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第594話

作者: 一匹の金魚
礼央は、この事態が何ひとつ変えられないものであることを痛いほどわかっていたのに。

自分は理由もなく侮辱され、わずかな希望を見せられたと思ったら、すぐにそれを奪われ、一気に絶望の底に突き落とされた。

この瞬間、萌寧は耐え難いほどの苦しみを感じ、心の支えが今にも壊れそうだ。

彼女はこの結末を受け入れられず、礼央が自分を裏切ったことも受け入れられなかった。

全てが順調だったはずなのに、なぜこんなことになってしまったのだろう?

萌寧には理解できなかった。礼央との間には明るい未来と無限の可能性があったはずなのに。

なぜこんなことになってしまったのだろう――

萌寧の顔に、納得のいかない笑みが浮かんだ。

礼央の父親は公徳で、高瀬家は政界とのコネがあり、顔も広い。この中にある利害関係を知らないはずがない。

礼央はゆっくりと立ち上がった。

「できないと知りながらあえてやったのなら、その責任は自分で負うべきだ」

礼央の目は冷たく澄んでいて、萌寧にはまったく見慣れない光景に映った。

「礼央、私たちの間には何か誤解があるんじゃない?以前は全てがうまくいっていたのに」

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