Mag-log in空が鉛色に沈む天都皇国(てんとこうこく)。 帝都・白嶺(しらみね)は長年、人を喰らう化け物〝異形〟の脅威に晒されていた。 対異形特務軍に所属する青年、白玖(はく)。 巨大な白狐に姿を変え、異形を祓う帝国最強の決戦兵器たる〝神〟である彼は、その絶大な力を振るうため、莫大な魔力を宿す〝深紅の瞳の少女〟の血肉を必要としていた。 新たに軍へ配属された十四歳の少女、藍沢緋依(あいざわ ひより)。 彼女は神の餌として育てられた〝生贄〟であり、十五歳を迎える満月の夜、その身をすべて神に捧げて喰われる運命にあった。 飄々とただの兵器として生きてきた白玖は、自ら血を差し出す彼女の異質な明るさにペースを乱されていく――。
view moreThe invitation had arrived a week ago in a thick, cram colored envelope, sealed with an actual wax insignia that screamed royal, and over the top, Cole.
I had stared at it for a full ten minutes, flipping it back and forth between my fingers, wondering why a blogger from New Jersey was being summoned to a castle in a country she could barely locate on a map. And yet here I was. Nine pm on a stormy Friday night, dragging my luggage across JFK's damp terminal floor, muttering curses under my breath. "Who books a flight at night during hurricane season?" I hissed to myself, brushing back damp strands of hair as the door hissed shut behind me. Rain lashed against the glass walls, thunder groaned in the distance, and flight information blinked across the giant screens like a slow motion apology. FLIGHT 114 TO VELORIA: DELAYED. NEXT UPDATE IN 3H 02M "Three hours," I gasped, already tired and slightly damp from the run from the Uber drop off. The airport lounge wasn't even open yet and my neck was knotting with tension. Beside me, a red–haired woman in yoga pants and a velour hoodie clucked her tongue. "They're saying maybe four. Storm's not playing tonight." I groaned. "You should go down the wellness centre," the woman added. "There's a spa near Gate 36. Massages, aromatherapy ... all that calming stuff. Might help the time pass faster." Massage. Right. I could either sit stiff and miserable or surrender to some cucumber–scented serenity. I walked to the direction of gate 36, and there it was, spa blu. It smelled like eucalyptus, lavender and something faintly citrusy. The receptionist greeted me with a warm smile and handed me aplush robe and a locker key. "Changing rooms are just down that corridor. Enjoy your session." "Thanks," I murmured, clutching the robe like it was a lifeline. I was starting to regret this night flight. I should have left yesterday but my brother had to break his arm and end up at the ER. I turned the corner, spotting the word 'Locker room' etched in brushed silver on the glass door, and slipped inside. The lighting was dim. Steam clung to