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ちょっとヤマカンが当たるなんて思ってなくてですね…(2)

last update publish date: 2026-10-13 16:21:00

あはは、とぎこちない笑いで誤魔化す。噂なんてないってバレないといいけど。

ゲドー・ヴァルキンは勇者であるケントとその仲間が最初に訪れた村で戦う大きな盗賊団の首領。奴らは村の娘を何人か誘拐して村人たちに食べ物や金を貢がせていた。

それを知ったケントは一人村を飛び出してゲドーのところに行っちゃうんだよね。

それこそゲドーは最初のボスキャラって感じで、魔法は使えないけど狡賢くて保身的だからアジトのなかはトラップまみれ。ケントは何度も死にかけながらゲドーのところになんとか辿り着く。

でもゲドーは腕っぷしも強いからボコボコにされちゃって、途中でエルシィたちが来てくれたから勝てた感じだったなぁ。

序盤だからこその熱い展開なんだけど、時系列が合っている自信はない。いくら首都から次の村までは離れてるって言っても、二週間もかかるかって言われたらそんなことはない気がするし。

なのでこんなものは所詮ヤマカンだ。

「随分とよく吹く風だな」

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  • 私が貴方を死なせません!   ちょっとヤマカンが当たるなんて思ってなくてですね…(3)

    私がルカさんにリストを渡すと、彼も流し見るような感じで紙束に目を通していく。そしてそのまま納得したように一度それを閉じた。 「あぁ、これだ。棚の上にあったのか…」 「よかった! お役に立てまして光栄です」 呆れてものも言えないと言った様子のルカさんではあったけど、私としてはルカさんの役に立てて天にも昇る気持ち。んん〜〜〜嬉しい、神様ありがとう。 今日は良い日だ、このままだと時間的にお昼を食べ損ねそうだけど悔いはない。 なんてるんるんになって呑気なことを考えていたら、何やら視線を感じたのでそちらを見る。するとなぜかルカさんが不思議そうにこちらを見ていた。 「如何なさいましたか?」 「あ、いや…すまない。失礼だった」 しかも彼は私の言葉に対して気まずそうに視線を逸らす。 …もしかした挙動不審でキモいと思われたかもしれない。浮かれすぎた。 「いえその…こちらこそ浮かれて変な動きしてたろうと…すみません…」 「特に動いてはなかったが…?」 「それはそれで怖くないですか…? 急に微動だにしないのは」 明かされる衝撃の事実。てっきり喜びでうねうねしてたのかと思ったけどそうではなかったらしい。 いやでも、自分でも言ったけど急に動かなくなるのはどう考えても怖いよ。 「すまない、やはり失礼だったな」 「謝るようなことじゃ…私が勝手に浮かれてただけですし」 「浮かれたのか?」 「!」 また失言したと思った頃には遅かった。 何も考えないで本音なんて言うものじゃない。ただ貴方が謝るところなんてないと言いたかっただけなのに。 そんなことでなんか、恥ずかしいこと言いたくなかった。 「い、いやその、気持ち悪くてすみません! 目的のものも見つかりましたし私はこれにて!」 これ以上は気まずいと床に散らばる書類を踏まない

  • 私が貴方を死なせません!   ちょっとヤマカンが当たるなんて思ってなくてですね…(2)

