All Chapters of 生神様になったらめっちゃ思い通りになるんですけど: Chapter 1 - Chapter 10

107 Chapters

第1話:一見不幸な人生

 さて。 俺、遠矢真悟は、傍から見れば不幸な人生を送って来たと思う。 小学校の入学式修了後、写真を撮っている時に突っ込んできた車によって目の前で両親を亡くした。 唯一の親族、父方の叔父さんが俺を引き取り、俺は小学生にして家事全般を自己流ながらマスターして、男二人暮らしで、学校から帰ったら買い物、料理、掃除、洗濯、と主婦並みには働いていた。叔父さんは無口な人で、あまり家には会話はなかった。 その叔父さんも俺が高校生の時に病に倒れ、帰らぬ人となり、俺は家に一人取り残され、一人で生きてきた。 ここまで聞くと、大抵の人が苦労したねえ、大変だったろう、と言って同情する。 のだが。 俺は一度たりとも、自分を不幸だと思ったことはない。 死ぬ時は誰でも死ぬ。遅かろうが早かろうが、みんな死ぬ。嘆いていても何にもならない。それが両親の通夜から葬式にかけて考えに考えて、幼心に辿り着いた結論だった。一年生になったばっかのガキが考える事じゃないとは自分でも思うけど、事実そうなんだから悩んでも仕方がない。 両親の死因は九十パー相手が悪い事故だったので、成長するまでの必要経費と学費を払ってもらうことができた。それの預かり役であるおじさんは、それを俺に無断で使うことなく、きっちり貯蓄してくれていた。無口で不愛想だったけど、非常に真面目な人だったので、入院直後に弁護士を呼び、家と、その貯蓄した財産を遺してくれた。 おかげで高校を中退することなく卒業できたのである。 もちろん大学は無理だったけど、家があって、高卒で働ける場所を見つけるまで食いつなげる程度には貯金もある。これの何処が不幸なんだ。 あっ。でも、まあ……。 確かに、十九で鬼籍に入るのは、不幸かもなあ。「遠矢慎吾さん?」 名前を呼ばれ、俺は我に返った。 目の前には、死んだおじさんくらいの年恰好をした男がいた。 その人があんまりにも何処にでもいそうな人だったので、実感がわかず、しかし起きた現実は記憶にきっちり刻まれており、俺は思わず現実逃避をしてたんだ。 何でかというと、ついさっき死んだばかりだから。 ハローワークに行くために自転車に乗って走っていたところ、子供がボールを追っかけて車道に飛び出してきたのだ。 何とか避けたところ、子供はそのまま車道のど真ん中まで行ってしまい、対向車
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第2話:人生を選ぶ権利

「お気持ちは分かりますが」 男はお役所の職員さんみたいな感じで話しかけてきた。「これは現実です。逃避しないでくださいね」「いやあ、逃避したくもなりますよ死んじゃったら」「その割には冷静ですね」「冷静ですか?」「特に事故の場合は」 お役所職員さんは頷いた。「いきなりですからね。まず呆然として。唖然として、死んだことに気付いたら、何故自分が死んだ、悪いことは何もしていない、すぐ帰せ、さあ帰せと来ますね」「だろうなあ」「逃避する程度で済んでいる人は珍しいですよ」「……死ぬことは覚悟の上だったからなあ……」 そこで思い出した。「そうだ、あの子! 無事でした? ケガ、なかったですか?」「あなたの助けた子供は、擦り傷程度で済みました。元気ですよ」「よかったあ~」 心からの一言だった。「これであの子が死んでたら、俺、無駄死にだったからなあ~」 はーっと息を吐く。死んでるのに息を吐くのはおかしいと言われるかもしれないけど、本当に安心したから。「さて、ご承知の通りあなたは亡くなったわけですが」 職員さんはとん、と書類を整えて言った。「この後どうなるか、御存知ですか?」「え~と~……」 俺は悩んでしまった。 死んだら終わり、だと思ってたけど、どうやら続いているらしい。 俺がこうやって何処か分からない場所で職員さんと相対していることがその証拠。 それだけでも驚きなのに、更にその次があるとは思っていなかった。「この後、どうなるんですか?」「では、それを説明します」 どうぞ、と、俺の目の前に唐突に現れた、何処にでもありそうな木製の椅子に座った俺を確認して、職員さんは説明を始めた。「転生、生まれ変わり、こういう単語はご存知ですね」「そりゃ普通に日本人やってましたから」「はい。本来は、生まれ変わる世界、立場、親、才能、能力、人生などは、ルーレットで選ばれます」「宝くじかよ?!」「はい、そんなものです」 職員さん、やっぱり職員さんだなあ……。ルーレットかあ……。「しかし、あなたの場合は違います」 職員さんは、にこりと笑みを浮かべた。「あなたはその人生において、前向きに、人のために、生きてこられた」「はい?」 ルーレットに次の人生賭けるのか、とちょっと暗い気分になっていた俺に、職員さんは謎の言葉を繰り出してきた。「人
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第3話:老人