the mirrors. And I was halfway through unbuttoning my shirt when a voice spoke. "You're definitely not where you think you are." I froze. My eyes darted to the mirror—and there he was. Towel. Only a towel. Tall, lean and carved like a statue that had just stepped out of a sauna. The steam curled around his broad shoulders, and water dropped lazily from his dark hair. His gaze met mine in the reflection. Amused. Curious. And far too calm for a man who was being gawked at by a fully clothed stranger in the men's changing room. My brain rebooted. "I—I—I thought –I was at the women's changing room," I turned clutching my half buttoned shirt like it could shield me from embarrassment. "I'm...so sorry —" "Don't be," he said folding his arms across his chest. "It's been a long week. This might be the most exciting thing that has happened to me all month." He didn't even flinch. Didn't reach for a towel— or more of one anyway. Just stood there like towel wrapped temptation, watching me fumble and blush. "I'm just gonna —yeah—gonna find the right locker room," I stammered, spinning on my heels and nearly slipping on the tile. I reached for the handle, only to hear voices echoing from the hallway. Footsteps. A male laugh. Someone was heading this way. Panic seized me. "Oh no," I whispered, glancing around the misty room. There was nowhere to go. No stalls. No curtains. Just open lockers and steam. And towel greek tragedy still watching me with amused interest. My hand hovered over the door. "Looking for a place to hide," he asked, far too calmly. "Yes," I hissed. "Unless you want me to die of humiliation on top of everything else—" Without waiting me to finish, he grabbed my wrist and tugged me towards a small nook near the back of the room. A narrow gap between the lockers and where a storage shelf partially blocked view from the door. I stumbled into him, robe still clutched in one hand, shirt half–open, heart thudding loud enough to echo. And suddenly— Skin. My palm landed flat on his chest. Warm. Damp. Firm. I froze. So did he. The air between us crackled, humid with more than just steam. I tilted my chin up slightly, and his eyes—dark, unreadable— were already on mine. His breath was slow, steady. Controlled. Mine? Anything but. I could feel the rise and fall of his torso against me, the tension thrumming beneath his skin like restrained heat. The door clicked open. Laughter. Heavy