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第17話

Author: 連衣の水調
「動くな!手の甲全体が腫れ上がるのを望んでいるのか?」

胤道は眉をひそめ、一歩前に出て彼女の手首を掴んだ。

静華は抵抗しようとしたが、胤道はすかさず言った。

「これ以上動いたら、俺が何をするかわからないぞ!」

静華は本当に動けなくなった。焦点の合わない目には恐怖と困惑が滲んでいる。

彼女はかすれた声で問いかけた。

「野崎、あなたはいったい何が欲しいの?」

彼女はすでにすべてを失った。

唯一、りんに似ていた顔すら失われたというのに、彼はまだ何かを奪おうというのか?

胤道は拳を握りしめ、冷笑した。

「森、お前は自分の顔を鏡で見たことがあるのか?俺が好きでお前に執着してるとでも思うのか?俺が欲しいのは、俺の子供だ!あの子を俺の元に戻したいだけだ!素直に渡せば、二度とお前になど関わらない!」

「あなたの……子供を、戻す?」

静華の全身が震えた。

何百もの夜を過ごしながら、彼女はいつも、赤ん坊の泣き声を耳にしていた。

だが――

あのこはすでに肉塊となり、この世から消え去ったのだ。

昔の静華自身とともに、刑務所の闇の中で――

そんな地獄を作り出した張本人が、今さら何を言っているのか?

静華は笑った。

笑いながら涙が溢れ出た。

その表情を見た胤道は、苛立ちに眉を寄せ、彼女の顎を掴んだ。

「何がおかしい?俺が子供を取り戻すって話が、そんなに笑えることか?」

静華の頬を涙が伝った。

彼女は、この目が見えないことを心の底から幸運に思った。

もし見えてしまったら、彼のこの偽善的な顔に、どれほど嫌悪を覚えたことか。

「野崎、私を苦しめたいなら、はっきりそう言えばいい……そんなまどろっこしい手を使わなくてもいいでしょう?あの子が戻れるか戻れないか、あなたが一番わかっているはずよ」

静華の問い詰めに、胤道は一瞬、言葉を失った。

蒼真の言葉が脳裏をよぎる。

胸の奥が抉られるような痛みが走った。

歯を食いしばり、問い詰める。

「……どういう意味だ?」

「どういう意味だって?」

静華は、布団を握りしめ、泣きながら叫んだ。

「死んだのよ!あなたの望みどおり、あの子は死んだのよ!私は、あの子の顔すらまともに見ることなく、死んでしまったのよ!」

胤道は凍りついた。

まるで冷水を浴びせられたように、頭の中が真っ白になった。

次の瞬間、彼
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Comments (4)
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国崎 カズ子
ほんとになんで刑務所でやられたことを、すぐに言わないのかな
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ひらはらみ
あまりにも…酷い仕打ちなので可哀想すぎて 戦える力がなさ過ぎで見るのを躊躇ってしまってます。可哀想過ぎる
goodnovel comment avatar
正美
なんで刑務所内でやられた事を言わないの?
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