 三日前。 オレは疲れ切って町を歩いていた。 何故かというと、二桁目の会社の面接を終えたから。 在学中に就職先が見つからなかったので、なけなしの金で買ったスーツで、中途採用の会社に履歴書を送りまくっていた。 そのうちの一社の面接を終えて、家に帰る途中だったのだ。 緊張して話していたので、喉が渇いてきて、持ち歩いている水筒に口をつけて……一滴もないのに気付いた。 何で面接が終わって帰るのにここまで喉が渇くんだろう。 とはいえ、貧乏暮らしの俺に、自販機でミネラルウォーターを買うという選択肢はない。コンビニ? そんな魔の住む場所、行ったことない。 どっか水飲むところないかな。トイレでもあれば洗面所で飲めるんだが。 きょろきょろと見回して、何か黒いものに気付いた。 黒スーツと黒サングラスの……おじいさん? 白い髪に白いひげ、赤い服を着ていれば痩せ気味のサンタクロースにも見えるおじいさんが、ぐったりと道端で座り込んでいた。 どうしたんだろう。何か病気? おじいさんの姿が、高一の時亡くなったおじさんに重なって、俺は慌てて駆け寄った。「大丈夫ですか?」 おじいさんはゆっくりとこっちを見上げて……サングラスしていても分かるほど、驚いた顔をした。「……何か用か?」「あ、いえ、具合でも悪いのかなって」 ヘルプマークはないけれど、具合が悪そうだったら救急車を呼ばないと。未だガラケーを使っているけど緊急連絡には問題はないはずだ。「……すまんな、ちょっと疲れただけだ」「具合が悪いなら救急車を呼びますよ」「大丈夫だ……喉が渇いただけだ。この年になると、それだけでも具合が悪くなる」「ちょっと待っててください」 俺は魔窟に飛び込んだ。 魔窟と呼ぶコンビニには色々なものがお高い値段で売られていたけど、俺は真っ直ぐに行って冷蔵庫の中からミネラルウォーターを取り出すとレジに行く。 百円。 う~ん、高い。 家の水道水ならもっと安いのに。 だけどまさか喉が渇いているならそこらのトイレの水でも飲めなんて言えない。俺だったらどんな水でも飲むけど、あのおじいさんが飲んでお腹でも壊したらどうする。 五十円玉と十円玉をさらえて差し出して、全力でおじいさんの所へ戻った。「……?」 ぐったりと座り込んでいたおじいさん。サングラスで表情がよくわからないが、多分
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第4話:生神

