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第二話

Autor: 朱音小夏
last update Fecha de publicación: 2026-10-14 10:56:49

「......!!」

 ようやく身体が動くようになった。

「きゃあああああああああっ!!」

 小夜は勢いよく掛布団を引っ掴み、頭から被る。

「な、な、な、なに?! 誰?! 不審者?! 泥棒?! それとも変態?!」

「......待て」

「いやあああああ!! お父さあああああん!!」

「待てと言っている!!」

「ひゃっ!!」

 男の声が部屋中に響き渡る。

 そして被っていた掛布団は男の手によってひっぺがされた。

 小夜は恐る恐る男を見る。

 するとそこには先程と変わらず、長い白髪の男がいた。

 月明りを受けた髪は雪のように白く、紅玉の様な瞳は妖艶に輝いている。

 その姿はまるで――。

「......神様?」

「......ほう」

 男は僅かに目を細めた。

「随分と察しがいいな?」

「だって!! こんな真夜中に他人の部屋に入って来る美形なんて、神様か変態に決まってるでしょう?!」

「......我を変態と同列に扱うな」

「じゃあ、何者なのよ?!」

 男はゆらりと立ち上がる。

 その瞬間、白い着物の裾から白い何かがチラリと覗く。

 ――鱗だ。

「......え?」

 小夜の顔が引きつった。

 その白い鱗はまるで......というか、確実に蛇のものであった。

「我の名は――白妙」

「......」

「この神楽坂神社に、古より祀られている白蛇神である」

「......」

「......?どうした?」

「......嘘」

「何?」

「だって......白蛇神様って......」

 小夜の視線が本殿の方向に送られる。

「......像じゃないの?」

「依り代だ」

「......よりしろ?」

「我の魂を封じ、この世にとどめておくための器だ。......まぁ、それもそなたのお陰で......」

「私?」

「倒しただろう? 私の依り代を」

 白妙の言葉に小夜は血の気がサァッと引いていった。

「ごごごごめんなさいっ!! け、決してわざとではなく......!!」

「分かっている。だがな、困ったことが起きてな......」

「......困ったこと?」

「何故だか依り代に戻れんのだ」

 小夜は顔を真っ青のしながら白妙を見つめる。

 白妙はそんな小夜の様子が面白くて、少し意地悪をしたくなった。

「あーあー。困ったのぉ。この神社は我の力があってこそであるというに......」

「......ご、ごめんなさい」

「このままではいずれ神の力を失う」

 小夜は急いでベッドから降り、土下座をした。

「この度は! 誠に申し訳ありませんでした!! 私に出来る事なら何でもします!!」

「......なんでも?」

「はいっ!!」

 白妙は小夜の言葉ににやりと笑うと、小夜の前に跪き、彼女の顎をすくいあげた。

「ならば、探してもらおうか? 我の"運命"を」

「......"運命"?」

 小夜は神様の口から"運命"という言葉が出ることにびっくりした。

 ――神様まで"運命"を信じるんだ。

「信じるも何も、我は恋愛成就の神であるぞ? 運命をも司っておる」

「!! 心も読めるのですか?!」

「......顔に書いておる」

 小夜は恥ずかしくなり顔を覆う。

 白妙が「クックックッ」と不気味に笑う。

「そ、それにしても神様が"運命"の相手を探すのですか?」

「我が依り代に戻るには、"運命の相手との口づけ"が必要なのだ」

「......ロマンチックな方法ですね」

「我は恋のキューピットだからな」

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  • 白蛇神様の運命の恋   第十話

     小夜達は休み時間になる度に、校舎中を歩き回った。 しかし、運命の相手らしき人物は見つからない。 やがて放課後になり、小夜達は人気のない屋上で集会のような集まりをしていた。 小夜は気づいた。 人数が一人多いことに。「な、な、な、何しれっと入り込んでるんですか!! 誰ですか、あなた!!」「あらー? 久しぶりに人間に見つかったわぁ」 その人物は、小夜が羨むほどのグラマラスな身体つきで、頭には可愛らしい猫耳が。「......そなた、もしや神楽坂神社にもいたか?」「え? 白妙様、お知合いで?」「違う。こやつの気配を感じたことが何度かあるのだ」「なるほど......。てことは、人間では、ない?」「......そなた、何者だ?」 白妙は謎のグラマラス美女を目を細めながら見つめる。 グラマラス美女はケラケラと笑いながら、透に抱き着いた。「な、なんですか?! なんでオレ?!」「アタシは、この子の守護霊よ。しゅ・ご・れ・い♡」「......の割にはずっと傍にいなかったようだが?」「アタシは猫だからねぇ。猫は気ままな生き物なのよ。......まぁ、目を離した隙に貧乏神に憑りつかれて近づけなくなったけれど」「ひぇえ! おいらを睨まないでおくれよ!!」 グラマラス美女は貧丸をジトーっと睨みつけながら、「シャー」っと威嚇をした。 そんなやり取りを見て、小夜はあることに気づいた。 ――名前を聞いていない。「あのぉー、ところでお姉様のお名前は何と?」「ん? なぁに、このちんちくりんな子は」「ち、ちんちくりん?! 失礼な!!」「だって、貧相な身体つきだし......、今まで神社に居たのにも気がつかなかったみたいだし?」「ぐっ......」 小夜は何も言い返すことが出来なかった。 たしかに、白妙に出会うまでは神社の娘にも関わらず、霊感が全くなかった。 そのため、白妙が言うまで彼女の存在に気がつかなかったのだ。「まぁ、いいわ? アタシの名前は"小判"。小判お姉様とお呼び」「......小判お姉様」「うふふ。素直な子はだぁい好きよ♡」 小判はそういうと、小夜をギュッと抱きしめた。 ――小夜はというと。「くっ!! この柔らかい感触が羨ましい!! 小判お姉様!! どうしたら私もグラマラスになれますか?!」「こればっかりは遺伝だから♡

