余命一年の生贄少女は、帝都を護る兵器の神様に捧げられる

余命一年の生贄少女は、帝都を護る兵器の神様に捧げられる

last updateLast Updated : 2026-07-27
By:  三毛沢しっぽUpdated just now
Language: Japanese
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空が鉛色に沈む天都皇国(てんとこうこく)。 帝都・白嶺(しらみね)は長年、人を喰らう化け物〝異形〟の脅威に晒されていた。 対異形特務軍に所属する青年、白玖(はく)。 巨大な白狐に姿を変え、異形を祓う帝国最強の決戦兵器たる〝神〟である彼は、その絶大な力を振るうため、莫大な魔力を宿す〝深紅の瞳の少女〟の血肉を必要としていた。 新たに軍へ配属された十四歳の少女、藍沢緋依(あいざわ ひより)。 彼女は神の餌として育てられた〝生贄〟であり、十五歳を迎える満月の夜、その身をすべて神に捧げて喰われる運命にあった。 飄々とただの兵器として生きてきた白玖は、自ら血を差し出す彼女の異質な明るさにペースを乱されていく――。

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Chapter 1

01.神と生贄

「――ねえ。君、泣かないの?」

 豪奢な長椅子に寝そべったまま、青年は退屈そうに目を細めた。

 帝都・白嶺しらみねの空は、今日も重苦しい鉛色に沈んでいる。遠くの工場区画から絶え間なく吐き出される黒煙が、冬のどんよりとした雲と混じり合い、街全体を薄暗い影で覆っていた。

 高くそびえる対異形特務軍たいいぎょうとくむぐんの本部。その最上階に位置する特別室は、神を祀る荘厳な社であり、同時に国が最も恐れる兵器を縛り付けるための豪奢な牢獄でもあった。

 部屋の主である青年、白玖はくは、窓辺から差し込む乏しい光を浴びながら、部屋の入り口に立つ小さな影を見下ろしていた。

 雪を透かしたように色素の薄い、滑らかな髪。纏っている特務軍の軍服は、彼の特権を示すようにすべて霜を思わせる色合いで統一されている。彼の存在そのものが、まるで凍てつく冬の冷気を実体化させたかのようだった。

 飄々とした態度とは裏腹に、細められた双眸の奥には、人ならざる者特有の冷酷な光が揺らめいている。

 彼の視線の先には、たった今重い扉を開けて入ってきた一人の少女が立っていた。

「泣く理由がありませんから」

 凛とした声が、静寂に包まれた広大な部屋に響き渡る。

 年齢は十四。まだ幼さを残す柔らかい輪郭に、夜の帳を溶かし込んだような深い藍色の髪が肩口で揺れていた。細身の身体には、彼女のために仕立てられた特務軍の制服が少しだけ大きく見える。

 そして何より目を引くのは、彼女の瞳だった。

 鮮血よりも深く、燃え盛る炎よりも強い意志を宿した紅の瞳。

 それこそが、この国において特異な運命を背負う証だった。

藍沢あいざわ緋依ひよりと申します。本日から特務軍への配属となり、白玖様のもとへ参りました。一年間、どうぞよろしくお願いいたします」

 部屋を案内してきた軍の大人たちは、怯えるようにして早々に扉の向こうへと消えていったというのに。丁寧にお辞儀をして見せた緋依の顔には、微塵も恐怖の色がなかった。

 白玖は小さく息を吐き出し、ゆっくりと長椅子から身を起こした。彼が動くたびに、上質な軍服の生地が微かな衣擦れの音を立てる。

「調子が狂うねえ……。僕の前に立つ奴は、大抵もっと顔を青くして、震えて、自分の不運を呪って泣き喚くものなんだけど。君、自分がこれからどうなるか、本当に分かってる?」

「はい。存じております」

 緋依はまっすぐに白玖を見つめ返した。その深紅の瞳には、一切の淀みがない。

「私は生贄です。十五歳を迎える満月の夜、最も魔力が満ちたこの身体を、神様であるあなたに捧げる。それが、私の役目です」

 淡々と紡がれる言葉に、白玖はわずかに眉を動かした。

 この天都皇国てんとていこくは、数百年以上も前から〝異形いぎょう〟と呼ばれる化け物たちの脅威に晒されていた。

 どこからともなく湧き出し、人々を喰らい、街を破壊する異形たち。銃弾も砲弾も通用しない彼らに対抗するため、国が設立したのが対異形特務軍である。

 そして、その軍の最強の矛であり、唯一の決戦兵器こそが、巨大な狐の姿をとる神――白玖であった。

 だが、神がその絶大な力を振るうためには、代償が必要だった。深紅の瞳を持つ少女が宿す、莫大な魔力。それを血肉ごと取り込むことで、彼は初めて神としての威容を保ち、異形を跡形もなく祓うことができる。

