地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした

地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした

last updateLast Updated : 2025-12-03
By:  新矢識仁Completed
Language: Japanese
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十五歳。それはコアを見、宿すことができる年。同化したコアの色によって異能を使えるようになり、それによって将来が決まるこの世界で、僕が手に入れたのは何にも使えそうにない色だった。 しかし、この色、実は裏があるようで……? 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

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Chapter 1

第1話・十五歳、春。

노을이 질 무렵, 신세희는 감옥 대문을 나섰다.

그녀는 임시 보석으로 출소를 한 것이었다. 그녀에게 주어진 휴가는 단 하루뿐이었다.

그녀는 주소를 손에 꼭 쥔 채로 차에 올라탔다. 해가 다 진 후에야 그녀는 산 중턱에 위치한 낡은 별장 앞에 도착했다.

문지기가 신세희를 별장 안으로 인도했다.

별장 안은 칠흑같이 어두웠고 들어서자마자 풍겨오는 짙은 피비린내를 맡을 수가 있었다. 신세희가 미처 어둠에 적응하기도 전에 한 쌍의 팔뚝이 그녀를 단단히 품속으로 끌어안았다.

이내, 뜨거운 숨결이 그녀를 덮치기 시작했다. “너구나? 게네들이 죽기 전에 즐기라고 보낸 아가씨?”

신세희의 눈에서 눈물이 흘러내렸다.

갑자기, 그녀의 목소리가 떨리기 시작했다. “당신… 곧 죽어요?”

“맞아! 나 손님으로 받은 거 후회하고 있는 거야?” 남자가 조용히 냉소했다.

“후회 안 해요.” 신세희가 처량하게 대답했다.

그녀에겐 후회할 여지가 남아있지 않았다.

살려야 할 어머니의 목숨이 아직도 그녀를 기다리고 있었으니까.

별장은 남자의 얼굴을 확인할 수 없을 정도로 무척이나 어두웠다. 하지만 남자가 죽을 사람 같지 않다는 사실 하나는 확인할 수 있었다. 그는 두, 세 시간이 지나서야 겨우 잠이 들었다.

죽은 건가?

신세희는 두려움에 떨 시간도 없었다. 그녀는 황급히 별장에서 도망쳤다.

밤하늘에는 거센 비가 차갑게 내리고 있었고 그녀는 내내 비를 맞으며 임씨 저택으로 달려갔다.

밤 열한 시가 넘는 시간이었다. 임씨 저택의 대문은 굳게 닫혀 있었다. 그런데도 신세희는 저택 안에서 들려오는 즐거운 말소리를 들을 수가 있었다. 마치 무언가를 축하하는 것 같았다.

“문 열어요! 빨리 문 열어요! 돈 줘요! 빨리요! 우리 엄마 살리러 가야 한단 말이에요…. 문 열어요! 문 열어요!”

대문은 여전히 굳게 닫혀 있었다.

비바람을 맞으며 버스를 기다린 탓인지 신세희의 정신은 무척이나 흐릿했다. 제대로 몸을 가눌 수도 없었다. 하지만 그녀는 반드시 정신을 차리고 부서져라 대문을 두드려야 했다. “문 열어요! 문 열라고요! 빨리 돈이나 줘요! 나 엄마 살리러 갈 거예요…”

“쾅!” 대문이 열렸다. 절망감만이 가득했던 신세희의 눈에 한 줄기의 희망이 어리기 시작했다.

허영의 눈에서는 경멸과 혐오가 가득했다. 그녀는 차가운 눈빛으로 신세희를 위아래로 훑어보았다.

지금 자신의 모습이 거지만도 못하다는 사실을 신세희는 알고 있었다.

그녀는 자신의 모습이 어떤지 신경 쓸 새가 없었다. 그녀는 허영의 바짓가랑이를 붙잡으며 빌기 시작했다. 그녀의 눈빛은 무척이나 비굴했다. “당신들이 하라고 한 일, 이미 다 했으니까 빨리 돈부터 줘요. 우리 엄마 지금 일분일초가 급한 상황이란 말이에요. 제발…”

“너희 엄마 이미 죽었어. 그러니까 넌 이제 더 이상 돈이 필요하지 않아.” 허영은 검은색 액자를 빗속으로 던지며 매정하게 대문을 닫았다.

