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第101話・お昼にしよう

Autor: 新矢識仁
last update Última atualização: 2026-01-16 06:32:55

 サーラの言った通り、泥魔獣はトーチに掲げた火に怯んでいた。

 泥で出来た魔獣ではなく、ある魔獣の肉体が腐り果てて泥に変質したらしく、切っても突いてもダメージは受けなかったが、ヤガリの、恐らく心臓の辺りを狙った戦斧の一撃で砕け散り、動きを止めた。

 それでもサーラの言う通り、落ちた泥を全てトーチの火で蒸発させ、魔獣退治は終わった。

「はーっ、焦った……」

 剣がぬぷりと肉体で受け止められた時はどうなるかと思った。

 叩き斬る戦法が得意なヤガリがいなかったら、俺か、あるいは炎の守護獣であるサーラが魔法を使うしかなかっただろう。

 だけど、サーラは微笑む。

「あんな低級の魔獣ごときに魔法を使うなど魔力の無駄遣い。そうは思わないか?」

 ……まあ、な。

 たかだかトーチの火に怯む程度の魔獣に、生神や守護獣の魔法は強すぎる。もう一本トーチがあればあっちが逃げていった可能性だってあるんだし。

「はあっ、はあっ、はあっ……」

 サーラの腕の中で、まだ小さい少女は息を荒げていた。

「泥魔獣は、倒した。まだ他にいるかい?」

 少女が俺を見る。まん丸の瞳にいっぱい恐怖を溜めこんで、サーラの腕からも逃れようとしている。

 ……そうか。逃げてきたんだな。

 擦り傷やひっかき傷がたくさんついた、むき出しの腕や足の細さが痛々しい。

 俺は力のない太陽を見上げた。

「そろそろ昼にしようか」

「いいのか? 襲われた所で」

「街道だったら何処ででも結果はあまり変わらないと思う」

「確かに」

「ハーフリングの少女」

 サーラは両手で小さな少女を自分の目の高さまで持ち上げて言った。

「お前が我々を信用できないのも無理はない。この世界、味方など何処にもいないと思って逃げて生きてきた人間ならばなおのことな。だが、今一度、一度でいい、人間を信じてみる気にならないか?」

「そ、そんな顔して、騙そうったって、無駄なんだから!」

「そうか。ならば仕方ない」

 サーラはさっさと少女を下ろした。

「これから我々は昼食にしようと思っているのだが、その昼食にも付き合えない程信頼されていないのであれば、これ以上親切心を起こしても仕方あるまい。どこに安全な場所があるかは知らぬが、そこまで久遠に逃げていくが良い」

 少女は目を丸くしたり点にしたり。

 たたたたっと走っていって、木陰からこちらを伺っている。

 よっぽど壮絶な人
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