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8. 初戦≪FirstRound≫

Author: Mr.Z
last update Last Updated: 2025-08-03 17:13:18

『皆さん、大変長らくお待たせしましたッ! 只今から≪急催R.E.D.//SUMMIT≫の一つである、≪~ 竜星天を交差する黄昏 ~ Supported by Last Twilight 4≫を開催致しますッ!』

 男性キャスターのアナウンスが天守閣全体へ響く。

 それに伴い、楽屋で待機していたプロたちが続々と舞台裏へ集う。各々が所属事務所のユニフォームを着用し、ネームドプレイヤーである威厳を見せる。

 もちろん俺も"白神楽ノ右腕"のユニフォームを着ているが、スポンサーが病院のみという事もあって、ブルー加工の白衣仕様になっている。

 これはスアがデザインしてくれたもので、案外気に入っている。そんな彼女はというと、ピンク加工の方を着ている。

「うん、今日も似合ってるね」

「わざわざこっちに来なくてもいいだろ」

「え~。だってザイのこの格好、大会の時にしか見れないしさ」

 女子プロと男子プロで分かれていたのに、なぜかこっちに来ているスア。

 ピンク加工の白衣と、あまりに短いプリーツミニスカートの姿は、"アイツの視線"を奪ってしまった。

 彼女の少しむっちりした太ももと、強調された胸をまじまじ見ているのがバレバレなんだよ。

「スアちゃん! 今日もイけてんなぁ~!」

「あはは⋯⋯どうも~」

「なぁ、後で話したい事あるからさ! 今日のイベント終わったら待っててくんねぇ?」

「話したい事?」

「ちょっと他には聞かれたくないからさぁ~! 二人で話せる場所でな!」

 ⋯⋯"ケン"の野郎、スアと何を話すつもりだ?

 そして、男子プロの方から続々と名前が呼ばれ、大きな舞台へと立っていく。最後には、俺の名前が響いた。

『さぁ男子プロ最後は、"次に来る日本プロプレイヤー30名"に選出されました、【白神楽ノ右腕】喜志可ザイ選手ですッ!』

 湧き上がる義務のような拍手。これだけ大勢いる中、俺を応援してくれる人はどれだけいるのだろう。一瞬、舞台裏の方を覗くと、スアとモアの二人が笑顔で拍手してくれていた。

 ⋯⋯負けたくない。この二人のためにも、三船コーチと続けるためにも。

 ― 数日前の梅田での和食店内

「今度、≪急催R.E.D.//SUMMIT≫に出るんだって?」

「そうなんですよ。なぜ僕が選ばれたのか、謎ですけど⋯⋯」

「最近のザイは調子も上がって来てる、呼ばれるのは全然不思議じゃないけどな
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  • 異常のダイバーシティ   89. 所有≪Owner≫

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  • 異常のダイバーシティ   88. 半分≪One-Half-Probability≫

    「なぁ、行ってから何分経ったんだ?」  時刻を確認すると、≪2030/08/20(水) PM 19:04≫となっている。 「⋯⋯40分くらいか?」  俺が時間を教えると、落ち着かずにうろうろし始めるケン。 「さすがに遅すぎやしねぇか⋯⋯? なんか通話もメッセージも、この訳分かんねぇ城内だけ"圏外"になってるしよぉ。ウサネッコの野郎、しっかりやってんだろうな⋯⋯」  だが、俺たちに出来る事は無く、とにかく待つしかない。  "女性限定"の表記のままで、自動ドアは開かないのだから。 「まぁ冷静になりなよ、ケン君。焦る気持ちも分からなくもないけど、プロの世界でもそういうのが命取りだっただろう? リアルでも同じで、見えなくなった者から"ヤツら"に成り代わっていく。現に、水生さんとウサネッコ以外は"かいじゅう"を持ってる、対抗手段としては最高なはずさ」  アマはどこまでも冷静だ。  いや、今回に限っては最初に入ったが故、少し責任を感じているのかもしれない。  だって、普段かかない手汗をちょっとかいてる。  「分かってっけどよぉ⋯⋯"あべのハルカスの時"が過(よぎ)んだろ。いきなり足元が動いたと思ったら、エレベーターみたいなもんで違う階へ連れてかれるし、何が起こるか分かんねぇんだッ!」  ケンが話し続ける中、ふと1階の様子を見ると、5人ほどの客が入って来ていた。  男が3人、女が2人のグループだ。  その人らは俺たちを見つけると、すぐにこちらへと上がってくる。 「ねぇ君たち、高校生か大学生くらいだよね? ここが何する店か、分かって入ったんだよね⋯⋯?」  一番左のお姉さんが怪訝そうな顔で言ってくる。 「いや⋯⋯分かってないですけど」  そう言うと、彼らは顔を見合わせ始める。 「ここさ、聞いた話なんだけど、"AIとの新感覚な性交体験専門店"とか聞いたよ。ほら、今ってどこも危ないでしょ? もし妊娠なんかしたらって思ってさ、知ってる人は誰も入らないようにしてるんだよね」 「⋯⋯"性交体験"? それってつまり⋯⋯」  さっきから話してくれているお姉さんは、はっきりと"セックス"と言った。  そう、どう見たって分かり易くはっきりと。 「おい、おいおいおい⋯⋯! 俺の言ってたの当たってたんじゃねぇかよ!? やっぱこいつはラブホをテーマにしてんだっ

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