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第67話

Author: 花朔
「どこにも触れてない!......」

紗夜は眉をひそめながら否定した。

出雲がなぜあのような行動を取ったのか自分にも分からなかったが、彼との関係は潔白だと信じていた。

「ない?」

文翔の顔には依然として薄ら笑いが浮かんでいたが、親指はゆっくりと下へ滑り、彼女の輪郭の整った顎のラインをなぞりながら耳元へ。

耳たぶを弄び、軽く摘んだ。

「じゃあ、ここは?」

紗夜の身体が一瞬ピクリと強ばり、唇を噛みしめて言った。

「だから、何もないって言ってるでしょ!」

「そうか?」

文翔の指はさらに下へと伸び、彼女の服の襟元に入っていく。

「じゃあ、ここは?」

紗夜は、彼がわざとやっているのだと分かっていた。

唇を噛み、もう何も答えなかった。

文翔は彼女が答えなくても気にせず、指を好き勝手に動かし、触れるたびにわざと止めては尋ねる。

「ここも、触られた?」

紗夜の身体は次第に小刻みに震え出した。

彼はまるで、獲物を追い詰めることに快感を覚える狡猾な虐殺者のようだった。

ひたすら執拗に、じわじわと彼女を苦しめていく。

「文翔!」

紗夜の声は今にも泣き出しそうで、目元には赤みが滲んでいた。

「あなたは......一体何がしたいの?」

「検査だ」

文翔は淡々と吐き捨てた。

「俺のものには、他人の手垢なんて絶対に許さない」

彼にとって紗夜は「所有物」に過ぎなかった。

欲しい時は強引に奪い、いらなくなったら簡単に捨てる。

それでも、他人に拾われるのは許せない。

ましてや、他の男の指が触れたなんて。

想像するだけでも許しがたい。

紗夜は疲れ切っていた。

「私が一万回『触れてない』って言ったとしても、あなたは絶対に信じないというのね?」

「俺が信じるのは、自分の目で見たものだけだ」

文翔の声は冷たく、感情のこもっていない口調だった。

彼女の言葉を、最初から信じる気などないのだ。

紗夜はもう、何も語る気力を失っていた。

説明しようとしていた気持ちも、もはや意味をなさないと悟り、口を閉ざして静かに目を閉じた。

これ以上、彼の顔を見たくなかった。

その黙った様子に、文翔の目が一層暗く沈んだ。

彼は検査と称して、さらなる「確認」を続けようとした。

彼女が自分の手で震える様を見るのが、何よりも心地よかった。

そのまま、彼は彼女の
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Comments (2)
goodnovel comment avatar
雨降る雪降る
この状況 あまりに陳腐過ぎて笑えるレベル。何をどう突っ込んでいいものやら!
goodnovel comment avatar
辛子明太子
嫌よ嫌よも好きのうち(笑)
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