MasukShare
第0588話
Bab terbaru
目黒様に囚われた新婚妻 第0594話
チャンスが来たと悟った青葉は、すぐにリビングへ向かい、瑠璃が選んだデザイン画を素早く盗み取った。ちょうどテーブルの上に置かれたノートパソコンの画面には、デザインソフトが開かれており、画面はその作品のまま止まっていた。青葉は手慣れた様子でメールを立ち上げ、その電子データを雪菜に転送。ついでに、パソコン上の保存データも削除してしまった。それだけでは飽き足らず、近くにあったコップの水をデザイン画に思いきりこぼし、あたかも「うっかりこぼした」風を装って、水浸しになった原稿の横にコップをそっと置いた。その頃、雪菜は受け取った電子データを見て、大喜びしていた。すぐさま青葉に電話をかけて確認した。「本当にこれが瑠璃の本命の作品なんだね？」「そうよ、間違いないわ」雪菜はデザインを見つめながら、目を輝かせた。「ふふ、やるじゃない、瑠璃。でも、いくら上手く描けても、それは私の踏み台にすぎないのよ！ははは！」彼女は高笑いしながら、データに自分の署名を加え、すぐに提出した。その頃、瑠璃と隼人は衣装を選び終え、階下に降りてきた。すると、テーブルの上に置かれたデザイン画が水で濡れているのを発見。隼人は慌ててティッシュを取り出し、一枚一枚丁寧に水を拭き取ろうとした。まるで自分の作品のように、神経を尖らせていた。「もういいのよ、隼人。電子版はあるから」「ダメだよ。これはお前が一筆一筆、心を込めて描いたものだ。君がいらないって言っても、俺が大事にしたい」隼人の真剣な様子に、瑠璃は一瞬、心を打たれたように黙り込んだ。しばらくして、ふとパソコンに視線をやった。「……あれ？電子データ、保存するの忘れてたみたい。でも大丈夫、頭の中にはしっかり残ってるから」階段の影から様子を見ていた青葉は、それを聞いて思わず口元を押さえて笑った。ふふん、もう手遅れよ。今さら描き直しても、雪菜はもう提出済み。後から同じもの出したら、盗作扱い間違いなし！にやにやと笑いながら、心の中で瑠璃の転落を想像してほくそ笑んだ。二日後、ついにコンテスト決勝当日の夜がやってきた。決勝は会場でのライブ投票によって順位が決まる方式で、開始前にはどのデザインが誰のものか、一切明かされない仕組みだった。これは国際的なデザインコンテストであり、著名な芸能人の登場
目黒様に囚われた新婚妻 第0593話
青葉は雪菜との打ち合わせを終えると、そそくさと別荘へ戻ってきた。ちょうど玄関に入ると、瑠璃が階段を降りてくるところだった。怪しまれないように、青葉はいつもの高飛車な態度を抑え、作り笑いを浮かべて彼女に近づいた。「さっきのことだけど、お義母さんが悪かったわね。あんたの言う通り、私ってほんと、口が悪くて、空気読めないっていうか……どうか気にしないで」瑠璃は淡々とした微笑みを浮かべた。「そんなくだらない言葉、わざわざ心に留めるほど私も暇じゃないわ」「……っ！」あまりにもストレートな返しに、青葉の顔が引きつった。さすがに腹が立ったが、ぐっとこらえた。「ちょっと！私はちゃんと謝ってるのに、その態度は何なのよ！」「異常な優しさには裏があるって言葉、聞いたことある？」瑠璃は静かに言いながら、鋭い視線で彼女を一瞥した。「もしまた私をどうにかしようとしてるなら、もう少し頭を使ったらどう？」そう言い残し、冷ややかにすれ違って祖父の部屋へと入っていった。「……このっ！」青葉は怒りで震えながら、瑠璃の背中を睨みつけた。瑠璃が部屋に入ったのを確認すると、彼女は目をギラつかせて階段を駆け上がり、そっと書斎の扉を開けた。ラッキーなことに、扉は開いていた。素早く中へ入り、まっすぐに書斎の机へと向かう。