steps. Muffled voices filled the room. We stayed still. He reached behind me silently and pulled the edge of a towel from a shelf, shielding us more. After a few excruciating minutes, the locker room door clicked again—closed. "They're gone," he murmured. I exhaled, chest sagging slightly against his. He didn't move, just studied me with such curiosity. "Thank you," I breathed. "That.....was kind and very heroic of you." A small smirk tugged at the corner of his mouth. "It was my pleasure. Literally." My cheeks burned hotter than the steam room. "May I ask your name?" I blinked up at him. And for a brief, strange moment, I wanted to lie. To stay anonymous. But something in the way he was looking at me— calm, amused, intrigued. Made me say it anyway. "Lisa," I whispered. "Lisa Moon." I didn't wait for his reaction. I slipped out of the nook, practically sprinting back into the hallway, heart still flattering in my chest like a trapped bird.あれから、数年の月日が流れた。 厚い雲に覆われ、常にどこか重苦しい空気が漂っていた帝都の空は、今では嘘のように高く澄み渡っている。 暖かな春の陽射しが、復興と発展を続ける白嶺の街並みを優しく照らし出していた。 特務軍本部の最上階。総帥室の大きな窓際に立ち、鷺原は平和を取り戻した帝都の景色を静かに見下ろしていた。「鷺原総帥……」 背後から静かな足音が近づき、鷺原の銀色の長髪に舞い込んでいた一枚の桜の花びらが、そっと取り払われた。 振り返ると、そこには火野が立っていた。 彼女の右腕の袖からは、特注で作られた精巧な機械仕掛けの義手が覗いている。あの日、命と引き換えに失われた腕の代わりだった。「彼らは……まだ、どこかで生きているのでしょうか」 火野の問いかけに、鷺原は再び窓の外へと視線を戻し、ふっと目を細めた。「せっかく平和な世界になったんだ。……生きていてもらわないと困る」 ――あの日。 ジェネシスという強大な悪意が打ち倒され、すべてが終わった直後。 菫川の手配した特務軍の特別救護班が、崩落の危険が迫る海底研究所の最深部へとついに突入を果たした。 しかし、血の海と化した研究室に残されていたのは、意識を失い倒れていた鷺原と火野の二人だけだった。 絶対的な力を持っていた白玖も、彼を最期まで支え抜いた緋依の姿も、そこにはなかった。 ひび割れた冷たい金属の床には、緋依が流したであろう絶望的な量の血痕が広がっていた。 そしてその中心には、薄紅色のガラス細工の桜の破片と、雪のように白い獣の毛がいくつか落ちているだけだった。 どれほど部隊を動員して瓦礫を退けようと、二人の遺体はどこにも見つからなかった。 ただ一つ、鷺原たちが決して公にはせず、特務軍の極秘記録にも残さなかった事実がある。 研究所から地上へと続く、長く薄暗い連絡通路。 その冷たい床には、血に濡れた巨大な獣の足跡が点々と残されていた。 その足跡は途中から、もう一匹分の小さな足跡と並んでいたのだ。 巨大な獣の歩幅に合わせるように、そして、互いに寄り添いかばうように歩く、一回り小さな獣の足跡が。 その事実だけが、二人が人間という枠組みを超えて生き延びているという、鷺原たちの唯一の希望だった。 特務軍の技術研究局。 ひっそりとした個室の研究室で、菫川は分厚い資料の山に囲まれな
腹部を貫かれた緋依の小さな身体が、無慈悲に宙へと持ち上げられた。 ジェネシスの異形化した強靭な腕が、血に染まった緋依の首根っこを乱暴に掴み上げている。「あーあ。君は次の母体にするつもりだったのに。抵抗するもんだから……致命傷になってしまったかな?」「ぐっ……うう……ッ」 緋依の口から、ごぼりと赤黒い血が溢れ落ちる。ジェネシスはつまらなそうに目を細め、血の海に沈む床を見下ろした。「出血が多いなぁ。これはダメかな? また次の母体を探さないと……」「緋依ッ!」 総帥が血を吐くような悲鳴を上げ、満身創痍の身体を引きずって駆け寄ろうとする。 だが、ジェネシスが煩わしそうに指先を振ると、亜空間から射出された二本の骨の槍が、総帥の右腕と左足を容赦なく床へと縫い留めた。「がはっ……!!」「鷺原総帥……ッ!」 動けない火野が絶望の声を上げる。 最高戦力である白玖は操られ、他の三人は瀕死の重傷。 もはや万事休す――誰もがそう死を覚悟した、まさにその時だった。『……申し訳ありません。少々、手間取ってしまいました』 突然、研究室に設置されたスピーカーから、聞き慣れた青年の声が響き渡った。 ――技術研究局の菫川主任だ。 直後、壁一面を覆っていた巨大なモニター群が激しく明滅を始め、白玖を縛っていた赤い命令コードが次々とエラーを吐き出して崩壊していく。「なんだ……? 外部からのハッキングだと!?」 ジェネシスが驚愕の声を上げたのと同時に、白狐の氷のような瞳に、確かな理性の光が戻った。 白玖がハッと息を呑み、周囲の惨状を見渡す。 右腕を失い血だまりに伏す火野。四肢を貫かれ倒れる総帥。そして、ジェネシスに首を掴まれ、腹部から絶望的な量の血を流している愛しい少女の姿。 床には、彼が贈ったガラス細工の桜の髪飾りが、無残に砕け散っていた。『こ、これは……ッ!』『白玖様! そちらの惨状はモニター越しに確認しています。ですが、今は創造主を倒すことを最優先でお願いします!』 菫川の悲痛な叫びが、白玖の脳髄を叩き起こした。 次の瞬間、白玖の全身から、これまでとは比べ物にならないほど禍々しく、そして純粋な殺意を帯びた魔力の暴風が吹き荒れた。『お前っ……よくもッ!!』 怒髪天を衝くとはこのことだった。 激昂した白玖の巨体が、一瞬で音を置き去りにした。 ジ
「緋依……ッ!」 おぞましい骨の触手によって空高く吊るし上げられた緋依の姿に、総帥の悲痛な叫びが研究室に響き渡った。 今すぐにでも助けに向かいたい。だが、総帥の目の前には自我を奪われた白玖の容赦ない猛攻と、異形と化したジェネシスの長大な鉤爪が立ちはだかっていた。 二体の規格外の化け物を相手に、剣の達人である総帥でさえ、ギリギリのところで致命傷を躱すのが精一杯という絶望的な状況だった。(このままでは、ジリ貧だ……っ!) 総帥は歯を食いしばり、大太刀を大きく振りかぶった。 狙うのは――白玖。 総帥は心を鬼にして白狐の巨体の懐へと潜り込むと、その太い前脚を非情にも両断した。 白玖が痛みに身をよじり、体勢を崩す。〝異形〟の細胞を持つ白玖の肉体は瞬時に修復を開始するが、完全に元通りになるまでにはほんのわずかなタイムラグが生じる。 総帥が作り出した、一瞬の隙。 それを逃さず、総帥は標的をジェネシスへと切り替え、床を蹴って肉薄した。 しかし、ジェネシスは発達した両腕を使って信じられないほどの敏捷さで後退し、虚空に無数の黒い穴を開いた。 亜空間から、鋭く研ぎ澄まされた槍のような骨が次々と射出され、総帥を串刺しにしようと襲いかかる。 総帥は神速の太刀捌きで飛来する骨を弾き落としていくが、その動きを制限された隙を突き、ジェネシスの巨大な鉤爪が横薙ぎに振り抜かれた。「ぐっ……!」 間一髪で身を反らして回避したものの、鋭い爪の先端が総帥の胸元を掠めた。分厚い軍服が引き裂かれ、空中に鮮血が散る。 わずかに体勢が崩れたその絶対的な死角から、ひときわ太く鋭い骨が、総帥の無防備な喉笛めがけて突き出された。「……ッ!」 吊るし上げられていた緋依は、その光景に息を呑んだ。 助けなければ。しかし、首元を骨の触手にきつく締め付けられているため、声が出せず魔法の詠唱ができない。視界が涙で滲む中、緋依はただ絶望することしかできなかった。 だがその時、鼓膜を劈くような銃声が室内に轟いた。 ドガァンッ! という炸裂音と共に、総帥の喉を貫く寸前だった極太の骨が粉々に砕け散る。「火野……!」 総帥が視線を向けた先には、右腕を失い血溜まりの中に倒れ伏しながらも、残された左手一本で大型拳銃を構える火野の姿があった。 激痛と失血で顔面は蒼白になり、息も絶え絶えでありながら、
ひときわ重厚な金属の扉。 総帥と白玖が力を合わせてその鋼鉄をこじ開けた先に広がっていたのは、先ほどまでの無機質な通路とは打って変わった、広大な研究室だった。 壁一面を埋め尽くすほどの無数の巨大なモニターが、血のような赤い光や昏い緑のデータを明滅させている。 空調の低い稼働音だけが響くその空間の中央に、一人の男が立っていた。 伸びきった黒髪を低い位置で無造作に纏め、口元には無精髭をたくわえ、着古してヨレヨレになった白衣を羽織っている。分厚い眼鏡の奥の瞳は、知性と狂気が入り混じった異様な光を放っていた。 彼こそが、すべての〝異形〟を生み出した元凶であり、白玖の父親――創造主だった。「やぁ。よく来たね。我が息子よ」 親が子を出迎えるような、ひどく穏やかで狂気に満ちた声だった。 白玖は無言のまま、氷のような瞳で男を睨みつける。「兄弟たちや、あまつさえ母さんまでも手にかけたか。実に、実に罪深い。……この私、父さんまで手にかけるつもりかい?」「……黙れっ!!」 白玖の怒りが臨界点を突破し、凄まじい魔力の風が吹き荒れた。 瞬時に巨大な九尾の白狐へと顕現し、殺意を剥き出しにして牙を鳴らす。 緋依、総帥、火野の三人もそれぞれ武器と魔力を構え、臨戦態勢をとった。 しかし、ジェネシスは微塵も怯えることなく、むしろ口元を歪めて嗤った。「くくっ。出来損ないと言えど、貴様も私の細胞を受け継いだ我が息子であることには違いないのだよ。……個体番号127」 ジェネシスが手元のコンソールを操作すると、壁一面のモニターに不気味な文字列が高速で流れ始めた。『――創造主の意志に従い、人類を殲滅せよ』 無機質な電子音声が研究室に響き渡った瞬間だった。 顕現していた白玖の巨体が、ビクンと大きく跳ねた。氷のような瞳から光が失われ、底なしの暗闇のように濁っていく。 次の瞬間、白玖の強靭な顎が、目の前のジェネシスではなく――真横にいた総帥へと猛スピードで襲いかかったのだ。「なに……っ!?」 総帥が咄嗟に大太刀を盾にして白玖の重い一撃をいなすが、その凄まじい衝撃に後方へと弾き飛ばされる。「白玖様!?」 突然の狂行に緋依は悲鳴を上げた。火野も絶望の色を浮かべ、瞬時に銃を構える。 白玖の意志とは無関係に、彼の肉体はジェネシスの命令コードに完全に支配されて
Rebyu