も足も出ないってゆーか……」
ようこの言葉にいろはも頷く。
「確かにそうですよね……ねえしずかさん……そろそろ……どうですか?」
あっけらかんと話を振ってこられて、私は動揺した。動揺させられた。……これも見透かされてるんでしょうね。見透かされてるならいっそ……いや、私はそうじゃない。
「いろはちゃん。前に言ったわよね?友達でいたいって……タイミングの問題じゃないのよ」
……もうバレバレでも私は必死に去勢を張る。
これが、私。
そんな私にようこが追い打ちをかける。
無理やり肩を組んで、耳打ちする。
「まあまあ……こんな時、私たちは私たちのやり方があるじゃない……理論武装……
友達なんでしょ?ならちょうどいい言葉があるじゃない
"sex friend"♡」
このバカは……パッと組まれた腕を振り払い、立ち上がる。
「それは理論武装とは言わないわ……それに、そんな関係…私が惨めになるだけよ……そんなの……私が私を許せない」
私はそのまま事務所を後にする。
なんてこと……なんて酷い言葉を吐いてしまったの……
私は自分を守るのに必死で……あの3人の関係まで否定してしまったのではないか……
今すぐ戻って謝罪を……
……できるわけない……
ー
「お、しずか」
ここしばらく、事務所に顔を出しづらくて家にいたのに……なんで会っちゃうかな……
まあ、お隣だから距離なんて取れるわけないか……
「なんか、久しぶり?最近事務所にこないからどうしたのかと……」
……そんな捨てられた子犬みたいな顔しないで……
……勘違いしちゃう……
「ちょっとね……自分の仕事が煮詰まっちゃって……」
「そうか、俺の方は後回しでいいから頑張ってな。
……それはそうと……」
来た!……あんな酷いことを言ったんだもの……2人から聞いてるわよね……
怒られちゃうかな……嫌われちゃうかな……嫌だな……
「あいがお前に会いたがってたぞ?なんか最近お前のこと"師匠!"って呼び始めてるけど……あいつなんとか出来ないか……お前がいないとうるさくて」
違った……ホッとしたけど……聞いてないとも言ってないし、聞いててスルーされるのは……胸がチクっと痛む……
「師匠って……あの子はホントに……
って言うか、わたしがいたってあの子はうるさいでしょ。あなたが誘ったんだからあなたが面倒見なさいよ……ふふ……師匠って……ふふ……」
なんだか笑いが込み上げてきた。
「いやそうなんだけど……爆弾処理班は多い方がいいだろ?
でも……安心した……」
「なにが?」
「しずかだよ。なんか暗い顔してたし……いろはたちも心配してた。煽り過ぎたって泣きそうな顔で。何かは教えてくれなかったけど……」
……ああもう……そういう言い方しないで。
心配してくれたなんて聞かされたら、距離置いてたこっちが馬鹿みたい……
こっちが勝手に意識して……勝手に苦しくなって……
でもあなたはいつも通りで、普通に話しかけてきて……
……好きだな……
認めたくなくても、結局またここに戻される。
あなたの声を聞くだけで、この気持ちは勝手に息を吹き返す。
……でも嫌じゃない……むしろ嬉しいなんて、絶対に言えない……
「もう……わかったわよ……近いうちにまた顔を出すわ……それまでは頑張ってね。爆弾処理班さん?」
ー
久しぶりに事務所に顔を出したら、ヤスタカは見当たらなかった。さっきまでいたと言っていたが……
「師匠〜!」
……あいが来た……
あいつ、私に押し付けたな?
「師匠!今までどうしたんだ!?みんな心配してたんだぞ!?」
抱きついてこようとするあいをヒラリと躱し、自分の席に着く……だって……なんか硬そうだし……
それにしても私……そんなに心配されるほど弱ってたのかしら?