“뭐라고?” 갑작스러운 소식에 신세희의 몸은 그대로 얼어버렸다.

한참이 지난 후, 그녀는 귀를 찌르는 소리를 내며 울부짖기 시작했다. “엄마…”

“엄마… 내가 너무 늦게 와서 그런 거지? 내가 엄마를 살릴 시간을 놓쳐버린 거지? 우리 엄마가 죽었어… 우리 엄마가 죽었다고…” 신세희는 어머니의 영정사진을 끌어안은 채로 빗속에 움츠려 내내 중얼거렸다.

곧이어, 그녀는 자리에서 일어나더니 미친 사람처럼 대문을 두드리기 시작했다. “거짓말쟁이! 약속한 일 다 했는데도 당신들은 우리 엄마를 살리지 않았어. 우리 엄마 돌려줘! 거짓말쟁이! 당신 집안에 불운이 들이닥칠 거야…. 사기꾼, 사기꾼, 사기꾼! 죽어서도 눈 편히 못 감게 내가 당신네 집안 평생 저주할 거야…”

신세희는 한참을 울다 임씨 저택 앞에서 그대로 쓰러져버렸다.

정신이 들었을 때는 이미 사흘이나 지난 후였다. 그녀는 그대로 감옥으로 운송되었다.

정신을 잃었을 때 그녀는 내내 몸이 아팠었다. 열이 내내 내려가지 않았고 의식도 없었다. 사흘 후, 열이 내린 후에야 그녀는 다시 원래 있던 감옥으로 돌아왔다.

몇 명의 여죄수들이 그녀를 둘러싸기 시작했다.

“난 네가 가석방 받아서 자유의 몸이 된 줄 알았는데… 고작 사흘 만에 돌아온 거야?”

“소문으로는 밤새 남자랑 놀아났다던데?”

사나운 여자 한 명이 신세희의 머리를 과격하게 잡아당기며 악독하게 웃기 시작했다. “너 진짜 팔자 좋다! 내가 너 오늘 어떻게 죽이는지 두고 보자고!”

신세희는 눈 하나 깜빡하지 않았다.

그냥 날 죽여. 그럼 엄마도 다시 만날 수 있고 좋지 뭐.

한 무리의 여자들이 그녀의 옷을 벗기려 손을 대던 그때, 문 앞에서 엄숙한 목소리가 울려 퍼지기 시작했다. “뭐 하는 거야!”

무리의 대장이 빠르게 대답했다. “신세희가 아파서요. 봐주고 있었어요.”

교관은 그녀의 말에 아무런 대답도 하지 않고 무덤덤하게 신세희의 죄수 번호를 불렀다. “죄수 번호 036, 나와!”

신세희는 앞으로 걸어가 멀뚱히 교관에게 물었다. “저 또 뭐 잘못했어요?”

“당신 무죄로 석방됐어.” 교관의 얼굴에는 아무런 표정의 변화도 없었다.

“뭐라고요?” 신세희는 지금 이 상황이 꿈만 같았다. 교도소 대문을 나선 후에야 그녀는 이 모든 상황이 사실이라는 걸 깨달았다.

그녀는 기쁨에 겨운 눈물을 흘리며 말했다. “엄마! 엄마 목숨 못 살린 거 말이야, 용서해줄 거지? 지금 당장 엄마 보러 갈게. 엄마 어디에 묻혔어…”

“신세희 아가씨 맞으시죠?” 차가운 남자의 목소리가 들려왔다.

양복을 입은 그녀의 앞에 남자가 멈춰서더니 곧이어 그의 뒤에 검은 승용차 한 대가 멈추어 섰다. 검은색 선글라스를 쓴 남자가 그녀를 주시하고 있는 모습이 창문 너머로 어렴풋이 눈에 들어왔다.

그녀는 고개를 끄덕였다. “맞아요. 당신은…”

남자는 아무런 대답도 하지 않은 채 몸을 돌려 차 안에 있는 남자에게 공손하게 말을 하기 시작했다. “도련님, 저분이 맞습니다.”

“타라고 해.” 선글라스를 쓴 남자가 그에게 명령했다.