 おじさんは言っていた。困っている人は、可能な限り助けてやれって。 情けは人の為ならず、という。誰かを助けたら、その行いは必ず自分の身に戻ってくる。だからと言って、恩返しを目的に人を助けるな。下心のある親切は必ず報いがあるとも。 口数少ない叔父さんが何か言う時は、含蓄のある深い言葉ばかりだった。小学生の時からそうだった。子供にも真剣に教えてくれた人だった。両親の記憶は遠ざかっているけれど、叔父さんと暮らした九年間は俺の根底を成していると言っていい。 だから、ここでおじいさんを見捨てるのは俺の選択肢にはなかった。それだけ。「本当にすまんな。君だって時間がないのに」「時間は……たっぷりありますが」「いや……うむ……そうだ」 おじいさんはゆっくりと立ち上がった。 ……百七十センチある俺より背が高い。予想外だ。 おじいさんはサングラスを外した。 下から現れた顔に、最初に抱いた「痩せたサンタクロース」の印象はなかった。 闇に紛れて牙を磨く肉食獣の目。 年老いた外見にそぐわない、強い目力。 思わず俺が後ずさったほど。 軍人に会ったことはないけれど、多分そういう関係の人が持っている……いいや、それ以上に磨き抜かれた目。中学の時美術展で見に行った日本刀にも似ていると思った。「この礼はさせてもらうよ」 ほんの少しだけ、獣の目が笑った。「三日後」 おじいさんは人差し指を立てた。「君は、選択を迫られる。何になりたいか、と問われる」「え、それって」 もしかしたら、明後日受ける、別会社の面接のことか、と身構える俺に、おじいさんは続けた。「そうしたら、こう言いなさい。生神になりたいと」「いき、がみ?」 何を言われたか分からず、俺は間抜けな顔をしていたと思う。「誰に聞いたか、と問われたら、「貴船」に言われたと答えなさい。それでいいはずだ」 どういう意味かさっぱり分からない。「君は、そうなるだけの価値がある」 おじいさんは深々と頭を下げると、俺に背を向けて歩き出した。 思わず突っ立って、その背が路地を曲がって消えたところでようやく我に返った。「生神……?」 おじいさんに言われた謎の言葉から、別の単語が出てきた。 死神。 ……そうだ、俺はあのおじいさんに、死神を見たんだ。 全身に鳥肌が立っていることに気付い
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第5話:貴船さん

「生神?!」 職員さんは手を止め、目を見開いてこっちを見た。「どうして、その言葉を」「き……貴船って人が、そう言えって」「貴船」 職員さんの目が飛び出そうなほどになってる。「貴船さんが、あなたに、そう言えと言った」「何か……悪かったでしょうか。それとも」「い……いやいやいや!」 職員さんは慌てて手を振った。「人のために生きてきた、あなたは間違いなく生神の価値がある。それだけの人生を送ってきた。ましてや貴船さんの推薦があるとなれば」 やはりあのおじいさん、只者じゃなかったらしい。 目力半端なかったもんな。真正面から見れなかったもんなあ。「……分かりました!」 職員さんはバン! と机に書類を置いて頷いた。「生神に、なってください!」 いや、なってくださいと言われても。「あの……生神って、何ですか?」 聞いておいて、変なことを聞いたと俺は慌てて手を振る。「いや、貴船って人にこう言えって言われただけで! それがどういう意味かは俺、さっぱり分かんなくて!」「もちろんです。生神の意味を知る人はいません。少なくともあなたの人生に生神は関わってこなかった。知らなくて当然、何をすればいいかもわからない。でも、そうでなければならないのです!」 なんのこっちゃ。「ちょうど生神派遣要請もあることですし! 遠矢慎吾さん、あなたを生神として、ワールドに派遣します!」 いや、そんな興奮されても俺よくわかんないんだけど。「いやいやいや、そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫。あなたならできますし、トリセツも当然付けますので!」 トリセツ? 余計訳分からん。家電にでも生まれ変われってのか? 職員さんは俺の疑問に一切答えず、書類に素早く書き綴った。「遠矢慎吾さんを、ワールド「モーメント」への派遣生神とします! 詳しいことはあちらへ行ってからトリセツでご確認ください!」 俺の名前が書かれた書類に、バン! と朱印を押して、職員さんはそれを俺に押し付けた。「では、行ってらっしゃい! 存分に楽しんで!」 職員さんが俺に押し付けた書類から手を離した瞬間、書類が眩しい光を放った。 途端、足元に感じていた柔かい感覚が消えた。 浮遊感。 落ちてる?!「うわあああああマジかああああああ」 白い空間が切り替わって闇に変わり、そのまま全身が落下する感覚
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第6話:降臨