 生贄となる少女は、毎年一人だけ、国中から探し出される。十四歳でこの部屋に連れてこられ、一年間だけ神と寝食を共にし、戦いの度に自らの血を与え続ける。

 そして十五歳になる夜、儀式と称して完全に命を喰われるのだ。

 それは数百年以上も前から続く、この国の残酷で絶対的な掟だった。

「知っていて、どうして笑えるのかな?」

 白玖は音もなく床に降り立つと、緋依との距離をゆっくりと詰めた。足音が全くしないその身のこなしは、彼が人間ではないことを雄弁に物語っている。

「君の血も肉も、最後には全部僕の胃袋に収まるんだよ? 骨の髄まで啜られて、この世から消え去る。自分の命が、僕というただの兵器を動かすための燃料に過ぎないって、悔しくないわけ?」

 白玖の顔が、緋依の目の前まで迫る。

 端正な顔立ちの裏側に潜む、捕食者としての本能。背筋が凍るような威圧感が部屋の空気を重く沈めた。普通の人間であれば、このプレッシャーだけで膝から崩れ落ち、呼吸すら忘れてしまうだろう。

 事実、彼がこれまで喰らってきた少女たちは皆そうだった。死への恐怖に顔を歪め、命乞いをし、最後は絶望に染まって死んでいった。白玖はそれに心を痛めることすらとうの昔にやめていた。彼にとって生贄は、ただの食事であり、国との契約でしかなかったのだ。

 しかし、緋依は一歩も下がらなかった。

 それどころか、彼女の唇は微かに弧を描いた。

「悔しくなんてありません。だって、私はこの世界が大好きですから」

「……は?」

 予想外の言葉に、白玖の動きが止まる。

「美味しいお菓子を売ってくれる街のパン屋さんも、綺麗なお花が咲く公園も、行き交う人々の笑顔も、全部私の宝物です。でも、異形が現れれば、そんな大好きな世界が壊されてしまう」

 緋依は胸の前で両手をぎゅっと握りしめ、窓の外に広がる帝都の街並みへと視線を向けた。彼女の目には、薄汚れた灰色の空ではなく、その下で懸命に生きる人々の営みが映っているかのようだった。

「私一人の命で、大好きな世界を守れるなら。特務軍の皆さんが、そして白玖様が、異形を祓ってくださるのなら……私の命には、十分すぎるほどの意味があります。だから、悲しくなんてありません」

 それは、強がりでも何でもなく、心の底からの本心だった。彼女の深紅の瞳は、未来の希望だけを映してキラキラと輝いている。

 自己犠牲という言葉では片付けられない、ある種の狂気すら孕んだ純粋さ。

 白玖は、長い年月を生きてきて初めて、どう反応していいか分からなくなった。

「君……本物の変わり者だね」

「よく言われます。でも、前向きな餌の方が、きっと味も美味しいと思いますよ?」

 ふふっ、と鈴を転がすように笑う緋依を見て、白玖は思わず天を仰いだ。

「勘弁してよ。そんな風に笑う餌なんて、食欲が湧かないだろ」

「あら、残念です。私、白玖様のために魔力を高めてきたのに」

「そういう問題じゃないんだけどね……」

 白玖は頭を掻きながら、再び緋依に向き直った。

「まあいい。君がどんなに変わっていようと、掟は掟だ。僕が戦うためには、君の魔力が要る。……挨拶代わりに、少しだけ貰うよ」

 白玖の手が、緋依の細い首筋に伸びる。氷のように冷たい指先が、彼女の脈打つ肌に触れた。

 緋依の肩が微かに跳ねたが、彼女は逃げようとはしなかった。むしろ、自ら首を傾け、白玖が牙を立てやすいように無防備な肌を晒す。

「……っ」

 白玖の顔が近づく。彼の口元から覗く鋭い牙が、白く滑らかな肌に押し当てられた。

 チクリとした鋭い痛みの後、緋依の体から熱が奪われていく感覚があった。彼女の血に溶け込んだ莫大な魔力が、白玖の体内へと流れ込んでいく。

 甘く、そして濃密な魔力の匂い。

 神としての本能が、極上の獲物を前にして歓喜に震える。もっと深く牙を立て、このまま一滴残らず啜り尽くしてしまいたいという衝動が湧き上がる。

 しかし、白玖はすぐに顔を離した。唇の端についた血を、親指で無造作に拭い去る。

「……上等な血だ。これなら、一年は十分に戦えそうだね」

「お口に合って良かったです」

 首筋を押さえながら、緋依は少しだけ顔を赤らめて微笑んだ。吸血による疲労感よりも、自分が役に立てたという喜びの方が勝っているようだった。

 その無防備な笑顔に、白玖の胸の奥で、ほんの小さな棘のようなものが引っかかった。

 これまでは、ただ与えられるままに命を奪ってきた。そこに感情など存在しなかった。だが、目の前で嬉しそうに笑うこの少女の命を奪う時、自分は本当に今までと同じように、何も感じずにいられるのだろうか。