신세희는 멍한 상태로 차에 떠밀려졌고 그렇게 선글라스를 낀 남자와 나란히 앉게 되었다. 그녀는 옆에서 풍겨오는 남자의 살기를 똑똑히 느낄 수가 있었다.

자신의 목숨이 그의 손에 달린 듯한 착각까지 들었다.

“내 이름은 부소경이야.” 남자의 목소리는 무척이나 차가웠다.

신세희는 자기도 모르게 몸을 부르르 떨었다. “저… 사실은 석방된 게 아니라… 곧 사형당할 건가요? 그래요?”

“지금 혼인신고 하러 가는 거야!” 부소경은 그녀를 무척이나 싫어했다. 그는 그녀에게 눈길조차 주지 않았다.

신세희는 그의 목소리가 어딘가 귀에 익었다. 부소경의 목소리는 그날 밤에 만난 그 남자의 목소리와 무척이나 비슷했다.

하지만, 그 남자는 이미 죽었다.

“뭐라고요?” 그녀는 자신이 무언가를 잘못 들었다고 생각했다.
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第2話・悪夢の誕生日に
 いやいや、僕だって一生懸命探したんだよ? 十五歳の朝、家族のおめでとうも言葉もそこそこに外に飛び出て、それまで気づかなかったコアの姿に興奮した。 色の強いコアに次々触った。 でも、コアは相性で決まるって言ったろ? ふにっという感触はしても、どれもこれも僕の中に入ってくるものはなかった。 もしかして、僕に合うコアはないのかと思い始めて、緑系コアを持つおばあちゃんが僕の誕生をお祝いして庭に植えたって言う木の根元に座り込んだ時。 むにゅ、とお尻に柔らかい感触。 あ、何か踏んだかな、って思って立ち上がろうとしたその時、ズボンの布地を、下着の布地を、そして皮膚をすり抜けて入ってくる。 両親や先に十五になった友達に散々聞かされた不思議な感覚。 まさか。 もしかして。 コア? 期待と、不安の入り混じった、この感触。 やがて、右手の甲が熱くなってきた。 宿ったコアは人間の皮膚のどこかに浮かび上がる。おばあちゃんは眉間だったし、父さんは左の太もも、母さんは右の鎖骨の上だった。 ……お尻じゃなくてよかったって思った。 右手に、発光しながらゆっくりとコアが浮かび上がってくる。 この光が落ち着くと、コアの色が定着し、めでたくコア定着完了、となる。 お尻で踏んだから色は分からない。どんな色だろう。 右手の甲に完全に浮かび上がったコアは、最後の光を出し終えて。 僕が希望した、何の色にもならなかった。 丸く浮かび上がるコアに、色はない。 ……って言うか……。 もしかして、ベージュ色? これ。 肌に紛れて色が分からない程、淡い淡いベージュ。 火の赤でも、空の青でも、木々の緑でもない、ベージュ色。 いや、色としては好きだよ? 無難だし、なんにでも合わせられるし。 だけどさ。 ベージュって色で何かすごい力を想像できる? ああ、これは友達に笑われる。「よりによってベージュかよ!」って笑われる明日が目に見える。 どうせならお尻に出れば見られずに済んだのに……と思って、悪友が見せてみろと制服のズボンを脱がそうとする構図が浮かんで、クラスメイトの前でお尻を出すよりはマシか、と、明後日の方向で自分に納得させようとしたけど、全部うまく行かなかった。 笑顔で待っていた家族は、しょぼくれた僕に不思議そうな顔をしたけど、コアの色を見てすぐに分かった。
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第3話・広がる噂
 どんなに嫌だ嫌だと思っていてもバレる日は来る。特別に嫌な事なら絶対に。 誕生日の次の日が月曜日で、僕は友達に取り囲まれ、どんなコアを手に入れたのだと聞かれ。 僕……丸岡仁のコアが、限りなく無色に近いベージュだったってことは、学校中に知れ渡った。 翌日には、ひそひそ声があちこちから聞こえてきた。「あいつのコア、ベージュだったんだってよ」「ベージュ? マジかよお」「嘘だと思うなら見せてもらえよ。俺、笑えるどころか泣けて来たよ」「何か使える力とかあんのか?」「ベージュで何か連想できるかよ」「あ、美白とか」「それB組の武田が言ったらしいけど、何にも起きなかったとか」「それどころか、別のコアも手に入らないんだぜ? あのコア一つで一生送るんだぞ」「高校受験、どうすんだろな……」「職に就けるかどうかわかんねーしな……」 みんな、一度は笑い、その後、気の毒そうな表情で僕を見た。 