「大袈裟よ……ちょっと小説が煮詰まってて引きこもってただけよ」
「そうなんですね……最近壁の向こうから何も聞こえないから……いえ、なんでもないです♡」
いろは……やっぱり普段聞こえてたのね……
そして今それを言うのか……
「それにしてもあれですね。全員集まるのって久しぶりじゃないですか?」
いろははなにか思いついたように話題を変えた。
「それは仕方ないですね。みんな在宅ワークできますから。
私もここの設備を使うときくらいしか来ませんし……」
ゆかりだ。確かに、私もそうだがここの子達はそれぞれで仕事ができる。ここの規約としても。
それでも顔を出すのは、相談事、設備の使用、在宅ワークゆえの人恋しさもあるだろうが、絶対に出勤しなきゃいけないわけじゃない。会社員ではないのだから。
今日も机に突っ伏しているようこが呟く。
「正直、ここまで来るのダルいわよね……動画チームの部屋はここから少し距離あるんでしょう?」
その言葉をりえが返す。
「そうですね……でも自分の部屋ではできない作業もありますからね……音響とか収録とかはどうしてもここの設備を使いたいです」
「もういっそここに住もうかしら……いや無理だわ……夜は絶対帰りたいし……ねえいろはちゃん?」
ようこが急にいろはに話を振る。
いろはは“余計なことを……”と言いたげな顔で呟く。
「一応、事務所の近くに寮を借りれないかと言う話はヤスタカさんとしてるんですけど……
中々いい物件が見当たらないんですよね……」
意外にも、寮に1番食いついてきたのはゆいだった。しかも聞いたことのない音量で。
「え!?本当ですか!?もし借りられるなら入りたいです!……あ……えっと……私も……往復大変で……防音の部屋って高くって……その……」
途中から、自分の声に驚いて尻すぼみになってしまった。要約すると、ゆいはとても耳がいい。良すぎてアパートでは他人の生活音のほとんどが聞こえてしまう。なので、防音は必須。
防音と防犯の充実した部屋を借りるとなると、どうしても郊外寄りになるので家賃も通勤も大変なんだそう。
そんな話をしていると、知らないうちにヤスタカが入ってきた。……あいから1番遠い席に……
「聞こえてたよ。
でもそうだよな……うん……考えてはいるんだけど……ここの近くとなるとなかなか無くてね……」
そうでしょう……今事務所を構えている辺りは、分譲マンションやテナントはあっても賃貸住宅は少ないエリア。
しかもプロジェクトのメンバー全員となるとさらに難しい。
「……もういっそのこと……いや、……ん?うーん……」
ヤスタカは、何かを閃きそうになったがうまく纏まらないようだった……
「まあ、みんなの意向はわかった。頑張って探してくるよ。
いろは、みんなの意見まとめといて。男には言えない条件とかあるだろうからね」
この話は一旦終了。いろはが各自に聞き取りをして、みんなも自分の仕事を終えて帰路に着いた。
ー
ゴソゴソ……
「さて、そろそろ時間かしら?」
私は、しばらく自重していた“慰め”をすべく、パンドラの箱を開いた。
……だって……ストレス溜まったら……発散しなきゃいけないでしょ?仕方ないの♡
……はっきり言ってただの開き直りだけど、仕方ない。
私は準備万端で隣の壁に近づく。
すると今夜はまだ始まっていない。代わりにヤスタカの声が聞こえてきた。
『なあいろは……つくりたいんだ』
『ひい!』