  • 白蛇神様の運命の恋   第九話

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  • 白蛇神様の運命の恋   第七話

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  • 白蛇神様の運命の恋   第六話

     四人で楽しく朝食を囲んだ後、小夜は食器を洗っていた。 すると白妙が、洗い終わった食器を拭き始めたのだった。「し、白妙様?! なにされているんですか?!」「なにって......食器を拭いている」「神様にそんなことさせられません!!」「......今更我を神扱いするのか?」 そう言われてしまえば小夜はぐうの音も出ない。「あ!! 学校に行く前に参道の掃除をしなきゃいけないんだった!!」「......話を逸らしたな」「そ、そんなつもりは決して!!」「......おい、小夜。お前ちゃんと着替えてから行けよ? まだ部屋着じゃねえか」「は、はーい!!」 小夜は洗い物をササッと済ませると、自室へと戻って行った。「白妙様。後は私がやりますので......」「ん? そうか? でももう終わる。気にするな」(神様に洗い物の手伝いをさせて気にしない方が出来ない!!)「あぁ、もう終わった。これより先は頼んでも良いか?」「え、ええ! もちろんです!!」 白妙は権蔵に後を任せると小夜の部屋へと向かった。 そんな白妙に気がついた兎月も一緒についていった。「小夜。我も外に連れて行ってはくれぬか?」「き、キャーー!! 覗きぃ!!」「違う!! ......そなた、神に対する態度がなってないのではないか?」「わ、分かりました!! ごめんなさい!! だから出て行ってぇ!! 着替えられない!!」 小夜はそう言うと白妙と兎月を廊下へ押しやった。 白妙はしばらく呆然とすると、我を取り戻し――(神を締め出すとはいい度胸だな......)「......お待たせしまし、た......って、怒ってらっしゃる?」「そなた、初めてだぞ? 我を締め出す行為をしたのは」「うっ......で、でも!! 乙女の着替え中に入ってくる方が悪いと思いませんか?!」「お主のような貧相な身体になんとも思わない」「......さいですか」 小夜は肩を落とした。 (......たしかに!! スタイルがいいわけではないけれども!!)「そうだ。我も掃除に連れて行ってくれ。どのように神社が保たれているのか知りたい」「......神様も掃除するんですか?」「ん? 我は見ているだけだ」「見てるだけ?!」 小夜のそんなツッコミに、白妙は、"神の役割は人の働きを見守ること"と言って

  • 白蛇神様の運命の恋   第五話

     あれだけ叫んでいたというのに、小夜はもう何もなかったかのように朝食の支度にとりかかる。 その間、白妙と権蔵は膝を突き合わせて話をしていた。「ほ、本当に、本当にあの白蛇神様なのですか......?」「くどい!! 何度言わせる気だ?」 何度も聞き返す権蔵に白妙は少し、いや、大分呆れていた。「我はこの神楽坂神社に祀られている白蛇神、白妙である」「あ、あぁ......まさかこの目でお目にかかれる日が来ようとは......光栄です!!」 権蔵はあまりにも神々しい白妙に手を合わせながら涙する。 しかし、権蔵には疑問が一つあった。「それにしても......何故急にお姿を現したのでしょうか?」「ん?あぁ、それは......」「あああああ!! ご飯できたよぉ!!」「む。小夜、そなた自分のやったことを隠すつもりか?」「う......」 権蔵はそのやり取りを不思議そうに見ていた。 "隠す"とは一体どういうことなのだろうか?「権蔵。そなたの娘は我の依り代を倒したのだ。それにより我は目覚めたと言うわけだ」「ハァ?! 依り代を?! 倒した?! 小夜、一体どういうことだ!!」「ま、まあまあ落ち着いて。そのお陰で白妙様にお目にかかれたんだからさ!」 権蔵は頭を抱えた。 落ち着きのなさは昔からあったとはいえ、まさか依り代を倒すとは......。「それにしても、そんなに騒ぐことなの?昨日まで像だったんだよ?」「その像が依り代、神様だったんだろうが!!」「そっかぁ」「納得するな!!」 小夜と権蔵が親子漫才を繰り広げていると、白妙はため息をつきながら呆れた。「......騒がしい親子だな」「いつものことだ」 そんな白妙に、兎月が笑いながら答える。「そ、そんな事よりご飯できたよ? 冷めないうちに食べよう?」「......まったく。お前はマイペースにも程がある。大体なぁ......」「あーもー!! ごめんなさーい!! ほら!! ご飯ご飯!! ――神様と守護霊ってご飯食べるの?」「必要はないが食べることならできる」「小夜のご飯?! 僕も食べたいぞ!!」 兎月の言葉に、小夜は嬉しくなり、二人の分のご飯も用意しておいてよかったと思った。 具沢山の味噌汁のとてもいい匂い。 それに焼き鮭にふわふわの玉子焼き、ほうれん草のおひたし。 朝からバラ

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