「これから一年間。私の血も、力も、全部白玖様のために使ってください」

「……勝手にすれば。でも、途中で泣き言を言っても知らないからね」

「はいっ! 覚悟の上です」

 元気よく返事をする少女を見下ろしながら、白玖は深くため息をついた。

 こうして、決して交わってはいけない兵器たる神と、それに捧げられた生贄の、あまりにも短く、残酷な一年間が幕を開けた。

 その先に待つのが、世界を揺るがすほどの狂おしい愛と、逃れられない絶望の運命であることなど、この時の二人はまだ知る由もなかった。

 ただ、窓の外から吹き込んだ冷たい風が、二人の間を通り抜け、これから始まる過酷な日々を予感させるように、緋依の藍色の髪を大きく揺らしていた。

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01.神と生贄
「――ねえ。君、泣かないの?」 豪奢な長椅子に寝そべったまま、青年は退屈そうに目を細めた。 帝都・白嶺の空は、今日も重苦しい鉛色に沈んでいる。遠くの工場区画から絶え間なく吐き出される黒煙が、冬のどんよりとした雲と混じり合い、街全体を薄暗い影で覆っていた。 高くそびえる対異形特務軍の本部。その最上階に位置する特別室は、神を祀る荘厳な社であり、同時に国が最も恐れる兵器を縛り付けるための豪奢な牢獄でもあった。 部屋の主である青年、白玖は、窓辺から差し込む乏しい光を浴びながら、部屋の入り口に立つ小さな影を見下ろしていた。 雪を透かしたように色素の薄い、滑らかな髪。纏っている特務軍の軍服は、彼の特権を示すようにすべて霜を思わせる色合いで統一されている。彼の存在そのものが、まるで凍てつく冬の冷気を実体化させたかのようだった。 飄々とした態度とは裏腹に、細められた双眸の奥には、人ならざる者特有の冷酷な光が揺らめいている。 彼の視線の先には、たった今重い扉を開けて入ってきた一人の少女が立っていた。「泣く理由がありませんから」 凛とした声が、静寂に包まれた広大な部屋に響き渡る。 年齢は十四。まだ幼さを残す柔らかい輪郭に、夜の帳を溶かし込んだような深い藍色の髪が肩口で揺れていた。細身の身体には、彼女のために仕立てられた特務軍の制服が少しだけ大きく見える。 そして何より目を引くのは、彼女の瞳だった。 鮮血よりも深く、燃え盛る炎よりも強い意志を宿した紅の瞳。 それこそが、この国において特異な運命を背負う証だった。「藍沢緋依と申します。本日から特務軍への配属となり、白玖様のもとへ参りました。一年間、どうぞよろしくお願いいたします」 部屋を案内してきた軍の大人たちは、怯えるようにして早々に扉の向こうへと消えていったというのに。丁寧にお辞儀をして見せた緋依の顔には、微塵も恐怖の色がなかった。 白玖は小さく息を吐き出し、ゆっくりと長椅子から身を起こした。彼が動くたびに、上質な軍服の生地が微かな衣擦れの音を立てる。「調子が狂うねえ……。僕の前に立つ奴は、大抵もっと顔を青くして、震えて、自分の不運を呪って泣き喚くものなんだけど。君、自分がこれからどうなるか、本当に分かってる?」「はい。存
last updateLast Updated : 2026-07-03
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02.私が朝ごはんを作りますね!
 特務軍に配属された生贄は、緊急時にすぐさま神へ魔力を供給できるよう、白玖と四六時中寝食を共にすることが義務付けられている。 初日の夜。最上階の特別室の奥に設けられた広々とした寝室には、二つのベッドが距離を置いて配置されていた。 支給されたワンピース型のパジャマに身を包んだ緋依は、ベッドの端にちょこんと座り、そわそわと落ち着かない様子で膝の上で手を組んだ。いくら相手が人ならざる神とはいえ、うら若き乙女が男性と同じ部屋で眠るのだ。緊張するなという方が無理な話だった。「そんなに強張らなくても、とって食ったりしないよ」 軍服を脱ぎ、ゆったりとしたラフな部屋着姿になった白玖が、クスクスと笑いながら言う。「……まあ、十五歳になったら喰うけどね」 意地悪く告げられた言葉。しかし、緋依の反応は彼の予想とは少し違った。「はい。その時のために、しっかり健康な身体をつくっておきますね」 怯えるどころか、ふわりと微笑み返され、白玖はつまらなそうに「あっそ」とだけ返し、そっぽを向いて自分のベッドへと潜り込んだ。 ――そして、翌朝。 温かいぬくもりの中で心地よく目を覚ました緋依は、ふと視界に入った白色の髪に目を瞬かせた。「……へ?」 目の前には、スースーと規則正しい寝息を立てる白玖の整った顔がある。どういうわけか、同じベッドの中で隣に寝ているのだ。「ひゃあっ!?」 緋依は短い悲鳴を上げ、勢いよくベッドから飛び起きた。 その声に、白玖は気怠げに薄く目を開ける。「……んん。悪い。僕、寒さには弱くてさ。君、体温高いから、つい」「つ、ついじゃありません! いくらなんでも、心臓に悪すぎます……っ」 顔を真っ赤にして抗議する緋依をよそに、白玖は「うるさいなあ」と欠伸をしながら身を起こす。そして、悪びれる様子もなく、緋依の目の前で部屋着を脱ぎ始めた。「なっ! な、なにをして……!」 緋依は慌てて両手で顔を覆う。指の隙間から、彼の色白で引き締まった身体がちらりと見えてしまい、さらに顔が熱くなった。「着替えだけど。何?」「い、今までもこうやって、生贄の女の子の前でお着替えを……!?」「別に。今までの子たちは、僕が近づくだけで部屋の隅でガタガタ震えてたからね。君みたいに朝から騒がしいのは初めてだよ」 飄々と言ってのけ、白玖は軍服に袖を通していく。 緋依は慌てて
last updateLast Updated : 2026-07-03
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03.初陣
 急行した特務軍の専用車両が居住区に到着したとき、そこはすでに地獄と化していた。 かつて人々の平穏な営みがあったはずの街並みは無残に破壊され、粉塵が舞う視界の先で、巨大な影が蠢いている。 〝異形〟――それは、人間の形を歪に引き伸ばしたような悍ましい姿をしていた。ある個体は人の数十倍もの巨躯を誇り、またある個体は異常に発達した巨大な腕を振り回して家屋を紙屑のように薙ぎ払っていく。 鋭い爪と牙が、逃げ遅れた住民たちへと容赦なく襲いかかる。「あ、ああぁっ……!」 緋依の目の前で、特務軍の兵士が巨大な顎に頭から噛み砕かれた。鈍い音とともに鮮血が吹き出し、ひしゃげた腕が宙を舞う。飛び散った肉片が石畳を赤く染め上げた。 特務軍による銃撃や砲撃が絶え間なく打ち込まれているが、異形の分厚い皮膚の前ではほんの足止めにしかなっていない。軍の主な任務はあくまで住民の避難誘導と、決定打となる〝神〟の援護でしかなかった。 あまりにも素早く、あまりにも凶暴な化け物の群れ。(こんなの……勝てるの……?) 目の前の凄惨な光景に、緋依は思わず後ずさった。全身の血の気が引き、足がガクガクと震え出す。 圧倒的な絶望が居住区を支配する中、白玖は舌打ちを一つ落とし、車両からふらりと降り立った。「下がってな。巻き込まれて死んでも知らないよ」 冷淡な声とともに、彼の身体が眩い光に包まれる。 直後、周囲の空気がビリビリと震え、巨大な影が顕現した。 二階建ての家屋をも見下ろすほどの巨躯。雪を欺くように美しい毛並みに、九つに分かれた豪奢な尻尾。 天都皇国が誇る決戦兵器、白狐の神がその真の姿を現したのだ。『――グルルォォォォォッ!!』 空気を切り裂く咆哮とともに、白狐が大地を蹴る。 巨大な爪が一閃され、先ほど兵士を喰らった異形の胴体をいとも容易く両断した。さらに強靭な顎でもう一体の異形の首筋に食らいつき、そのまま力任せに引き千切る。 圧倒的な暴力と暴力の衝突。巻き起こる突風に、緋依は顔を覆った。 けれど、指の隙間から見えるその姿は、あまりにも美しく、そして孤高だった。(白玖様が、一人で戦っている……この大好きな街を守るために) 自分は生贄だ。彼に守られるためではなく、彼と共に戦い、力を与えるためにここにいる。 恐怖で竦んでいた足に、ぐっと力を込める。緋依は深呼吸を一つして
last updateLast Updated : 2026-07-06
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04.お出ましか、総帥殿