「神様……」 少女は祈っていた。 荒れ果てた神殿。大地も海も何もかもが荒れ果てて、空だけが青い。「どうか、神様……」 祭壇に向かい、祈る。「世界を……お救い下さい……」 もうこの世界は駄目だ。 動物も、植物も、全てが失われ、生き残った人間もまた、滅びゆこうとしている。 神官だった両親は、食事を自分に譲って、死んでいった。 もうこの神殿で祈るのは自分しかいない。 神殿に祈りに来る者も、いなくなった。 この地は神に見捨てられたのだ、と。 だけど、自分はこの神殿から離れない。 一族だけが知っている、ある伝説。 それを信じているから、自分はこの神殿から離れない。 世界が破滅する時、神が天下りて世界を創り直すのだと。 その手伝いをする一族の者がいなくなれば、本当にこの世界が終わってしまう。 だから。「神様……」 その時。 祭壇に飾られた、透明で平らな石が光を放った。 神が天下り、力を揮う縁となる神器と伝えられている、この神殿の至宝。 石が光っている……いいや、違う。 上空から光が降りてきて、石に当たっているのだ。「まさか――」 少女は目を見開いた。「神様?」 降りてきた光が、ぶわりと膨らんだ。 神殿いっぱいに光が広がって。「うわあ?!」 人の声……? ううん。 神様の!「神様!」 神殿にぶつかると思った瞬間に、視界が反転して。 気が付くと、俺は暗い場所にいた。「何なんだ一体……」 死んだと思ったら訳の分からない場所で訳の分からないことを言われて、いきなり上空から落っことされた。 いや、死んでないけどさ。 あれだけの高さから落とされたら、普通死んでるけどさ!「ったく、一体どこなんだ……」 起き上がりながら辺りを見回す。 何だかボロボロな建物の中。 よっこいしょ、と起き上がって。 ここが周りより一段高い場所。何かの台の上に、俺が倒れていたらしい。 そして、下のほうで、何か大きな黒いものがある。「ん?」 黒いものが動く。 見ると、それは人間だった。 ぼさぼさの長い髪で顔は隠れて見えない。服もボロボロで、男か女かすら見分けがつかない。「神様?」 小さい声が聞こえた。 女の声だ。「神様!」 その声は震えていた。 てか、神様って。 辺りを見回すけど、それらしき存在はいない。
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第7話・タブレット端末

 タブレット端末、知ってはいるけど持ったことはない。他に親戚がいないからと押し付けられた小学生を引き取ってくれたおじさんに、スマホやタブレットが欲しいなんて口が裂けても言えるはずがない。ただ、おじさんが連絡が取れないと困るだろうからと、携帯ショップに連れて行かれて、最新鋭のスマホを選んでいるのをそれじゃああんまりにも申し訳ないと最終機種らしきガラケーにしたのだ。ちなみにおじさんは亡くなるまで俺の携帯代も払ってくれていた。良いおじさんだったなあ……。 と、おじさんの思い出に逃避している暇はない。 友達が持っていたタブレット端末と、少し形は違って透明だけどほぼ同じそれを、恐る恐る手に取る。 ぴ、と音がした。 ひゅっと息を飲んだのは俺じゃない。さっきから俺に向かって頭を下げ続けている女の子。 そっと画面にタッチして見ると、文字が現れた。【生神認識:遠矢真悟】 あ、生神って、こういう字を書くのか。 生きる神様? なんじゃそりゃ。 タブレットを手に持って、スライドして見る。【ワールド・モーメント専用神威具現端末(通称:М端末)は遠矢真悟を所有者として認識します。よろしいですか?】 Y/Nと出た。多分、YESとNOだな。 NOを押すとどうなるかちょっとだけ好奇心が湧いたけど、変な好奇心は身を亡ぼす、と教えてくれた叔父さんに教えに従って、素直にYを押した。【了解しました。遠矢真悟をM端末の所有者として認識します。これより遠矢真悟はワールド・モーメントの生神として登録され、ワールド・モーメントとそれにかかわる全ての創造権、破壊権など、全権を委託するものとします】 ワールド・モーメントの権利? あの職員の人も言ってたし、ワールド・モーメントは多分……落ちてくる時見た、あの荒れ果てた大地で間違いないな。しかし全権って? 売り払ってもいいってことか?【新矢真悟の生神レベルと1と認定。生神レベル1専用M端末チュートリアルを実行しますか?】 またY/N。チュートリアルって……あれだ、友達んちに遊びに行って、ゲームやらせてもらった時、お手本みたいなプレイがあった。その事か。 このM端末とやらで何ができるか分からないので、Yを押す。【では、これよりチュートリアルを開始します】 ぴ、と、ボロボロの建物が映し出された。 既視感。 そして思い出す。俺が落
last updateLast Updated : 2025-12-05
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第8話・レベルアップ

