パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない

パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない

last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-28
Oleh:  笠井未久Baru saja diperbarui
Bahasa: Japanese
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最後に一目見ることができればよかっただけなのに どうして……。 場違いなパーティー会場に、淡い初恋を忘れるためにきた咲良。 アルコールも手伝い大胆に誘ってしまったが、逃げ出してしまう。 それから二年後…ママとなって恭弥と再会した咲良。 二人の恋の行方は? 近藤咲良 26歳 ✖️ 松前恭弥  30歳 世界に誇るMATUMAEグループ 御曹司 一夜の過ちから始まる恋

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Bab 1

STORY 1

プロローグ

 強烈に惹かれる。そんなことがあることを、俺は知らなかった。

 クイーンサイズの大きなベッドの向こうには、きらめく夜景が見える。

 都内でも有数のホテルのスイートルーム。ひとりで眠るには広すぎると、ホテルの好意にすらうんざりしていたが、こうして彼女を組み敷いている今、感謝するしかない。

「君から誘った。今なら撤回できるけど?」

 本当は今断られても、まったく離せる気などしない俺だが、余裕を見せて笑ってみせる。

「しません」

 はっきりと聞こえたその声に、俺は嬉しかったのだろうか。何も考えたくなくて、それ以上の言葉を聞きたくなくて、強引に唇をふさぐ。こんな俺は最低でしかない。それでも俺は――

 その手に抱いた温もりに、生まれて初めて感じる喜びと、誰にも譲りたくないと思うほど怖い、自分の感情。

 きっと俺の方が、君を先に見つけていた。

「抱いているのは誰か、よく覚えておけ」

 そんな陳腐にも思えるセリフだが、心からの想い。

 どんな罰を受けようが、俺は諦めない。そう思うのに、それは許されないのではないかという疑念が頭をよぎる。

――どうして君は帰らなかったんだ? まだ逃げられたのに。

 そんな思いを込めつつ、目の前の透き通るほど美しい瞳を見つめても、答えは見つからない。

 好きだとも、愛してるとも伝えられない俺は、ただ君の名前を心の中で何度も呼んだ。

 

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STORY 1

 眩いばかりのシャンデリアが輝く、天井の高い大きな広間。フロアの真ん中では、コックコートに身を包んだ数人のシェフが腕を振るい、その前には美しい料理の数々が並んでいる。

 その中にいる、様々な鮮やかな色のドレスを纏った美しい女性や、正装の男性たちがキラキラと輝いて見える。各々に歓談しつつ、料理やアルコールに舌鼓を打つ大人のパーティーだ。

 それが、世界的大企業であるMATUMAEグループの新事業発表会。それに招待された人たちだ。

 都内でも有数の格調高いベリが丘タウンにある高級ホテルのパーティー会場。その中で私はかなり緊張しながら、この場に立っていた。

「そんな緊張するなよ。咲良」

「そんなこと言ったって……」

 隣でこの雰囲気にばっちりと溶け込み、余裕な笑みを浮かべるその人に、私は小さくため息をついた。

「一目でも見たいって言ったのは君だよ」

 急に変わった言葉遣い。

 ウェイトレスからシャンパンを受け取る姿も様になっている。その相手である松前元樹は、私をジッと見据えた。

「そうだけど、やっぱり場違いよ」

 そう答えた私は、キョロキョロと周りを見渡す。近藤咲良。どこにでもいそうな平凡な人間だ。背中までの髪は今日は美容院でセットしてもらっているが、いつもはひとつに結んでいる。

 目だけはパチッとした二重で、唯一人並みと言えるかもしれないが、それ以外は本当に普通の人間だ。いつもは、この高級ホテルであるBCターナルホテルに勤める二十六歳だ。

 この場所は、駅を中心に広がっている街で、ビジネスエリアにはホテルはもちろん、オフィスや展望台があるツインタワーがあり、サウスエリアには高級レジデンスや住宅街が広がる。そして、ノースエリアは緑豊かな高級住宅街となっており、多くの富裕層が住んでいる場所だ。

 そういったところに勤務しているため、富裕層の方々と話すことはある。

 しかし、それはいちスタッフとしてだ。

 この一、二を争う高級ホテルのパーティーに、自分が参加するなど想像もしたことがない。

 しかし、今は見知ったスタッフにバレないようにしつつ、シャンパンを受け取っている。

「ほら、綺麗なんだから自信持てよ。別に今日は休みなんだし、ホテルスタッフに知られても問題はないだろ? それに、今日が出勤最終日だった?」

 クスッと笑う元樹は、私の大学時代の友人だ。そう、本当にただの友人で、それ以上でもそれ以下でもない。

 高校の同級生で、ずっとグループで仲がよく、この主催であるMATUMAEグループの次男だ。MATUMAEグループは世界中で知られているIT企業で、システムの構築やセキュリティなども一手に担う大手企業だ。