 泥だらけの顔を綻ばせる緋依の頭上から、ひどく穏やかな声が降ってきた。「素晴らしい初陣だった。よく生きて帰ってくれたね、藍沢緋依」 振り返ると、そこには一人の長身の男が立っていた。 低い位置で無造作に束ねられた長い銀髪。特務軍の白い軍服を着崩し、腰には身の丈ほどもある大太刀を佩いている。引き締まった痩躯に、女と見紛うほど整いすぎた美貌を持った男だった。 光の粒となって人間の姿へと戻った白玖が、面倒くさそうに口を開く。「……お出ましか、総帥殿」 鷺原斎。 この対異形特務軍全体を統括し、神と生贄の運用を管理する人間側の最高責任者である。 階級制度に属さない白玖に対し、斎は敬意を込めて恭しく頭を下げた。彼に怯える様子は微塵もない。 そして、へたり込む緋依に目線を合わせ、優しく微笑みかけた。「君の魔法による援護は見事だった。今日はもう特別室へ戻り、二人でゆっくりと休むといい」 国と民を守るという絶対的な覚悟を持った、総帥としての労いの言葉。 しかし、彼がどれだけ優しく声をかけてくれようと、緋依が十五歳の満月の夜に喰われる運命を、彼が変えようとしないことも緋依は知っていた。 この優しさの裏には、冷徹なまでの合理主義が潜んでいるのだ。「鷺原総帥。神と生贄の慰労も結構ですが、早く指示を出してください。被害状況の集約と負傷者の搬送が滞っていますよ」 そこへ、足早にやってきた赤髪の女性が容赦のない声をかけた。 短く切り揃えられた髪と、鋭い眼光。特務軍首席参謀官の火野玲奈である。 彼女は総帥の直属として、住民避難や建物修繕の手配などを一手に担う実務の要だ。彼女のような強靭な裏方がいるからこそ、白玖はただひたすらに戦闘だけに集中できる。「やれやれ、玲奈は相変わらずせっかちだ。では白玖、あとは頼んだよ」 斎は苦笑しながら、足早に去っていく玲奈の背中を追って瓦礫の向こうへと消えていった。 特務軍本部、最上階の特別室。 備え付けられた広い浴室で戦いの汚れを洗い流し、身を清めた二人は、ようやく静かな夜の時間を迎えていた。 真新しい部屋着に着替えた緋依は、長椅子に腰掛ける白玖の隣に歩み寄り、そっと自らの腕を差し出した。お風呂上がりの白い肌から、仄かに甘い魔力の香りが漂う。「あ、あの……白玖様。魔力の補給は
last updateLast Updated : 2026-07-07
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05.薄紅の嵐に現れた神様
 ――これは、忘れもしない、緋依がまだ幼かった頃の記憶。 風が窓を叩いていた春の嵐の夜。  居住区に突如として現れた〝異形〟は、平穏な日常を一瞬にして地獄に変えた。  軍の兵士たちが駆けつけ、必死に銃を撃ち放つが、化け物の分厚い皮膚には傷一つ付けられない。幼い緋依の目の前で、兵士の身体は軽々と引き裂かれ、生温かい血飛沫が彼女の頬に降り注いだ。「緋依、逃げるぞ!」 父親が叫んだ。しかし、異形の標的はすでに彼らに向いていた。「私が引きつける。お前は緋依を!」 父親はそう言い残し、自ら囮となって外へ飛び出した。しかし、人間の足で逃げ切れるはずもない。鈍い破砕音と、絶望的な悲鳴。父親の命が摘み取られたことを、幼い緋依は本能で悟った。 母親は涙を堪えながら、緋依を家の奥にある小さなクローゼットへと押し込んだ。「絶対に出てきちゃ駄目よ。息を潜めていなさい」 暗闇の中で、緋依は震える両手で口を覆った。しかし、異形の足音はすぐに家の中へと侵入してきた。  ガシャン、と何かが砕ける音。その直後、母親が小さな悲鳴を上げてしまった。 クローゼットの扉の向こう側で、肉が引き裂かれる悍ましい音が響く。ドサリと崩れ落ちた何かが、扉のすぐ外に横たわるのがわかった。(お母さん……っ) 泣き叫びたい衝動を必死に殺す。しかし、異形の鋭い嗅覚は、扉の奥に潜む幼い人間の匂いを確実に捉えていた。 ズル、ズルと、重い足音がクローゼットの前に迫る。  もう駄目だ。殺される。  その時、緋依の脳裏に、街の大人たちが話していた噂がよぎった。 ――〝異形〟からは、神様が私たちを守ってくださるんだよ。(神様……っ。どうか、助けて……!) 暗闇の中で、小さな手をきつく組み合わせた。  次の瞬間。  轟音と共に、家の壁が紙屑のように吹き飛んだ。 同時に、外から激しい春の嵐が室内に吹き込んでくる。それは、夜の闇に紛れていた無数の桜の花びらを巻き込んだ、狂おしいほどに美しい花吹雪だった。 クローゼットの扉が衝撃でひしゃげ、視界に飛び込んできたのは――舞い散る薄紅色の花吹雪と月明かりを一身に浴びて、神々しく輝く巨大な白狐の姿だった。  ひどく凄惨な地獄のはずなのに、吹き荒れる薄紅の嵐の中で悠然と佇むその姿は、息を呑むほどに美しかった。 白狐は強靭な顎で、母親を殺した異形の首筋
