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第14話 無関心な母

Author: フクロウ
last update publish date: 2026-01-26 20:02:58
 家のドアを乱暴に閉めると、美月は制服のままに2階の自室へと上がりベッドにダイブした。無地の白い枕を両手でつかむと、抱き締めて二度、三度と寝返りを打つ。

 どうしてあんなことを言ってしまったのか、美月にもわからなかった。いつものとおり無関心でいればよかった。何を言われても気にせず、涼しい顔で生活を送ってきたのだ。正義ずらして事実をただし、真実を明らかにするようなことをする必要はなかった。

(だいたい私は本当に何も知らないんだから、知らない顔して真っ直ぐ帰ればよかったんだ)

 今になって不安が襲ってくる。あのときは先輩が何かを隠していると思ったのだが家に帰り冷静に考えると、そうじゃない可能性がいくつも思いつく。先輩はただ、いなくなったことが怖くなってショックを受けていただけなのかもしれない。そうだとすると。

(──また、部での印象が悪くなっちゃうな)

 美月は枕を胸の上で抱いたまま、天井を見上げた。真っ白な天井には長年住んでいた証のようにところどころ染みが目立っていた。

 ぼうっと、染みの数を数えていると突然今朝方の夢を思い出す。母親の手を黒い手がつかみ、続いて1つ2つと全身を覆うように
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  • 白無垢の呪恋唄   第57話 咎人の理由

    『弓弦には結婚式用の紋付袴を着せて女が現れる常闇の祠に入ってもらった。魂が暗闇に沈み、女を受け入れるまで』(おじいちゃんはそう言っていた。病室で兄さんは、助けを求めているようだった。もしかして、兄さんも見ていたのかもしれない。これと同じ光景を、白無垢の女の過去を。儀式が過去を追体験するということだったら。兄さんが今、見ている夢を私も見せられている……? そうだとすると、今起こっているこれは……) 女の絶叫が身を凍り付かせた。 美月はぎゅっと目を瞑り、両手で耳を強く押さえた。それでも繰り返される叫び声が突き抜けるように鼓膜を揺さぶる。 反吐が出そうな臭いも鼻に付き、気色悪い熱気が肌に纏わりつく。暗闇で行われている行為がまさにそれだと五感を通して体に叩きつけられているようだった。(やめて……) 願っても叫び声は止まらない。それどころか、黙らせるためなのか殴り付けられるような鈍い音も交じる。 熱気はますます増し、自分の耳に臭い息が吹きかけられているような錯覚すら覚えた。(やめて、お願い……) 美月は立っていられなかった。ガクガクと膝は震え、軋む木板の上に倒れ込む。膝に胸を押し付けて祈るように耐え抜くことしかできなかった。(やめて、やめて、やめて!) 叫び声が美月の願いともリンクする。これ以上聞いていられなかった。味わいたくなかった。できることなら耳も鼻も目も全てを削ぎ落して、何も感じない状態にしてほしかった。 再三の美月の願いも虚しく、状況は何も変わらなかった。 これは、過去の記憶。白無垢の女がまだ生前に体験した記憶そのもの。抗う術はなく、男たちが満足するまで終わることのない地獄そのものだった。

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     むっとするような湿気が鼻腔を塞いだ。次いで木々の匂いが押し寄せ、風が髪を巻き上げていく。目の前では白い着物を着た髪の長い女が複数の男に羽交い締めにされていた。(えっ?) 何が起こったのか、思考が全く追い付かない。病室にいたはずなのに、周りの景色は全然違うものに変わっていた。場所どころか時間もわからなかった。 また、悲鳴が上がる。女が出した悲鳴であることは間違いなかった。「おい! 早く黙らせろや!」「わかってるって、どこに……あったった、これこれ」 女を囲む一人の男が汚い袋から取り出したのは白い布のようなものだった。それを助けを求め続ける女の口へ噛ませると髪の後ろで縛り、声を上げなくさせる。「ほら! 急いで戻るぞ! 暴れんな、オラ!」 頭に笠を被った男が容赦なく女の腹を殴った。鈍い音がして女は地面へと倒れた。さらに他の男たちが頭や肩、横腹に蹴りを入れる。その度に苦痛の声が女の口から漏れるが、暴行は止むことなく女が動かなくなるまで続いた。 笠の男が女の髪に唾を吐きかける。「ったく、素直についてくれば痛い思いをしなくてすんだのに」「そうそう。どうせこの後、散々痛い思いをするんだから抵抗するだけ無駄だって」「慣れたら、そのうち自分から求めるようになったりしてな!」「馬鹿なこと言ってねぇで。ほら、今度こそ行くぞ!」 振り返った男の目が美月と合う。飢えた野獣のような目だったが、男は美月に気が付くことなく女を抱えてどこかへ去っていった。 美月は一連の事態を見過ごすことしかできず、突っ立ていた。しかし、体は縮まり込み寒くもない

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