何せ、コアは将来に大いに関わってくる要素なんだ。 コアの色で職の向き不向きも出てくるし、特定の職業では色が違ったら採用されない場合もある。コアの色や、コアの力で将来が決まってくる。 なのに僕のコアは色は死ぬほど地味で、三日目の現在、何の力も発揮していない。日焼けに悩んでいるB組の武田さんにどうにかならないかと言われてコアの力を使えないかと努力はしたけど、武田さんの小麦色の肌は薄れもしなかった。美白の力が使えればまだ女の人相手の仕事をできたかも知れないのに。そうすればまだ僕の将来も……。 はあ、と大きくため息をつく。 僕の第一志望高校は日本弧亜学園高等学校。日本で数ある高校の中でも、コアの使い方を教えるのが一番うまい高校と評判だ。 学力は問題ない。内申書にも問題はない。 ただ、弧亜高校には秘密の試験がある。 どんな内容かは知られていない。 合格者は固く口留めされる。落第者は恐らくコアの力で試験の内容を忘れてしまい、思い出せない。コアを使うとしか知られていない秘密の試験と呼ばれるそれが、学力より面接より重要なのだという。 僕の、何ができるかすら分からないコアで、そんな試験を突破できるんだろうか。 去年部活の先輩が弧亜を受けて落ちていた。 赤色に近い黄色と言う色合いで、太陽の光を強めたり弱めたりしようと訓練もしていてある程度うまく行
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第4話・将来性
 僕は、ごくごく普通の中学生だった。 平凡の中の平凡、キング・オブ・平凡。 勉強はできる。 でも、勉強ができるかどうかは平凡にはあんまり関係ない。 影が薄い。気が弱い。陰キャラ。テスト前だけ思い出したように友達が増えて、僕のノートをコピーして、去っていく。 これで目立つ存在だったらびっくりだ。 でも、そんな地味な人生をひっくり返せるのが、コアって存在だ。 色のはっきりしたコアをゲットできれば、それだけで人生は上昇気流。 少なくとも周りの見る目は変わる。 日本だったら、それまで最低ラインをうろうろしていた成績の中学生がいきなり最難関の高校を受験できることになるのがコアってやつだ。 僕も、思ってたんだ。そんな一発逆転を。 明日、目が覚めたら、僕の人生が変わる。 誕生日の前の晩、僕はそう確信して、嬉しくて眠れなかったんだ。 そうして、人生は変わった。 マイナスの方に。 コア一つで。 色なら他に色々あるだろ。何で、淡いベージュなんだ。これならまだピンクとかの女子色とかならよかった。それならまだ発揮する力を想像することができる。 ベージュなんて、僕が真っ先に想像したのが自分の肌の色だった。 そして、これまで様々な色のコアがついた場合のシミュレーションをした頭の中に、このコアがどんな力を発揮するか、思いもつかなかった。 右手の甲にくっついてるコアは僕の肌の色に紛れて、おできでもできたかのように膨らんでいる。 どんなに努力しても、コアの色は変わらない。そして、新しいコアを手に入れることはできない。このコアと一生付き合っていくしかない。 高校受験はあと九ヶ月。 何とかそれまでに、このコアで発揮できる能力を見つけないと。      ◇     ◇     ◇     ◇ うん、まあね。 努力はしたよ? 例えば、怪我を治すとか、痣を消すとかの皮膚系とか。 心を落ち着かせたり、穏やかにさせたりする精神系とか。 とにかく、色の意味を調べて、いけそうなワードを念じてコアに意識を集中させ、その力を発揮しろ、と念じた。 けどね、どれもダメだったんだよ。 ベージュ色、というだけなら、まだ前例はいくつかあった。 だけど、肌に紛れてしまうまでに淡くて薄いコアは、今まで、何の力も発揮しなかった。 コアの発動させ方は、コアを宿した人間が本能
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第5話・道交法違反中学生
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第7話・本気の記念受験
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第8話・秘密の二次試験