last updateLast Updated : 2026-07-08
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06.特大の苺パフェ
「うわっ、寒いと思ったら……」 窓の外を見下ろすと、鉛色の空から白い雪がちらほらと舞い落ちていた。  帝都・白嶺に、本格的な冬が到来したのだ。 広い特別室の暖炉の前で、白玖は軍服も着ずにラフな部屋着のまま、丸くなって縮こまっていた。氷のように冷酷な神の姿からは想像もつかないほど、彼は寒さに弱い。 緋依は苦笑しながら、彼の肩にふわりと厚手の毛布をかけてあげた。そして、手早く淹れたマシュマロ入りのミルクココアを差し出す。「はい、どうぞ。温まりますよ」 「……だから、君ねえ。生贄であって、僕の世話係じゃないんだけど」 呆れたようにため息をつきながらも、白玖は大人しくマグカップを受け取り、甘いココアを一口飲んで僅かに目を細めた。  緋依はえへへと照れ笑いを浮かべる。「お仕事が思ったほどなくて、なんだか落ち着かなくて。私、掃除や整理整頓をしてきますね!」 特務軍の特別室にいるとはいえ、〝異形〟が現れなければ緋依には何もすることがない。じっとしているのが苦手な彼女は、鼻歌交じりに広い部屋の掃除を始めた。 数時間後、散らかっていた書類や本は見事に片付き、部屋は見違えるほど綺麗になっていた。  夜になる頃には、外の雪もすっかり止んでいた。「……いい子にしてたから、ご褒美をやるか」 すっかり片付いた部屋を見回し、白玖は立ち上がった。異形出現時の警告を受信する小型の通信機を軍服の懐に忍ばせると、彼は緋依を帝都の街へと連れ出した。  向かった先は、一般の人間では到底入れないような豪奢な高級レストランだった。「僕は兵器として命を懸けて〝異形〟と戦う代わりに、生活の全てを国から保証されている。君も然りだ。遠慮はいらない、好きなものを食べるといい」 促された緋依は、分厚いメニュー表を前にうんうんと唸り続けた。  やがて、白玖の前に立派な分厚いステーキが運ばれてくる。そして緋依の前に置かれたのは――大ぶりな苺がこれでもかとふんだんに使われた、特大のパフェだった。「……飯じゃないじゃないか」 「えへへ……でも、どうしても食べてみたくて」 緋依は身寄りがない孤児院育ちだ。こんな贅沢は、これまでの人生で一度もしたことがなかった。  目をキラキラと輝かせ、初めて口にする甘い苺とクリームの味に、緋依は「んんっ!」と感動で言葉を失った。そのあまりにも幸せそうな顔
last updateLast Updated : 2026-07-09
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07.こういうのも、いいもんだな
 翌朝。ふかふかの布団の中で意識が浮上した緋依は、自分の身体が身動き一つとれないことに気がついた。 重い。それに、なんだかひんやりと冷たい。 ゆっくりと目を開けると、視界いっぱいに雪のように白い柔らかな髪が広がっていた。 なんと白玖が、緋依の身体を抱き枕のようにして、両腕でしっかりと抱きしめ込んでいたのだ。彼の長い足までが、緋依の足に絡みついている。「ひゃっ……!?」 声にならない悲鳴を上げ、緋依は慌てて彼の腕を引き剥がそうとした。 しかし、人ならざる神の腕力に逆らえるはずもない。むしろ、逃げようと身じろぎしたことで、白玖はさらに強く緋依の身体を引き寄せた。「……もう、寒いんだから……どこかいかないでよ」 寝ぼけた甘い声が、耳元で鼓膜をくすぐる。 冷え切った彼の身体が、緋依の体温を求めてぴったりと密着していた。(ほ、本当に湯たんぽにされてる……!) 顔から火が出そうだった。 首筋に当たる彼の息遣い。すぐ目の前にある、彫刻のように整った寝顔。 ドクン、ドクン、ドクン。 緋依の胸の奥で、心臓が早鐘のように打ち鳴る。こんなにも大きな音が鳴っていては、抱き着いている白玖にも伝わってしまうのではないか。そう思うと、余計に動悸が激しくなり、緋依はおろおろと視線を彷徨わせた。 やがて、緋依の体温で十分に温まったのか、白玖が「んぅ……?」と微かに眉をひそめ、薄く目を開けた。 氷のように透き通った瞳が、至近距離で緋依を捉える。