王子を守れと言われました。でも、可愛すぎませんか?

王子を守れと言われました。でも、可愛すぎませんか?

last updateLast Updated : 2026-06-07
By:  ZERO POINTUpdated just now
Language: Japanese
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男子校で出会ったのは―― 王子みたいに綺麗な“男”だった。 筋肉こそ正義。 そう信じる筋トレ部のヴァルドは、男子校へやって来たアルと出会う。 細い。 柔らかい。 筋肉が足りない。 このままでは不健康だ。 そう思ったヴァルドは、筋トレ動画を送り、食事を気にし、毎日連絡するようになる。 しかし―― 「アル、かわいすぎるだろ……」 声もかわいい。 手も小さい。 いい匂いだ。 だが、アルは男。 絶対に男。 そう思っているのに、ヴァルドの感情はどんどん暴走していく。 一方その頃。 「次こそ完璧にしてやるからな!」 女の子なのに、“女装男子”だと思われているユリアは、なぜか筋トレ部から熱い応援を受けていた。 筋肉と勘違いから始まる青春ラブコメ。

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Chapter 1

第1話 筋トレ部は危険です

私はセラフィア女学院に通っている。

私達は健康促進部に入っている。

体調管理やダイエットを目的とした部活だ。

まあ、ほとんどの生徒が入っているし、私もバスケ部と掛け持ちしていた。

ある日、部長達から妙な任務を言い渡された。

男子はどうやって筋トレをしているのか。

どういう女の子が人気なのか。

何を求めているのか。

そういうものを調べてきてほしいらしい。

だから私は、男のふりをして男子校へ潜入することになった。

理由は単純だ。

身長が高いから。

ショートカットだから。

王子っぽいから。

そんな理由である。

ちなみに友達のユリアも選ばれた。

胸がないから。

そして荒っぽいからだと思う。

皆、酷いな。

私は胸がないわけじゃない。

ただ、運動すると邪魔だし恥ずかしいので、できるだけ小さく見せているだけだ。

その成果もあってか、男子校へ潜入しろと言われた。

そんな馬鹿なと思った。

ユリアは気づいていないけど、私は男子校に行ったことがない。

少しだけ緊張していた。

そして先生達に男子校の制服を借りた。

顧問の先生は面白がって貸してくれたらしい。

何を考えているのかわからない。

私は着替えてみた。

「アル、似合う」

「王子様みたい」

「絶対モテる」

「男子校に行くのがもったいない」

皆が好き勝手言っていた。

そんな馬鹿な。

私達は潜入捜査を開始した。

女子校の人気ランキングはわかった。

たぶん、男子達が今まで見た女子の人気ランキングなんだろう。

それだけはわかった。

そして帰ろうとした、その時だった。

「やはり、ここの筋肉をつけるためには、このトレーニングじゃないのか?」

「いや、プロテイン量が足りないだろ」

妙に熱い声が聞こえてきた。

私達がそっと視線を向ける。

そこには――無意味に筋肉をつけまくっている男子達がいた。

筋トレ部だ。

「もっと追い込め」

「いや、休息も重要だ」

「腕だけじゃ駄目だ。全身バランスだ」

「だが筋肉量は正義」

私とユリアは静かに固まった。

「これは……」

「ええ……」

男子達は真剣だった。

しかし、あまりにも鍛えすぎていて何が何だかわからない。

筋肉。

筋肉。

とにかく筋肉。

「何だろう……」

ユリアが遠い目をする。

「ちょっと残念ね」

「うん……」

私も頷いた。

私達とは方向性が違う気がする。

頑張っているのはわかったけど。

その時だった。

一人の男子が真顔で言った。

「やはり筋肉は裏切らない」

「でも、柔らかさは失われるわ」

ユリアがぼそっと呟く。

どうやら男子校と健康促進部では、目指している方向が違うらしい。

その時だった。

筋肉集団の一人がぼそっと言う。

「今年は――あの女子校には負けられない」

一瞬で空気が変わった。

「見せてやる」

「俺達の筋肉理論を!!!」

「やるぞ!!!」

「「「筋肉!!!!!」」」

私達は固まった。

「意味が分からないわ」

「ええ……」

しかも全員本気だった。

「やはり男子校、危険ね」

「思想が濃すぎるわ」

帰ろうとした、その時だった。

いきなり筋トレ部の男子が近づいてきた。

「そこの美少年達、筋トレ部に用か? よかったら筋トレしよう」

(セーフ、男に間違えられた)

(良かった)