 初めて友人たちと彼の実家に遊びに行ったときは、度肝を抜かれたものだ。高級住宅街の中でも、一際目を引く豪邸。

 しかし、本人は至って普通の感覚を持っていて、御曹司ということを言われなければ気づかないような気さくな男性だ。

 高校も一般的な私立高校で、彼が御曹司だということは実家に行くまで知らなかった。

『どうしてこんな普通の高校にいたの?』

 そう聞いた時には、なぜか悲しそうな表情をしたことを今でも覚えている。

 しかし、そんな彼はやはりパーティーの女性たちの視線を一身に集めていて、世界が違う人だと改めて感じてしまう。

「そうだけど、やっぱり帰ろうかな……」

「いいの? せっかく兄貴に会えるのに」

「それは……」

 ここで出された“兄貴”という言葉に、ドキッとして俯く。ここまでして私がこの場に来たことには、もちろん理由がある。

 そう、元樹の兄である恭弥さんをひと目見るためだ。

 大学時代、元樹の実家はかなり大きなお屋敷で、元樹の部屋は離れになっていて、みんなで勉強をしたり遊んだりするのにうってつけだった。ゼミも同じだったこともあり、男女数人、いや多い時は数十人が、朝まで誰にも邪魔をされず討論をしたり、レポートを書いたりと、いつも元樹の家に入り浸っていた気がする。