ピンポーン 私、“まあや”は、山奥の一軒家のチャイムを鳴らす。 ネットでこんな噂を耳にしたからだ。 人里離れた山奥に住まう、トップクリエイター集団の事を。 曰く、このハウスに入れば成功は約束されたようなものだと…… 例えば、視聴回数数百程度の動画のアカウントが日本でわずか数%の上位配信者に食い込んだとか。 ただ、悪い噂もある。 曰く、その団体の代表は、若い女性クリエイターを金で集めて性的に搾取していると…… 成功と性交を天秤にかけて……やかましいわ! こほん……つまり、私でもワンチャン成功できると言うこと!歌い手として! とはいえ、田舎から出てきてまた山奥の田舎に来ると言うのは正直複雑です。 でもそんなことは言ってられない。 動画で予習した限りでは、この巨大な日本家屋の中にとんでもない最新設備が備わっているとか。 だけど、設備だけで成功できるほどこの業界は甘く無い。なにか特別なノウハウが?いや、そんな怪しげなセミナーみたいな……歌い手として名をあげるのに、精神論のノウハウなんて学んでいる暇はない。 悪い方の噂にはちょうどいい田舎具合なのでしょうけど…… あれ?これは……早まったかも…… 成功したい一心であまり考えずに来てしまった…… そんな事を考えていると、玄関が開けられた。 しまった!チャイムを押していたんだった!「はーい。あなたがまあやさんね? ヤスタカ……代表から聞いてるわ。才能のありそうな歌い手なんですって?上がって。 ああ、私はしずか。小説家よ」&n
こんにちは、りえです。 皆さん私のことをチョロい女だと思っているようですが、そんなことはありません。 私だって、それなりに経験を積んだ大人の女です。 ほ、本当です!信じてください!ヤスタカさんが異常なんですよ! ー「さあいろは、帰りましょう」 ここは高校の教室。授業も終わり、部活に入っていない私といろはは帰る準備を整えていました。 そんなとき、いろはのスマホにLINEが……「ごめーんりえ!この間のおじさまからお誘い来ちゃった♡」「またですか?最近特に多くないですか?」 私の言葉に不思議そうな顔をするいろはは、確かに最近毎日学校終わりに誰かの元に行ってしまう。 なにやら2人の会話に齟齬を感じたいろははこともなげにこんな言葉を言い放ちます。「ああ違う違う。最近また人数増えちゃってさ。ローテーションしても毎日でも時間が足りなくて♡学校終わりから回らないと全員と会えないんだよね♡」 私はジト目でいろはを見ます。「回るって……ああそうですか。私には関係ありませんが、病気やトラブルは勘弁してくださいよ?」 何の話かといえばいろはのセフレの話です。 このいろはという子は、初体験は小学校、中学卒業の頃には経験人数が3桁に及び、女子高生というブランドが付いてからは加速度的に人数が増えていっています。 その間、“彼氏”と呼ばれる相手も何人かはいたようですが、彼女の性欲と多様なSEXへの探究心は、1人の男の背中には重過ぎるのです。 よって、“彼氏っぽい男”は絶えずいるのですが、いろはとしては1人に絞る気はないようです。前
いろはです。私の原点を語るとしましょう。 私の原点。即ちヤスタカさんとの出会いから、私が私になったと言えます。 それまでの私を語るには……BAN待ったなしの条例違反です。 ー 都内のソープランド。私の職場です。 経緯はアレですが、SEXが好き過ぎる私には天職でした。 今日も順調に趣味と実益の両立です♡「いろはちゃん。今日のラストは新規で90分、オプションは即尺とマットね。ラストだから延長ガッポリ稼いできてよ」「はーい♡私、明日休みなんで閉店朝でもいいですか?♡」「む……オプション追加できたらな?」「任せてください!タマタマも財布も空にしてやりますよ!♡」 ー「初めまして、いろはです♡」「初めまして、ヤスタカです。きょ、今日はよろしくお願いします」 ベビードールに身を包み、三つ指をついて出迎える私。 恐らく風俗経験が乏しく緊張が伺えるその人は40代後半といったところでしょうか。 白髪混じりの髪と、苦労を物語るほうれい線が浮かぶ顔。 身長はそこそこ高いし筋肉もありそうですが、“使うための筋肉”のようです。 ガテン系によくあるオラ付きが見えないことから製造工場勤務といったところでしょうか。「んふ♡緊張してるんですか?身構える必要ありませんよ♡どうかリラックスしてください♡良かったら敬語も無くして欲しいです。無理にとは言えないですけど……」 私は、相手が不慣れと見るや早速あざとく親密度を改ざんします。 少し悲しげな表情で上目遣いで“可愛いお願い