机の上は整然としており、画材やノートパソコンのほかに、いくつかのデザイン画が並んでいた。青葉はそれらを手に取り、数枚めくった瞬間、目を輝かせた。――これは……本当に素晴らしいデザイン！これが製品化されたら、間違いなく女性たちに大人気になるだろうと直感した。さすがMLのデザイナー……やるわね、瑠璃……そう心の中でつぶやいたが、次の瞬間、疑問がよぎった。でも、これだけのデザインの中で、どれを使うつもりなのかしら？ちょうどそのとき、誰かが階段を上ってくる足音が聞こえた。青葉はすぐにデザイン画を元の位置に戻し、慌てて書斎から出ようとしたが――「うわっ！」出た瞬間、人とぶつかってしまった。顔を上げると、それは邦夫だった。「お前、何で隼人の書斎から出てきたんだ？」邦夫は怪訝そうに尋ねた。「えっ？ああ、ちょっと通りかかったら、スマホを落としちゃって、中に入って拾ったのよ」青葉は目を泳がせながら
目黒様に囚われた新婚妻 第0592話
「パチン」隼人が箸をテーブルに置いた瞬間、乾いた音が響いた。青葉はびくりと肩を震わせ、すぐに口をつぐんだ。ふと顔を上げると、祖父までもが怒りをあらわに睨みつけており、明らかに不満げだった。そんな中、瑠璃は落ち着いた様子で祖父の口元を拭いてあげ、それからゆっくりと振り返り、青葉に向かってにっこり笑った。「死ぬまで性格が変わらないっていう言葉、まさにお義母さまみたいな人のことを言うんでしょうね」「……っ！」「みんなが嫌がるのをわかっていながら、わざわざ火に油を注ぐようなことを言う。お義母さん、それって単なる無神経か、それとも知能が足りないのかしら？」青葉の顔は瞬時に真っ赤になった。「……あんたね！」「やめなさい！黙って食事をしなさい！」邦夫がピシャリと制し、青葉に口を挟ませなかった。だが、青葉がこのまま引き下がるわけもなく――瑠璃の顔に浮かぶ穏やかな微笑を見た瞬間、彼女の中で怒りが再燃した。あの笑みが、自分を見下しているように思えてならなかったのだ。結局、朝食もろくに終わらせないまま、青葉はバッグを掴んでぷいっと出て行った。「買い物に行ってくるわ！」口ではそう言っていたが――実際に向かったのは、こっそりと訪れている一人用のアパート。そこには雪菜が待っていた。瑠璃に受けた屈辱をそのままぶつけるわけにもいかず、遠回しに協力するしかなかった。部屋に入るなり、青葉は吐き捨てるように怒鳴った。「あの女、本当に図に乗ってきてるわね！このままじゃ、隼人の目に私は母親としてすら映らなくなる！」雪菜はうんざりしたように目をひとつ転がした。「おばさま、どれだけ文句を言ったって無駄よ。今は私と手を組んで、早く瑠璃のジュエリーコンテストの最終稿を盗み出すしかないの！」「……そんなこと、うまくいくのかしら？」青葉は眉をひそめ、半信半疑の様子で聞き返した。「うまくいくに決まってるじゃない！私が彼女の図案を手に入れて、それを先に提出すれば、皆は私が本物のデザイナーだと思う。あとから瑠璃が同じ図を出しても、盗作女扱いされるだけよ！そしたら、私は賞も名声も手に入れて――あの女は世間から叩かれて終わり！」雪菜の目はギラつき、まるで勝利を確信した女王のように、高らかに笑った。「おばさま、早く動いて。決
目黒様に囚われた新婚妻 第0591話