「……あれ。君、なんで僕と一緒のベッドに……?」「えっ……? 寝ぼけてますか?」 緋依は目を丸くした。昨夜、理不尽に湯たんぽになれと命令してきたのは彼の方である。「生贄のくせに、こんな距離にいても大丈夫なの?」「ですから、白玖様が同じベッドで寝ようと仰ったんですよ!」「え〜? そうだっけぇ?」 白玖は全く覚えていないらしく、間延びした声で首を傾げた。そして「まあいいや、温かいし」と呟き、むにゃむにゃと再び緋依を強く抱きしめ、目を閉じてしまう。 どうやら、この恐ろしい決戦兵器の神様は朝に弱いらしい。 緋依は呆れつつも、その無防備すぎる姿に思わず苦笑をこぼした。 これ以上抱きしめられていては、心臓が持たない。緋依は彼を起こさないように、そーっと腕をするりとかわし、なんとかベッドを抜け出すことに成功した。 身支度
last updateLast Updated : 2026-07-10
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08.ナポリタンとプリンアラモード
 特務軍本部を一歩出ると、帝都・白嶺の目抜き通りは冬の澄んだ空気の中で華やかな活気に満ちていた。 重厚な赤レンガ造りの西洋建築と、昔ながらの木造家屋が美しく調和する大正浪漫の街並み。石畳の上を路面電車がチンチンと鐘を鳴らしながら走り抜け、通りには和装に外套を羽織る者や、洋装に身を包む人々が行き交っている。 緋依は白玖の腕にそっと手を添えたまま、きょろきょろと目を輝かせて歩いていた。 やがて、甘い香りに誘われるようにして、緋依の足がとあるお団子屋の前でピタリと止まった。「……食いしん坊だな」 白玖が呆れたように笑うと、緋依はさっと頬を赤く染めた。「こ、こんなオシャレなお団子、見たことがなくって……!」 店先に並べられていたのは、ただの醤油や餡子のお団子ではない。串に刺さった白いお団子の上に、苺、抹茶、栗、紫芋など、色とりどりの鮮やかな餡が絞り出され、まるで小さな花の飾りのように可愛らしくデコレーションされていた。 白玖が硬貨を支払い、二人でその色鮮やかなお団子を頬張る。もちもちとした食感と上品な甘さに、緋依は「んんっ!」と幸せそうに頬を緩ませた。「まさか、特務軍の神様がうちの店で買い物をしてくださるなんて……!」 店主の初老の男性が、目を丸くして白玖の白い軍服と白髪を見つめていた。帝都の人々にとって、神は畏れ多くて近づきがたい決戦兵器だ。それがこうして普通の青年のようにお団子を食べているだけでも驚きなのに、隣にいる生贄の少女が少しも怯えていないことにも目を奪われているようだった。「お嬢さんも、神様のお隣でとても幸せそうに笑う。……まるで、〝恋人同士〟みたいだねえ」 店主の何気ない言葉に、緋依はボンッ! と音がしそうなほど顔を真っ赤にして俯いた。 しかし、当の白玖はきょとんとした顔で首を傾げている。「恋人? 何を言ってるんだ、このおじさんは。君は僕の生贄なのにね」「え、ええ……そう、ですよね」 人間同士の細やかな機微に疎い白玖の言葉に、緋依は少しだけ胸の奥がチクリと痛むのを感じながらも、誤魔化すように残りのお団子を口に運んだ。 店を後にした二人は、腕を組んだまま柳が揺れる川沿いの道をゆっくりと歩いていた。 穏やかな冬の陽だまり。水面がキラキラと光を反射するのを眺めていると、不意に後方から切羽詰まった女性の悲鳴が響き渡った。「泥棒っ
last updateLast Updated : 2026-07-11
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09.生贄にしておくには惜しい少女
 底知れない総帥の威圧感から解放され、ほうほうの体で特別室へと逃げ帰った二人は、それぞれに備え付けの浴室で身を清め、ゆったりとした部屋着に着替えていた。 長椅子では、風呂上がりの白玖が無造作に座っている。彼の雪のように白い髪からは、まだぽたぽたと水滴が滴り落ちていた。「白玖様、髪の拭き方が甘いです。風邪を引いてしまいますよ」「……んー。面倒くさい」 すっかり気怠げモードに入ってしまった神様を見かねて、緋依は清潔なタオルを手に彼の背後に回った。そして、その美しい白髪をタオルで包み込み、わしわしと丁寧に水気を拭き取っていく。 白玖は抵抗する様子もなく、されるがままに目を細めて喉を鳴らした。