 私は誰よりも彼の家にいたかもしれない。もちろん、純粋に勉強をするためだということに嘘はない。

 しかし……。

 心の中の本音は、彼のお兄様である恭弥さんに会いたい。

 その思いが、心の半分ぐらいを占めていたことは事実だ。

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4 Bab
STORY 2
初めて彼の家の庭で会った時、一瞬でその瞳から目が離せなくなった。『こんにちは』 華やかで社交的な元樹とは真逆の、どこか影のある漆黒の瞳。心地よく耳に響くテノール。 それから私は、彼の姿を探すようになった。実家には住んではいないようで、仕事の関係で実家に戻っている時だけ姿を見ることができた。 遠くから見ている私に、元樹はすぐに気づいたと思う。『兄貴はやめた方がいい』 元樹がそう話す理由は聞きたくなかったし、もちろん彼ほどの人に決まった女性がいないわけがないし、別に彼の特別になりたいなど微塵も思っていなかった。 私は奥手な人間だったし、ただ見るだけで満足していた。 しかし、だんだんと月日だけが経ち、恭弥さん、恭弥さんとアイドルのように騒いでいる私に、現実を知った方がいいと、元樹がこのパーティーに誘ってくれたのだ。 もちろん、恭弥さんは私のことなど知るはずもない。挨拶程度しかしたことのない女が、ずっと想っていたなど、一歩間違えばストーカー行為だ。 ほとんど会話らしい会話をしたことすらない、元樹のたくさんいる友人の中のひとり――そんな立場の私。「別にいいの。私は結婚願望もないし、本当に芸能人みたいなものなの。最後にひと目だけ見たかっただけ。自分への誕生日プレゼント」 私は、今日でこのホテルを退社して、実家へ帰る予定をしている。 仕事も楽しいし、やりがいも感じていたが、実家の母の体調が悪く、和菓子屋を営んでいるため、それを手伝うことにしたのだ。 この年まで好きにさせてくれた両親には、とても感謝をしている。「そんなこと言ってると、あっという間にばあさんになるぞ?」 今日の元樹は、シルバーグレーの明るめのスリーピースに、胸元には赤のスカーフ。ダークブラウンの髪はカチッと固められている。 華やかな印象で、少し軽そうに見える彼だが、本当に優しく、一途に好きな人を想っている人だ。 だからこそ、ずっと夢見がちなことを言っている私に優しくしてくれているのかもしれない。「元樹さん」 そんな話をしていると、彼を呼ぶ声に私たちは振り返った。そこには今日の主役である彼のご両親、そしてその後ろには、すごいオーラを放った男性が一緒だった。 その姿に、ドキッと胸が高鳴る。「紹介するよ。知ってると思うけど、俺の友人の近藤咲良」「ご無沙汰しております」 何度
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STORY 3
しかし、なぜか最近、避けられているらしい。このパーティーのケーキも作ると聞いて、元樹はパーティーに出席することに決めたのだ。 今日は、元樹は彼女と話すために、普段は来ないパーティーに来たのだ。ここは私がいなくなるべきだと悟る。「あの、恭弥さん。あの、教えていただきたいことがあるんです」 あの、と二回も言ってしまい恥ずかしくなる。けれど、意外にも恭弥さんも何かを悟ったのか、特に拒否の言葉は聞こえない。「あちらでいかがですか?」「あっ、はい」 元樹に気を取られていた私は、かなり大胆なことを言ってしまったとハッとする。だが、すっとスマートに腰に手を回された。「じゃあ、あちらで」 サラリとエスコートされ、フロアの一角にあるカウンターのバースペースへと案内された。 カウンターには顔見知りのバーテンダーがいて、私を見て一瞬驚いたような表情を浮かべたが、さすがプロというべきだろう。 すぐに笑顔を浮かべた。「すみません、急にお誘いして」 何も言わず、ただグラスを傾けている恭弥さんに、私はたまらず声をかけた。「あの、ありがとうございました。これだけいただいたら失礼しますね」 今日の私の、“恭弥さんをひと目見る”というミッションは達成したし、もう思い残すことはない。 こうしてグラスを傾けられただけで、幸せな思い出ができた。これで前を向いて、新しい恋をしよう。 そう思いつつ、私は席を立とうとした時だった。「教えて欲しいことって、なんだった? それに誕生日なんだよな。もう少し祝わせて」 そう言えば、そんなことを言って誘ったことを思い出す。もちろん、彼のようなハイスペックな人に尋ねることなど、すぐには思い出せず口ごもる。 そして、私の誕生日を祝いたいと言われ、素直に嬉しさがこみ上げる。「いくつになった?」「二十六です」「そう。おめでとう。君、何かお祝いのケーキでも――」 バーテンダーに視線を向ける彼を、私は慌てて制する。「あの、恭弥さん、申し訳ないです。大丈夫です。私が聞きたかったことは、恭弥さんのことです」 緊張と、一気に話したことで喉がカラカラになり、目の前のカクテルを一気に飲み干すと、カッと身体が熱くなるのがわかった。「俺の?」 少し驚いたような声音に聞こえたが、私がこんな場所まで来たのはこのためだ。「おいくつですか?」 酔っ
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STORY 4
「綺麗なピンクのカクテルだな」先ほどのシャンパンとは違うカクテルに気づいたようで、恭弥さんはそれに視線を向けた。断ろうと思っていたが、そう言われてしまえば口をつけないわけにはいかない気がして、それを少しだけ口に含んだ。 甘さの中に、ライムのスッキリとした後味がして、とても美味しいのはわかる。口は悪いが、バーテンダーとしての腕は確かだと知っている。「甘くておいしいですよ」 そんなどうでもいい言葉しか浮かばないが、なんとなくアルコールが強いような気がして、よりによってなんでこんなカクテルを出したのかと、恨み言を心の中で呟く。「俺はまだこの後、挨拶があるから」 終わりの言葉だと理解して、これ以上醜態をさらすことのないように、にこりと笑顔を作って頭を下げる。「ありがとうございました」「元樹のとこに戻るの?」 確かに今日は元樹と一緒に来たが、お互い目的も違うし、花恋さんとどうなったかもわからない。それに、やはり私にはこんな世界の違う場所は不似合いだ。 元樹にはメッセージを送っておけばいいだろう。明日の午前中には引っ越し業者も来て、実家に帰る予定だ。ここで少しだけ酔いを醒ましてから帰ろう。 そんなことを考えていると、不意に手に何かが握らされたことに気づく。無意識に手のひらを開いてそれを確認し、私は息を呑んだ。「まだ一緒にいたい。先に部屋に行ってて」 ゴールドのカードキーで、そこには“3601”とルームナンバーが刻まれていた。 どういうつもりで、私にこれを渡したというのだ。まったく意味がわからず、私は恐る恐る彼の瞳を見つめた。 漆黒の瞳は、ただ私の不安げな顔を映し出しているだけで、何も感情は読み取れない。「そんなこと……」 できない。そう答えなければ。そう思うのに、その先の言葉が続かなかった。 私はずっと彼に淡い恋心を抱いていた。これはチャンスなのかもしれない。「この意味はわかるな?」 問われたそのセリフに、私はふいっと視線を外した。 いつも近くに元樹がいたこと、そして彼に憧れていたこともあり、男性と深く付き合ったことはない。 でも、この意味がわからないほど子供でもなかった。ごくりと唾を飲み込んでいたことに、自分でも気づく。アルコールのせいで思考がまとまらない。そんな私に追い打ちをかけるように、彼が私との距離を詰める。「待ってて」
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