 タブレットを見ると、【神威・再生成功】とあった。【これが、神威の第一です。生神はこの世界にある自然・建築物を自由に再生できます。神威・創造ならば、一から世界を創り直すことも可能ですが、その場合はレベルを上げて属性を増やすことが必要です。レベルが上がるまでは再生で信仰と経験値を増やしましょう】 信仰心? なんのこっちゃ。「あ……本当に……神様が……降臨、してくださった……!」 その声に振り向くと、女の子が手で顔を覆って肩を震わせていた。髪も服もボロボロのまま。 なるほど、神殿を素の姿に戻したんであって、彼女は神殿じゃないから。 しかしあんな格好じゃあんまりだよなあ。俺も決して恵まれた環境じゃなかったけど、彼女はどう見ても俺以上に大変な目に遭っている。【次に、神子認定をしましょう】 神子? 何それ。【神子とは、信仰心を持って生神に仕える聖なる存在です。神子の信仰心が高ければ高い程、生神の力となります。様々な属性があり、その属性がそのまま生神の力となります。信仰心と属性を持つ神子を増やせば増やすほど、世界は豊かになっていきます】 説明されてもよくわからん。 そこに、目の前のボロボロな女の子が映し出された。何で目の前にいるのにわざわざ液晶に映すんだ。【神子候補:シャーナ・リザー 信仰心レベル5000 属性:水/大地/聖】 どうやらこの女の子はシャーナ・リザーというらしい。信仰心と属性はよくわからない。【高い信仰心を持っています。シャーナ・リザーを神子に認定しますか? Y/N】「しないと話が進まないんだろうが……よっと」 Yを押す。 また、あの柔かい光が満ちる。そこで気付いた。 この光、俺が出してるっぽい。 しゅるるる、と俺が知らないうちに出している光が渦を巻いて、女の子に吸い込まれた。「わたくしは……神に……お仕え、します」 光に包まれた女の子の声が聞こえた。 すぅ、と光が収まると、そこには相変わらずボロボロ姿の女の子。【神威・神子認定成功】 そして、【生神レベル/信仰心レベルがアップしました】 なに。神様にもレベルあるの。そう言えば最初の時俺をレベル1に認定するって出てたよね。それかな? その時、タブレットの液晶に【ここをタップ】と【ステータス】が示されたので、タップする。【遠矢真悟:生神レベル5/信仰心レベル5
last updateLast Updated : 2025-12-05
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第9話・チュートリアル終了