    あはは、とぎこちない笑いで誤魔化す。噂なんてないってバレないといいけど。 ゲドー・ヴァルキンは勇者であるケントとその仲間が最初に訪れた村で戦う大きな盗賊団の首領。奴らは村の娘を何人か誘拐して村人たちに食べ物や金を貢がせていた。 それを知ったケントは一人村を飛び出してゲドーのところに行っちゃうんだよね。 それこそゲドーは最初のボスキャラって感じで、魔法は使えないけど狡賢くて保身的だからアジトのなかはトラップまみれ。ケントは何度も死にかけながらゲドーのところになんとか辿り着く。 でもゲドーは腕っぷしも強いからボコボコにされちゃって、途中でエルシィたちが来てくれたから勝てた感じだったなぁ。 序盤だからこその熱い展開なんだけど、時系列が合っている自信はない。いくら首都から次の村までは離れてるって言っても、二週間もかかるかって言われたらそんなことはない気がするし。 なのでこんなものは所詮ヤマカンだ。 「随分とよく吹く風だな」 「そ、そうですかね…? 私はたまたま聞いただけなので…」 そして訪れる沈黙。 でも、もしかして合ってるなんて言わないよね? まぁまだケントたち旅立ってそんなに時間てったないしな、くらいの軽い気持ちでしかないんだからきな臭いことに巻き込まれたくはない。 「と、とりあえず探すの再開しますね! 副団長はそろそろご休憩でも…」 「いや、いい。そんな暇はない」 ルカさんはそれだけ言うと作業を再開し始めた。私もそれに倣って書類を仕分けていると、ふと棚の上に紙束があることに気づく。 「んっ…」 なのでそれを取ろうと手を伸ばしているわけだけど、あと少し届かない。 「あとちょっと…!」 ぐっとつま先を伸ばして手を伸ばす。そしてなんとか指先が紙束を摘んだ時、 「きゃぁ!?」 そのまま後ろにずっこけた。背後に向かって倒れ込んだ体がほんの少し宙を舞う。

  • 私が貴方を死なせません!   ちょっとヤマカンが当たるなんて思ってなくてですね…(1)

    ******** 「君」 不意に呼ばれたのが自分のことなのかはわからないまま、とりあえずで声の方に振り向く。すると声の主は予想通りルカさんだった。 「私でしょうか?」 さも普通を装って相手に問う。心臓は喜びと緊張で高鳴ったまま。 相手に心音が聞こえたらどうしよう。だってこの間の、彼の真っ赤な顔を見てしまってからそう日は経ってない。彼の顔を見るだけで、あの光景が頭を過ぎる。 「あぁ。今手は空いているか?」 「はい」 「なら少し手伝ってくれないか」 「? わかりました」 *** よくわからないままルカさんに連れてこられた一室の中は、どうにも煩雑としていた。 スペースの空いた本棚があるのに入らないで床に放ってある本とか、雑に積み重ねられた紙で作られている何本もの柱とか、それこそ床に紙が散らばってて足の踏み場ないし。 「資料を一つ探しているんだが、何せこの状況だと一人でやるには骨が折れてな」 「確かにとんでもないことになってますね…」 どれだけ雑に扱ったらこんなことになるんだろ…暇があったら片付けないと気が済みそうにない。 「書類仕事となるとここでは嫌われ者なせいか、どうにもいかない。進んでこの状況をなんとかしたいと思う人間の方が稀だ」 「えぇ…? 私だったら片付けたいですよ、こんなの」 正直言って信じられないよ、こんな仕事しづらい状況なんて。書類仕事に求められる最もたるものは効率なんだから。 “面倒だから、効率的に”…私の信条である。 「なら任せていいか?」 「え?」 「片付けたいんだろう? こちらとしても助かる」 「構いませんが、時間が欲しいです」

  • 私が貴方を死なせません!   貴方のそんなところ、私は知らない

    ******** 「副団長、いらっしゃいますか?」 ある日、私は“副団長執務室”と書かれた看板が吊り下げられたドアをノックして、中にいる人物に呼びかけている。すぐに帰ってきた入室許可の返答を合図にドアを開けると、部屋の奥に置かれた執務机で書類作業を行なっているルカさんが目に入った。 ルカさんは私が目で追いかけているうちにしっかりと副団長の座まで上り詰めている。この六年以上という年月の中で、彼を見かけるたびについ視線で追ってしまうけど…なるべく視線は合わせないようにしているからバレてないと思いたい。 まぁルカさんの昇進に関しては、彼は槍使いのはずなのにどんな武器でも当たり前みたいに使いこなして風魔法は上級、他の四元素も中級程度なら公式設定通り簡単に使いこなしてしまうので…そこにあの頭脳が加われば何も不思議なことなんてないんだけど。 「…」 それにしても、と目の前で書類に集中しているルカさんにどうしても視線が釘付けにされてしまう。 いつも綺麗なプラチナブロンドの髪は相変わらず前髪が少し長くて目元が見えづらいから、書類を見ているせいで視線が下に向いている今ではその奥にある切長な垂れ目と新緑の瞳を拝むことはできない。 それに、私たち騎士は業務時間中は防具の装備が義務付けられていて、副団長ともなるともはやそれは甲冑なんだけど…それを着ていても彼は少し細身に見える。 だけど手の大きさに対して少し細い羽ペンを持て余しているその掌には、焼き付けられたように刻み込まれたタコが幾つも見て取れた。その硬く変わっていった、装甲のような皮膚の部分の数だけ彼が重ねた努力を証明している。 「どうした?」 「!」

  • 私が貴方を死なせません!   勇者たちは旅だった、では私は?