物音に気づいた使用人や警備員たちが次々に姿を現したが、全身からただならぬ威圧感を放つ隼人の前に、誰一人として立ちはだかることができなかった。「瞬を出せ。俺と話をさせろ」彼は一直線にリビングの中心へと進み、その冷徹で鋭い瞳が前に立つ護衛たちを一掃するように睨みつけた。「そんな大げさにしなくても、甥っ子が叔父に会いに来たってだけのことだろ？」瞬の落ち着いた声が、階段の上から響いてきた。隼人は冷たい視線を彼に向けた。瞬はゆったりとしたバスローブ姿のまま、余裕たっぷりに階段を降りてくる。「もう遅いんだから、皆休んでくれ。甥っ子と久しぶりに話したいだけだから」瞬の一言で、使用人と護衛たちは次々とその場を離れ、広々としたリビングには二人きりが残された。「瞬……これが、お前のやり方か？千璃ちゃんの記憶を刺激して、苦しめて、それで満足なのか？」隼人の怒りが込められた声は、まるで雷のようだった。瞬は静かに微笑んだ。「俺が瑠璃を刺激するのは、記憶を取り戻してほしいからだよ」そして疑わしげな視線を隼人に向けた。「君は困るだろう？彼女が記憶を取り戻せば、どれほど自分を憎んでいたかも思い出す。そうなったら……君の立場はどうなる？」「……フッ」隼人は鼻で笑った。「俺をお前と一緒にするな。千璃ちゃんが幸せで、苦しまずにいてくれるなら……たとえ俺を憎んでも構わない」その一言に、瞬の目が細くなった。その冷たい瞳の奥に、静かに怒気が広がっていく。だが隼人は、そんな彼の感情など気にも留めなかった。「二度と千璃ちゃんを苦しめるな。もし彼女に何かあったら――お前を殺す」彼は低く、凍りつくような声でそう言い放ち、瞬に背を向けた。ドアに向かって歩き始めたその背中に――「隼人！」瞬の声が響いた。「君だけが瑠璃を本気で想ってるわけじゃない。俺だってそうだ」隼人は立ち止まり、ゆっくりと振り返る。「本気？お前が本当に千璃ちゃんを愛してるなら、あんなふうに傷つけることなんてできないはずだ」「それは君にとっては傷つけるかもしれない。でも、俺にとっては治療なんだ」瞬の瞳は、次第に真剣な光を宿しはじめた。「俺は本気で瑠璃を愛してる。……十八年前からずっと」「十八年前？」隼人の表情がわずかに揺れた。「四
目黒様に囚われた新婚妻 第0590話
「もうやめて……もう何も言わないで……頭が割れそう……隼人……隼人……」「千璃ちゃん！」刑務所から戻ったばかりの隼人は、別荘の門をくぐった瞬間、その光景を目にした。瑠璃が苦しそうに彼の名を呼び、瞬が彼女の手を握っていた。隼人はすぐに車を停め、雨の中を駆け出し、大股で駆け寄ると、呻き声を漏らす瑠璃を力強く抱きしめた。「千璃ちゃん、俺はここにいる、怖がらないで、大丈夫だから……」彼は彼女をしっかりと胸に抱き締め、苦しそうな表情を見るたびに、心が千々に裂かれていく思いだった。激しい怒りが湧き上がり、血の気を帯びた冷たい瞳が瞬に向けられた。唇から漏れたのは、氷のように冷たい言葉だった。「……出て行け。二度と俺の妻に近づくな。今すぐ消えろ」だが、瞬は怒ることもなく、かえって皮肉な笑みを浮かべた。その冷え切った黒い瞳が、蒼白な瑠璃の顔を一瞥し、続いて隼人の殺気に満ちた視線とぶつかる。彼は何も言わなかった。ただ一瞬の笑みを残して、その場を立ち去った。瞬がいなくなると、隼人の全身から冷気がすっと消え、代わりに彼女だけに向ける優しさと温もりがあふれ出た。「千璃ちゃん、怖くないよ。俺がそばにいるから。何があっても、守るから」腕の力を少し強めて、彼女を包み込む。その心臓は、不安と焦りで激しく鼓動していた。瑠璃は眉を寄せ、目を閉じたまま、記憶の深い底から――失ったはずの断片的な映像が静かに浮かび上がってくる。その夜は静かだった。深夜、ようやく彼女はゆっくりと意識を取り戻した。いつ自分が気を失ったのかは思い出せなかった。目を開けて少し体を動かすと、右手が何かに握られているのを感じた。視線を向けると、隼人が彼女のベッドの傍にいた。彼は両手で彼女の手を握っており、その手はずっと離されていなかったのだろう。手のひらにはぬくもりと、少しの湿り気が残っていた。瑠璃は身を起こし、水のように感情の浮かばない瞳で隼人の眠る横顔を見つめた。整った輪郭、深く整った眉と目。その顔立ちは、彼女の瞳に静かに映り込んでいた。しばらくそのまま見つめたのち――瑠璃は彼に握られていた手を、すっと引き抜いた。その動きにすぐ反応して、隼人は目を開けた。彼は彼女が目覚めたことに喜びの表情を浮かべ、再び手を握ろうとした。「千璃ちゃ
