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第303話

Author: 風羽
澄佳「うち……もうお金持ちだよ」

澪安は小さな顔を真っ赤にして、「じゃあ、ぼくがお医者さんになる!」

澄佳はしばらく黙ってから、小さな声で言った。

「……ママがね、そういうことは全部やるって。私たちは元気に、大きくなって幸せに育てばいいんだって」

横で聞いていた山田は、胸の奥が熱くなり、思わず目元をぬぐった。

——奥様は、本当に子どもたちをよく育てている。

京介の病のせいで、家の中はずっと重苦しい空気に包まれていた。

それでも、今日は大晦日。夜になって、輝は何束かの線香花火を買って帰ってきた。

暮れなずむ庭に、黒いワゴンが滑り込む。

輝は京介の従兄で、背丈も顔立ちもよく似ている。

澄佳は一瞬、目を見間違え、駆け寄って抱きついた。

「パパ!」

輝はあえて否定しなかった。少しでも喜ばせてやりたかったのだ。

自分にも娘がいる——赤坂瑠璃が産んだ茉莉。だが、会える機会はほとんどない。あの女の心は氷のように冷たい。

しばらくして、澄佳は間違いに気づいた。

目が赤くなり、恥ずかしそうに「伯父さん……」とつぶやいた。

輝は澪安を抱き上げ、ふたりの子どもを両腕に収めた。
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