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7話/ヤスタカ。立ち上げる

last update Tanggal publikasi: 2026-07-06 06:32:51

……先に言っておこう……これは完全に合意であると……

「あ……あ……あ〜……♡」

「んふ♡どうですか?ようこさん……見えないの……興奮……は……してますね♡」

俺の自室。ベッドルーム。目隠しで拘束された黒髪の美女と、それを見て楽しむ小悪魔系美女。

そして、それを眺めながら一息つく俺。

「……なあようこ……お前知ってたよな?あいの……性癖……」

ようこは、呼吸を乱し、体の奥から溢れ出る熱に浮かされるように答える。

「ん……ええ……んん!知ってたわよ?あ……けど、仕事の話とは……ん♡関係ない……かと……んん♡」

目隠しされて、次々といろはが与える刺激に耐えながら、ようこはしれっと言い放った。

自分が置かれている状況をわかっているのかいないのか……

「それともなに?あ、ああ!……あいのことも……ん……手を出す気だった?あん♡」

俺はゆっくりとベッドに上がり、ようこの頬に触れる。

ビクンっとようこの体が跳ねる。

拘束具がかちゃりと音を鳴らすと、ようこは切なげに口を開ける。

……クプ……

「確かに関係ない……手を出す気もない……けどなぁ!実生活に影響するレベルのは伝えとけよ!」

……もう一度言う。これは完全に合意であると……

翌朝……ではなくもう昼か……

いつもより少し負担の少なかったいろはは元気に家事をしてくれている。

2人で昼食を食べようとした頃、ようやくようこが起きてきた。

昨夜は"意趣返し"がメインだったので、かなりの時間ようこのターンだった。

そんなこともあり、ようこはいつもよりも更に腰は砕け、疲労困憊の様子だった。

「おう、おはようようこ。昼ごはん食べられるか?」

「……無理……あんな快楽漬け……バカになる……抜けられなくなる……いいか……抜けられなくても……」

返事なのか独り言なのかもわからないトーンで、ようこはブツブツ声を発した。妙に艶っぽい声音で……

ようやくようこが落ち着きを取り戻した頃、いろはが話を切り出した。スマホの画面を見せながら。

「この間、動画編集してる友達がいるって言ったじゃないですか……その子がちょっと良くない状況にありまして……」

スマホのメッセージにはこう書かれていた。

"この間いろはが言っていた互助会?の話、ちゃんと聞かせてくれませんか……なんか……エッチな依頼をこなせばお金くれるって言う……この際、動画を続けられるならいいかなと思いまして!お願いします!"

「……」

「……」

「なん……っで!みんなしてそっちの発想になるんだ!?」

酷い風評被害だ!あれか?あいが広めてるのか?いろはがそんな言い方するわけないし……あいだな!

「なんででしょうね〜……ちゃんとした互助会って説明したはずなんですけど……」

いろはは困った顔をしていた。

そんな俺といろはの困惑を、涼しい顔でようこが応える。

「そりゃ怪しいわよ。

これまで日の目を見なかったクリエイターがよ?聞いたことない組織が

“生活費面倒見ます。その代わりちょっとお願いがありまして……”

なんて聞かされたら……悪魔との契約か変態成金の道楽だと思うわよ普通……」

……確かに……そこだけ抜き出されたらそうかも知れない……

それに今議論しないといけないのは、いろはの友達のことだ。

自分で言うのは癪だが、そんな怪しい組織の話を聞きたいなんて……相当追い込まれているのだろう。

話によっては助けてあげたい。いろはの友達なら尚更だ。

「いろは……この子……りえ?と話をさせてくれないか?」

いろはに連絡をお願いしたら、すぐに返事が返ってきた。本当に切羽詰まっているのだろう。

……見知らぬ人に体を預けなければいけないほどに……誤解なんだが……

そうと決まればすぐに行動だ。まだ動けないようこを置いて、俺といろはは待ち合わせ場所に向かった。

ファミレスの椅子にちょこんと腰掛けて俯いている女性……か?少し幼くは見えるが、なかなかの美少女だ。

ボブカットの黒髪で、赤みがかった目が特徴的なその子は、いろはを見るなり立ち上がり、横に立つ俺に頭を下げた。

「はじめまして……りえと申します……その……いろはほどの体ではありませんが……その……大丈夫……でしょうか……」

……まずこの人聞きの悪い誤解を解こう……

俺は口を開きかけたが、いろはが先に声を出す。

「りえちゃん……だからそれは誤解だって……ヤスタカさんは本当に困ってるクリエイターを助けたいんだって……何回言えばわかってくれるの?」

「し、しかし!話がうますぎるじゃないですか……確かにいろはのことは信用していますが……ネットでこんなのを見てしまったら……」

スッと差し出されたスマホを覗き込むと、表示されていたのはあいのSNSのようだった。

そこにはこんな言葉が……

"先日、知り合いからこんな話を聞いた。若いクリエイター専門の互助会というもの……これはあれだ!いやらしいことをさせるに決まってる!お金をチラつかせて抗えない私を……ああ!なんという甘美な!"