目黒様に囚われた新婚妻 第0589話
瑠璃はしゃがみ込んで、瞬よりも先に地面に落ちた物を拾い上げた。「どうして、これをあなたが持ってるの？」彼女の眉間は深く寄り、澄んだ瞳には疑念と驚きが浮かんでいた。瞬は静かにその七色の貝殻を瑠璃の手から取り上げ、大切そうに手のひらで包み込んだ。「十数年前、四月山の海辺で、ある小さな女の子がこの貝殻を俺にくれたんだ。『お兄ちゃん、ずっと幸せでいてね。できれば、ずっと一緒にいられますように』って」そう言いながら、瞬は瑠璃を見つめた。その眼差しには、どこか切ない哀愁が滲んでいた。「でも十数年後、その女の子は別の男を愛していた」「な……何を言ってるの？」その言葉を聞いた瑠璃は、ぱっと目を見開いた。目の前の整った顔立ち、鋭くも優しい目元――脳裏には、つい先日、蛍が刑務所で彼女に向かって叫んだ言葉がよみがえってきた。「そんなはず……あるわけない！」彼女は強く否定した。思い出したくなかった。蛍の言葉に心を乱されたくなかった。瞬は傘を横に投げ捨て、瑠璃の方へと歩み寄った。「瑠璃……」「来ないで！」彼女は一歩下がり、その瞳は鋭く光を放っていた。「私は記憶を失ってるけど、あのときのことだけははっきり覚えてる。あの男の子は、あなたじゃない。隼人よ！」瞬はその言葉に傷ついたように視線を落とした。だが、反論はしなかった。ただ、静かに、ゆっくりと語り始めた。「十八年前、俺と隼人は目黒家の祖父と一緒に、四月山の海辺へ行った。彼らにとっては、楽しい家族旅行だったかもしれない。でも俺にとっては、違った。その直前、俺の両親は仕組まれた事故で亡くなった。たった一日で、俺は親を失った孤児になった。その日、俺は海辺に座って、果てしない海を見つめていた。死にたかった。本当に、そこに飛び込んで、両親のもとへ行きたかった。でも――そのとき、一人の女の子がそっと俺の隣に座って、貝殻をくれたんだ。『お兄ちゃん、ずっと幸せでいてね』って。その笑顔が、あまりにも優しくて、まぶしくて……その瞬間、この世界にまだ、光があることを知った。……その女の子が、君だったんだ。瑠璃」瞬はその日、その時、その光景を、丁寧に、心を込めて語り終えた。そのまま視線を彼女の顔に固定し、深い想いを込めて見つめた。瑠璃は呆然と立ち尽くし、その瞳には知らず涙
Anda juga akan menyukai
隠れ御曹司の溺愛に身も心も包まれて
ひなの琴莉1.5K DibacaOnce more with you もう一度あなたと
美希みなみ33.9K Dibaca夫が浮気先から帰らないので兄上とお茶してきます！
月歌5.3K Dibaca植物人間の社長がパパになった
佐藤 月汐夜121.1K Dibaca愛を見失った第三側妃の憂鬱
月山 歩4.4K Dibacaそろそろ喰ってもいい頃だよな？〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません！ 謹んでお断り申し上げます！〜
鷹槻れん247 Dibaca国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
伊桜らな2.5K Dibaca機械仕掛けの偶像と徒花の聖女
日蔭スミレ1.6K Dibaca