「……夕飯は、君の作ったものが食べたいな」「っ!」 タオルの下から響いたその言葉に、緋依は驚きで手を止めた。 彼は国から支給される、レストランの豪華な食事をいくらでも食べられる特権を持っている。それなのに、あえて自分の手料理を望んでくれたのだ。「白玖様にそんな風に言っていただけるなんて……! 私、生贄冥利に尽きます!」「……生贄冥利って。君、時々言葉の使い方がおかしいよ」 呆れたように肩をすくめる白玖をよそに、緋依は張り切ってキッチンスペースへと向かった。 冷蔵庫の食材を確認し、今夜のメニューを決める。 手早く野菜と牛肉を炒め、大きな鍋でことことと煮込む。部屋中にデミグラスソースの濃厚で香ばしい匂いが漂い始めると、長椅子で寝そべっていた白玖が、吸い寄せられるようにテーブルへとやってきた。 完成したのは、熱々のビーフシチューと、新鮮な野菜のサラダ、そして軽く炙ったバゲットだ。「いただきます」 スプーンで一口シチューを掬って口に運んだ白玖は、目を瞬かせた。「……美味い」 ただの一言だったが、その声には確かな熱がこもっていた。「えへへ。シチューは孤児院のみんなによく振舞っていたので、得意料理の一つなんです!」 鼻高々に胸を張る緋依を見て、白玖はバゲットをシチューに浸しながら、ふと呟いた。「……こんなに飯が美味いなら、なんだか生贄にしておくのが惜しくなってきたな。いっそ、僕専属の世話係に転職する?」 冗談めかした口調。しかし、その奥に潜むほんの僅かな本音に気づくことなく、緋依は慌てて首を横に振った。「し、しません! 私の命を白玖様に捧げて、この
last updateLast Updated : 2026-07-12
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10.嫁にこない?
 翌朝。ふかふかの布団の中で目を覚ますと、緋依はいつものように白玖のひんやりとした腕の中にすっぽりと収まっていた。(数日でこの状況に慣れてきてしまった自分が、少し怖いかも……) 微かな寝息を立てる彼を起こさないよう、そっと身をよじろうとした時だった。「……あれ、なんか寒い……?」 空気がひんやりと冷え込んでいる。緋依はゆっくりと身体を起こし、寝室のカーテンを少しだけ開けて外を覗き込んだ。 窓の向こう側は、しんしんと降り積もる雪で一面の銀世界になっていた。「わあ……」 感嘆の息を漏らして振り返ると、緋依という熱源が離れたことで、白玖が寒そうに小さく丸まっていた。その姿を見て、緋依は思わず苦笑する。(これは、まだベッドから出ない方がいいかも) 緋依がベッドに戻り、そっと白玖に身を寄せると、彼は無意識のうちに腕を伸ばし、緋依の身体を抱きしめ直した。 至近距離で見る、穏やかな寝顔。 よく見るとまつ毛がとても長く、彫刻のように整った顔立ちをしている。こうして目を閉じていると、誰も彼が恐ろしい決戦兵器だとは思わないだろう。どこにでもいる、ただの美しい青年にしか見えないのだ。 しばらくその顔を見つめていると、カーテンの隙間から差し込んだ朝日に反応し、白玖が眩しそうに目を細めた。「……朝……?」 微かに身じろぎしたかと思うと、ブルッと肩を震わせる。「ううっ、さむっ……なんか、嫌な予感がする」 白玖はもそもそと起き上がり、自らカーテンを少しだけ開けた。そして外の激しい雪降りを確認した瞬間――まるで何も見なかったことにするかのように、スッと真顔でカーテンを閉め切った。「……今日はここで過ごそ〜?」 再びベッドに潜り込み、緋依の腰に腕を回してぎゅっと抱き着いてくる。「んー、私としては外の空気を吸いたいですが……」 困ったように笑いながら、緋依は窓の方へ視線を向けた。「こんなに雪が降った日は、孤児院のみんなとよく雪だるまを作って遊んだなぁ……」 昔の温かい思い出を振り返るように、ふにゃっと柔らかく微笑む緋依。 その横顔を下から見上げていた白玖は、ふと目を瞬かせた。「……雪だるま、作りたいの?」「えっ、あ……そういうつもりで言ったのではないのですが」 彼女は自らが生贄であるという残酷な運命を受け入れており、発言も大人びていることが多い。し
last updateLast Updated : 2026-07-13
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