朝は驚いた。“私たちはみんな壊れている”。そう突きつけられた。ううん、突きつけられるまでもなく、このハウスが異常なのはわかっていたこと……だけど、ああもハッキリ言われると考えざるを得ない。思えば私はこんなんだったっけ?ヤスタカに恋して、ヤスタカについてきて、ヤスタカと交わって……これだけなら普通の恋愛。けどその間に7人もいるのは確かにおかしい……気がする……そんな関係も朝の話でどうなるやら……なんて思っていたけど……「ちょっとめぐみ……あなたここの倫理観に物申してなかった?なんで今日の今日で参加してるのよ……」夜。ここはヤスタカの部屋。朝の話で参加者が減ればヤスタカを独占できるかも、なんて思ったのに……「あははは……いやぁ普通じゃないとは思ってるのよ?けどまぁそれはそれ。“だからしない”とはならないわよ。気持ちいいSEXは別腹みたいな?あん!♡」「めぐみ、集中しろよ。全力が見たいんだろ?」「あ!そ、そう!遠慮しないで!ん!ん!♡あ、これヤバい!奥!潰れちゃう!あ"〜!」もう……ヤスタカの全力……私がお願いしようと思ったのに……というか、なんで全員いるのよ。朝あんな空気になってもすることはするとか……みんな性と思想が乖離しすぎよ……
「ん、ん、ん、そう……そこ!もっと……強く!」「くっ……!まだ!?ちょ……休ませて……」私は、男の人が崩れていく表情が好き。もちろん行為自体も大好きだけどね。でもハウスに住んでから、ちょーっと物足りないのもホント。ー「ふぅ!ようこちゃん……良かったよ」ベッドでうつ伏せになる男。タバコをふかす角度、満足げな表情と間。私はまだ足りないくらいだけど……でもこれくらいが“普通で日常”。大人の……恋愛ゲーム……気絶する方が、私の遍歴の中では異常事態。ヤスタカはバグね。「ふふ……そう?ありがと。じゃ、私は帰るわね?また連絡ちょうだい♡」「ああ、じゃあこれ、タクシー代。また連絡するよ」そう、これこれ。ドライでウェットな余裕ある大人の会話。そして私は余裕のある大人の女。妖艶で性剛で自由に生きる大人の女。ー「あ!あ!強すぎ!あ!あ!あ〜!♡……もう……無理……」バグには連戦連敗。なんならヤスタカも狙ってるわよね。ほんと、嫌な男。「あ、ようこ……またか……」
今日もハウスは通常運行。(これが通常?そんなわけない……はずよね?)不健全どころか、ハウスに来る前より健全だ。夜中に仕事をする人間が激減。朝起きて、ご飯を食べて、仕事して、夜はみんなでまったりと過ごす。夜型の多いクリエイター集団でこれは、なんなら一般家庭より健康的でしょう。(字面だけは……ね……)健康な大人の男女が交わるのも普通。むしろ、何もない方が不健全じゃないかしら?(そう思ってしまう自分がおかしいんでしょうね……本当は)大人数が暮らせばそういうことも……致し方ないんでしょうね。(致し方ない?普通は1対1。じゃなかったかしら……)……まあ、気を失うのが日常なのは、少し危険な香りがしなくもないけど。(うん、これは流石にアウト)ー「みんなおはよう!めぐみはさっきぶりだな」ヤスタカの、静かな朝の空気を切り裂く声。いつも思うけど、この人いつ寝てるのかしらね。ショートスリーパーってやつ?「おはよう。今日は朝ごはんの当番私だからね。他のみんなは?あいの拘束、ちゃんと解いてきた?」一時期少し悩んでたみたいだけど、すっかり晴れやかになって……罪悪感は消えたのかしら。ううん、違うわねこれは。抱えたまま前を向いている……そんなとこ