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第9話・どうして?
 残された二人で、案内されて教室から出る。 部屋から出された失格者の姿は何処にもない。 信じられない。 コアを操ることが上手く行っていなかったのに、どうして合格したのか。 僕に向かって飛んできた水がどうして僕じゃなく反対方向にいる試験官に浴びせられたのか。 合格者は五十人中二人。……僕よりずっとはっきりした色を持っていた受験生もいたのに、どうして。 どうして、どうしてと頭の中で繰り返しながら、別室に通された。  別室にいたのは、五人だった。 僕たちを合わせて、二百人中七人になる。 この調子だと、千人は受けるって噂だったから、二次試験を通るのは三十五人くらい……? その中には、あの彼方壮もいた。 一番端の席に座っていたヤツは僕の顔を見るなり立ち上がってやってこようとしたが、案内の人に止められた。「自分の席から動いてはいけません」「んだよ、立ったら落ちるってわけじゃねーんだろ?」「落ちます」 その一言に、教室中が静まり返った。「試験官の指示に従えない受験生は、受験資格を剥奪されます。それでも、と言うのであれば止めはしませんが」 彼方は舌打ちして椅子に座り直した。「怖い人だね」 僕と一緒に合格した一七四番の女の子が、こそっと話しかけてきた。「なんか、あった?」「関係ねーだろ貴様はよぉ!」 小さな声を彼方壮は聞きつけたらしく、椅子の向こうから威嚇してくる。……僕に無免許飛行の上コア使用法違反をバラされたらヤバいと思ったんだろうな。 んー、と女の子はあごに指を当てて少し考えて、言った。「私、渡良瀬瑞希。北谷中学。あなたは?」「丸岡仁。鹿子木中学」「女には名乗るのか貴様はよぉ!」「彼方壮さん」
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「すごい試験だったね」 顔を近づけてきた渡良瀬さんは、なんか甘い、いい匂いがした。 あ、ヤバい。心臓がばくばくしてる。 女の子と話すなんて、テスト間近のノートを貸してくれって時しか話したことなかったから。しかもこんなに可愛く、僕に笑顔を向けてくれる女の子なんて、今までいなかったから。 落ち着け……普通に、普通に返事するんだ……。「……うん」 一言。なのに、その一言を言うのにどれだけ緊張したか。「すごかったね、君のコア」「……え?」 予想外の言葉に、今度こそ僕の声はひっくり返った。「ど、どこが?」「すっごく青く染まって、水を跳ね返してたじゃない。あの一瞬だけだったけど、本当に、綺麗な青だったよ」「……青?」 彼女には僕が青く染まって見えたんだろうか。 聞いた僕に渡良瀬さんは笑って頷いた。「そう、青。基本色の青に近かった。深い海みたいな。いいなあ、基本色のコア……」「ちょ、待って待って」 僕は右手を突き出した。「僕のコア、これなんだけど」「え?」 今度は渡良瀬さんの声がひっくり返る番だった。「……ベージュだね」「うん。淡いベージュ」 渡良瀬さんが髪をかき上げてコアを覗き込んでくる。ヤバい、近い。「そ、それに、今まで、力らしい力は、発揮したことがない」「実は別コア持ってるってのは?」「ない」 僕は吐き出すように彼女に言った。ずっと吐き出したかった言葉を。「だって、コア医に言われたんだもん、このコアにキャパ食われて、新しいコアは宿せないって」「本当、に?」 本当だと頷く。 僕の右手の甲を見て、渡良瀬さんは首を傾げた。「でも、確かに見たよ。そのコアが青く光って、丸岡君の全身がすっごく青になって……ああ、こりゃ私落ちたって思ったもん」「そんな……」「……ていうかさ、そんなコアで受験したの? 記念受験?」「このコアを宿すまでは本気だった」 九ヶ月の無駄な努力を思い出して、僕は項垂れた。「筆記も頑張った。どんなコアを手に入れても操れるようにってイメージトレーニングも散々やった。でも、淡いベージュなんてイメージの範囲を越えてた。何をしてもうまく行かなかった。ここを受けたのは、せめて筆記だけでも、頑張ったって証を残したかったんだ」 ああ、ずっと愚痴りたかったんだな、僕。 家族は僕に色々やってくれたから、言え
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