……はい……犯人確定……こいつはあれだな……逆に手元に置いておかないと俺が破滅するヤツだ……

取り敢えずあいは金より先に名誉毀損をチラつかせて黙らせよう……それより今はこっちが先だ。

「……ああ……うん……知ってるヤツだけど……うーん……」

困った…まだ何も形にはなっていないので、否定する根拠が提示出来ない……

この互助会……行政への申請がいらないようにしたのが仇になってしまった。

「そう……ねえりえちゃん、じゃあここに来たってことは、覚悟があるってことでいいんだよね?」

いろはは、誤解を受け入れるような言い方をした。止めかけた俺を目配せで制する。

りえは、しばらく黙った後、コクンと頷いた。

「それはりえの独断?それともチーム全員の総意で、みんなしてりえの体を差し出そうってこと?」

この言葉に、りえは弾かれるように反発した。

「そんなわけありません!私のチームにはそんな人はいません!

むしろ、そうならないためにめぐみさんが前の環境から引き離してくれたんです!

……だから……こんなことを言うのは図々しいかも知れませんが、どうか私1人の体でチームを助けてくれませんか?」

泣きそうな……いや、泣いていたかもしれない……

こんな悲壮な覚悟でこられたら助けないわけにはいかない。もちろん体は差し出さなくていいが……

俺も覚悟を決めてりえに言葉を返す。

「……わかった……事情は聞いている。君たちのチームが瓦解して、制作もままならない状況なのは把握している。

……君たち全員を受け入れよう」

なんとか軟着陸成功……かな?りえは熱くなって聞く耳を持たないし、ここが落とし所か。

だけどやっぱり早く誤解は解きたいな……

俺の言葉に、りえはようやく笑顔を見せてくれた。やはり美少女だ。それに仲間想いだ。

そして、実は彼女たちの動画も見たことがあり、凄い才能のあるチームだと言うことは知っていた。

そんなチームを丸ごと受け入れられたのだから、風評被害を差し引いてもあまりあるプラスだ。

「……では……その……"あなたの依頼に沿う体かどうか"の面接はいつにしましょうか……」

りえはまた俯いてしまった……

「その件については後日相談しようか。それよりも、チームの人たちにはりえから話しておいてくれるかな?急いで参考になる形を作るから、そのあとでチームの人たちを紹介して欲しい」

「わかりました。では、連絡お待ちしています」

ここからは更に大忙しだった。サイトの作成、労務周り、契約関係の整理、事務所兼スタジオの契約、名刺の作成にスーツの新調。

……スーツなんて年に1回着るか着ないかの俺がねぇ……なんて感慨に耽る間も無く時間が過ぎていく。

そして、いろはやしずか、ようこと話し合って決めた名前。互助会(仮)改め、[水Pプロジェクト]の誕生だ。

俺、"水上ヤスタカ"の水、プロデューサーのP、様々なクリエイターを支えるプロジェクト、合わせて

[水Pプロジェクト]だ。

まだ看板もない団体だが、これで形は整った。

まず初めに行ったのは、全員の顔合わせだ。

新しい事務所に全員を集めたのだが、これが大変だった。

まず、あいだ。

ちゃんと誤解したまま現れたあいを捕まえて、例のSNSを削除させた。

そして、あいが待ち焦がれた爛れた主従関係は存在しないことを契約書で確認させて、渋々契約書にサインした。

「なんてことだ……楽しみにして来たのに……いや……金銭面では願ってもないが……ああ……いや、仕事はする。そこは任せてくれていい……だけど……」

なんで残念そうなのかは俺にはわからないことにしておこう。きっとその方が平和だ。

そして次にりえ達のチーム。

連絡した段階で誤解は解けていたが、改めて顔を会って謝罪したいと言われた時には困ってしまったが……

けど今日は顔合わせ。謝罪から始まってしまった。

「ヤスタカさん!ほんとーに!申し訳ありませんでした!」

深々と頭を下げるりえ、その周りでチームメンバーからも頭を下げられた時は本当に困った。

「全く……本当にごめんなさい。この子……悪い子じゃないんだけど、責任感が強すぎると言うか……」

どうやらチームのリーダーらしい女性……めぐみが間に入ってくれた。

めぐみは、背が低く、りえよりも幼い顔つきで、栗色の長い髪が余計に幼さを感じさせる。

……あと、ピタッとした服のせいだろうか……お世辞にも大人とは言い難い体のラインが強調されている……

しかし内面はしっかりしていて、スパッとメンバーを引っ張っている理想的なリーダーのようだ。

動画の統括や脚本までしているというのだから大したものだと思う。

「ほら、りえさん、とにかく頭を上げて下さい。これ以上は逆に失礼ですよ」

「そ、そうですか?そうですね!では改めまして、りえと言います!動画編集を担当しています!これからよろしくお願いします!」

きっとこれが素なのだろう。元気いっぱいで好ましい。

俯いて泣きそうな顔よりも断然いい。

「ゆかりと申します。イラスト関係の依頼であれば私が引き受けますので、どうかよろしくお願いします」

こちらはゆかり。動画のイラストの他、個人で絵師やロゴ作成などの仕事もこなす、この手の業界ではそれなりに有名なイラストレーターだ。

……かく言う俺も彼女の絵のファンで、自分で言うのもなんだがファン第一号だと自負している。

もちろん本人には言うつもりは無いが……

ゆかりは、なんというか神秘的な雰囲気を持っていた。どこか浮世離れした感じで、イラストの世界観とマッチしていた。

「あ、ゆいです……音響周りを担当しています……」

ゆいは……まだよくわからないが、この子もかなりの美少女だ……淡いふわっとした印象の黒髪と、同じくふわっとした服が相まって、成人女性には見えない。

今の所これで全員……だな……

ようやく顔合わせも終わり、いよいよ水Pプロジェクト本格始動だ。

……何人か怪しげな子もいるが、今はそれでいい。

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