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第875話

Author: 栄子
真奈美は昏睡状態だった。

体は冷たかった。

しかし、額は熱かった。

若葉はすぐに部屋を出て、深刻な顔つきで言った。「病院に行かなきゃ。高熱よ」

それを聞いて、大輝の顔色が変わった。彼はすぐさま部屋に入ろうとしたが、若葉に止められた。「まだ、なにかをするつもりなの?」

「俺が車まで運ぶから、病院に連れて行こう」大輝は母親を見ながら、喉仏を動かした。「お母さん、本当に反省してるんだ」

「今さら、そんなこと言ったって遅い!」

若葉は大輝の頬を平手打ちした。「真奈美が許してくれるかどうかは分からないけど、今のあなたには彼女に近づく権利もないから!」

「叩くのも、怒鳴るのも、病院へ連れて行ってからにしてくれ」大輝も事態の深刻さに焦りを募っていた。

すると、隼人は深くため息をついた。「まずは病院に連れて行くのが先決だ」

若葉は涙を拭った。

大輝が部屋に入ると、若葉は彼が乱暴に真奈美を扱って苦しめないよう、ずっと見守り、注意していた。

......

車に乗ると、若葉は大輝と同じ車に乗り込もうとした。

大輝は真奈美を抱きかかえたまま、何も言わずに従った。

道中、親子は黙っていた。

そして、若葉は時々涙を拭っていた。

隼人は別の車を運転し、彼らの後をついて行った。

病院に着くと、すぐに婦人科で検査を受けた。

移動中、若葉は裕也の父親・黒崎健吾(くろさき けんご)に電話した。

石川家と黒崎家は昔から親交があり、健吾は信頼できる女性医師を手配し、真奈美の治療に当たらせた。

検査の結果、軽い裂傷が見つかった。

山下主任は、若葉と同じくらいの年齢だった。

「激しい行為は女性の体に大きな負担をかけるんです。それに、彼女には他にも痣がいくつか見られます」山下主任はため息をついた。「若気の至りとはいえ、自分のことだけでなく、奥さんをいたわる気持ちもちゃんと持たないと」

それを聞いて、若葉は大輝の腕を強く叩いた。「この人でなし!この人でなし!」

大輝はうつむいて黙っていた。

山下主任は彼の態度が少し反省しているように見えたので、こう言った。「数日入院して様子を見ましょう。熱は風邪によるものと思われますが、一番の問題は体の機能が弱っていることです。以前の入院記録を見ましたが、熱射病に貧血、退院してまだ数日なのに......こんな状況での性行為は、本当
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