私達は同時に思った。

その時、一人の男子が真剣な顔でユリアを見る。

「こんな腕では駄目だ」

「もう少し筋トレをしないと」

「え?」

ユリアが固まる。

「いや、筋肉そこまで要らないから」

しかし男子達は真顔だった。

「顔は綺麗だが筋肉がまだまだだぞ」

「女みたいな顔をしているが、それではモテない」

「そんな馬鹿な」

ユリアが本気で困惑する。

すると一人が静かに頷いた。

「筋肉が足りないからな」

「そこなの!?」

思わずツッコんでしまった。

どうやら男子校には、健康促進部とは別系統の理論が存在しているらしい。

私はおそるおそる言った。

「女子達は、そこまで筋肉を追い求めてないと思うけど」

男子達が静かに止まる。

「やりすぎは……逆にモテないんじゃ」

「引くっていうか」

一瞬で空気が凍った。

「何!?」

「そんなことはない!!!」

筋肉男子達が一斉に立ち上がる。

「筋肉は正義だぞ!」

「筋トレをしなさ過ぎて頭がおかしくなったんじゃないのか!?」

「いや、発想が怖いのよ」

ユリアが真顔で言った。

しかし男子達は止まらない。

「お前ら、今から筋トレを一緒にするぞ!」

「筋肉は裏切らない!」

「まずはベンチだ!」

「スクワットも必要だな!」

私は思わず後ずさった。

どうやら健康促進部とは別方向で危険らしい。

しかも全員本気だった。

「おい、ヴァルド。筋トレのやり方、見せてやれよ」

「え? 俺?」

前へ出てきたのは、なかなかのイケメンだった。

爽やか系。

しかも筋肉理論側にしては妙に整っている。

「……なんで、この人だけ普通にモテそうなのかしら」

ユリアが小さく呟く。

周囲の筋肉男子達とは違う。

妙に爽やかで、空気まで軽かった。

「しかも、ちょっと危険なタイプね」

「ええ……」

私は静かに頷いた。

何だろう。

この人だけは少し違う気がした。

でも、その時の私は知らなかった。

この出会いが、思った以上に長く続くことになるなんて。

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第1話 筋トレ部は危険です
私はセラフィア女学院に通っている。私達は健康促進部に入っている。 体調管理やダイエットを目的とした部活だ。まあ、ほとんどの生徒が入っているし、私もバスケ部と掛け持ちしていた。ある日、部長達から妙な任務を言い渡された。男子はどうやって筋トレをしているのか。どういう女の子が人気なのか。何を求めているのか。そういうものを調べてきてほしいらしい。だから私は、男のふりをして男子校へ潜入することになった。理由は単純だ。身長が高いから。ショートカットだから。王子っぽいから。そんな理由である。ちなみに友達のユリアも選ばれた。胸がないから。そして荒っぽいからだと思う。皆、酷いな。私は胸がないわけじゃない。ただ、運動すると邪魔だし恥ずかしいので、できるだけ小さく見せているだけだ。その成果もあってか、男子校へ潜入しろと言われた。そんな馬鹿なと思った。ユリアは気づいていないけど、私は男子校に行ったことがない。少しだけ緊張していた。そして先生達に男子校の制服を借りた。顧問の先生は面白がって貸してくれたらしい。何を考えているのかわからない。私は着替えてみた。「アル、似合う」「王子様みたい」「絶対モテる」「男子校に行くのがもったいない」皆が好き勝手言っていた。そんな馬鹿な。私達は潜入捜査を開始した。女子校の人気ランキングはわかった。たぶん、男子達が今まで見た女子の人気ランキングなんだろう。それだけはわかった。そして帰ろうとした、その時だった。「やはり、ここの筋肉をつけるためには、このトレーニングじゃないのか?」「いや、プロテイン量が足りないだろ」
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第2話 王子が心配で仕方ない
 俺は、いつものように筋トレ部で筋トレをしていた。 その時だった。 ものすごい美少年が歩いていた。 王子かと思った。 それがアルだった。 そして、その隣にいたのが、かわいい顔をした男――ユウだった。 アルは初めて見る顔だ。 あんなに目立つ美少年なら、見たことがないのがおかしい。 転校生か? 見学か? よくわからない。 ただ――アルは妙に華奢だった。 細い。 柔らかそう。 しかも、何か落ち着いていて、本当に王子みたいだった。「あいつ……別格だろ」「絶対に王子だ」「あれで筋肉があったら……」「惜しいな」「あれで筋肉ついたら完成じゃね?」「いや、今のままだと病気になるだろ」「守ってやらないと駄目なタイプだ」「あ……もしかして、俺たちに助けを求めているんじゃないのか?」 俺たちは察した。 きっと――筋肉が欲しいんだ。 恥ずかしくて言えないだけだろ? わかる。 わかるぞ。 だから。 クリスが話しかけた。「そこの美少年達、筋トレ部に用か? よかったら筋トレしよう」(その誘い方はないだろ)(恥ずかしいからやめろ) 筋トレ部全員が思った。 だが。 俺は、やっぱりアルが気になった。 あまりにも細い。 胸板なんて柔らかそうで。 大丈夫かと思って、俺は触った。 ものすごく柔らかかった。 一瞬、女の子なのか? って思うくらいに。 でも。 男だよな。 王子みたいだけど。 きっと筋肉が足りないだけだ。 あいつ病気になるぞ。 身長はそれなりにある。 で
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第3話 毎日連絡するからな
 どうしよう。 ヴァルド君がメッセージを送ってきた。 しかも動画つきで。 動画のヴァルド君は妙に真剣だった。 あのジャージを着ている。 動画では筋トレをしているヴァルド君が映っていた。 わかりやすく、どうすればいいのか説明されていて、本当に初心者向けだった。 丁寧で優しい。 ヴァルド君の人柄なのかも。 いい人なんだな。 こんなに頑張った動画を送ってくれたんだもの。 これ、やらないといけないよね。 ただ、動画のヴァルド君は無駄に爽やかだった。 何で筋トレ部なんだろう。 やりすぎて頭まで筋肉にならないかしら。 少しだけ心配してしまった。 私はユリアの部屋をノックした。「ユリア、助けてー」「何?」「私、筋トレ部の対応で忙しいんだけど」「どうしたの?」「ユウ、女装かわいくね?」「惜しいけど良い感じだ」 送られてきたメッセージを見て、ユリアが固まった。「……」「これ、どう思う?」「惜しいってどういうことなの?」「私のかわいらしさの最大値を更新しろってこと?」「目をもう少し盛れってこと?」「いや、待って」「輪郭?」「メイク不足?」 ユリアは真剣だった。「何が惜しいのかしら……」 少し考え込む。「わかったわ」「服が少しかわいくなかったのね?」「今度は決めて見せる!」「あんたたち、壊してやる!」 ユリアは拳を握った。「女の子にしか見えないって言わせてやるから!」 何かが間違っていた。 そして。 今回はいけるでしょ、と言いながらユリアが写真を送る。 すると。「惜しい」
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