 まだいろんな力があるってわけか? タブレットがすごいのか、俺に宿った力なのか。 分からんが、とにかくすごいのはよくわかった。【なお、神子以外の人間を生き返らせることはできません。神子は、生神の力を行使するのに必要な存在の為、契約している間は不老不死です。ただし、神子の信仰心が低くなると契約が切れ、ただの人間に戻ります。そうなったら再び契約を結び直すことはできません。神子の信仰心を常に確認して、立派な生神になりましょう】 なるほど、信仰のない神様なんて、意味がないってわけか。【以上でチュートリアルを終わります。M端末は体内に同化し、必要な時に引き出して使えます。M端末を喪失することはありませんのでご安心ください。それでは、善き生神ライフを!】 そして、端末は静まり返った。 ふと、俺は思いついた。 「神威」ってのは俺がタブレットを使って使える力で、何かを元通りにできるんだよな。 人間は再生できない……じゃあ、服とかは? 試してみるか。 タブレットの【神威】を起動して、再生を選ぶ。 シャーナという女の子に向けると、【衣服】と出た。これだこれ。 【再生】をタップする。 すると、ボロボロで彼女を辛うじて覆っていた衣服が、光に包まれた。【神威・再生成功】「神様……?」 ありゃ失敗か。いや成功はしたんだけど。白い、女神のコスプレみたいな……いやこれはシャーナさんに失礼だな……とにかくそういう神聖な感じの服を着てはいるけれど。髪の毛とか長い間洗っていないだろう体はそのままだ。 神威の所をよく見て、さっきレベルアップした時についたらしいものがあった。 【神威・NEW】と記されている。 説明欄を見てみると、【神威・浄化:穢れ、汚れなどを全て清浄な状態に戻す】とある。 おう、これだこれ。 もう一度シャーナさんに合わせて、【神威・浄化】を押す。 伸びきったばさばさの髪がキレイな黒髪に、 洗っていなかったであろう薄茶色かった肌が透き通るような薄桃色に。「神様……」 シャーナさんは俺を見て。 手を組んで跪いた。
last updateLast Updated : 2025-12-05
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第10話・神子

 やっと見られたシャーナさんの顔は。 ゾクッとするほど綺麗な……女の人だった。 切れ長の目、ツンと尖った鼻、化粧もしていないだろうに紅色の唇。「神様……」 シャーナさんが顔を上げ、俺と目を合わせた。 琥珀色した瞳に潤むもの。 美人は泣き顔も綺麗だと言うけれど、ああ間違いない、シャーナさんは美人だ。 俺の顔を見て、泣きそうな顔をして、呟いた。「やっと、御降臨くださったのですね……」 さて、何と言うべきか。 俺に神様みたいなことができることは分かった。そして生神になりたいと言ってここに来たのも覚えている。端末の反応を見ても、俺がこの「モーメント」なる世界の神様になったんだろうが、こういう場合、何と言ったらいいものか。 その時。  きゅうるるる……。 シャーナさんの顔が赤く染まった。「も……申し訳ありません……」 穴があったら入りたい、というような表情のシャーナさん。「神子に選ばれた者でありながら、空腹に負けるなど……」 ふと、俺は上空からこの世界を見た時のことを思い出した。 空は何処までも青く澄んでいたけれど、大地は荒れ果て、海は茶色く濁っていた。 滅びかけている世界、であれば、食べ物なんか手に入るはずもない。 あの海に魚がいるとは思えないし、あの大地に動植物が生きられるとも思えない。 そんな世界に最後に生き残っているのが人間で、シャーナさんもその一人だと思った。 とりあえず、なんかないか。 俺は【神威】のアプリを開いた。 使えるのは【再生】と【神子認定】と【浄化】。俺の現在のレベルではまだまだそこまでだ。 【神子認定】はとりあえず関係ないな。【再生】と【浄化】でなんかできないか……。 あ。「……食糧庫はある?」「あ、は、はい」 消え入りそうな声でシャーナさんは言った。「ただ……全部腐っています……。両親がほとんど飲まず食わずで遺してくれたのですが……」 つまり、それだけ長い間、シャーナさんは一人空腹と……恐らくは渇きに耐えながら、ここで祈っていたのだ。 そう考えると、とにかく何とかしてあげたいと思うのが人間だろう。 俺はシャーナさんと一緒に、神殿の地下貯蔵庫に向かった。  地下貯蔵庫は綺麗になっていたけど、シャーナさんの言う通り、食べ物は全部腐っていた。燻製肉や干し魚はカビにやられているし、その他の
last updateLast Updated : 2025-12-06
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