      ********   正式に騎士として昇格してから一年半が経ち、私は今まさに目の前で魔王アルバートの住まう城へと向かう勇者とその仲間たちを、式典の護衛の一人として眺めている。 勇者と仲間三人の旅立ちは盛大な式典として扱われ、聖女エルシィと同じように信託を受けたという他の巫女たちの祈りと共に彼らは見送られた。 見送られてるってことは原作一巻の最後半の話か…私が騎士に上がってからしばらく経つし、王城決戦は避けられるイベントだとも思わない。でも同時に、“その日”がいつになるのかが明確でないのも現実だ。 一ヶ月後かもしれないし、三ヶ月後、半年経ってからかもしれない。 王城での決戦は、魔王アルバートが魔界の入り口となる離れ小島の手前の港までやってきた勇者たちに対して行う入念な嫌がらせだ。 突如現れた魔族の大群に対して国王が苦渋の決断で国宝である魔法通信機を使い勇者たちの一時帰還を要請する。要請を聞いた勇者たちは慌てて帰ろうとするも、歩きでは何日かかるかわからないとなって地元の魔族が牛耳ってる瞬間移動装置を奪って帰ってくるんだよね。 でも作中にちょろっと出てきた地図を確認するに、首都からその港までがそもそも何ヶ月かかるかわからないところにあるし、途中滞在する村で事件が起きたりもするから本当に時間軸が掴めない。 ケントと魔法使いのネイサン、それに騎士のカトレアは歩くのが早いかもしれないけど、エルシィは聖女として教会に篭り切りだった描写から考えれば足の速さも体力もあるとは思えない…そうなれば当然歩行ペースはエルシィに合わせられたものになってく。 今回魔族と裏で繋がっていた官僚の顔は覚えてるけど、物語の中では拘束されるところまでしか描写がないから何か重要な情報を握っていて、それが後からフラグとして生かされる可能性もあるかもと考えると、暗殺なんてしたら後が大変なことになりかねない。 私が読んでいた段階だとアルバートが何故人間を敵視するのか、という点については考察ができる範疇しか描かれてなかったし…小さなヒントでも一つなくなるだけで根本が瓦解する恐れがある。 読んでいた流れ的にはハッピーエンドに行きつきそうな感じだったし、そこから

  • 私が貴方を死なせません!   まだここはスタートラインだ(2)

    今日は従士から騎士へと位を上げる昇級式なわけだけど、本当にここまで長かったなと話をしながら改めて考える。 前世の記憶を取り戻し、親を説得しきるまで四年。そこから従士として実質五年…その九年の歳月を私はルカさんを護れるようになりたくて捧げてきた。 でもなんの悔いもない。むしろこの程度でしか彼に恩は返せないと思ってる。 だって前世で一番苦しい時期の私に光をくれたのはルカさんだったもの。 前世の職場では人間関係がうまくいってなくて、奴隷のように扱われていた。化粧も上手くないから地味だなんだと揶揄されて…他人のやりたくない、地味で面倒だったり他人にものを教えては失敗に付き合わされるような仕事ばかりやっていた。 その上上司の苛立ちに付き合わされて、八つ当たりのように飛んでくる罵倒に何かを返すことも許されない日々。 本当に辛かった。生きていたくないというよりかは存在を根本から抹消したい人生。 大人になるというのは働くことでもあるし、家にお金もないからと高卒で就職したけど、そのせいで今があるなら奨学金の返済に首を絞められてでも大学でやりたいことをはっきりさせた方が良かったんじゃないか、なんてたらればばかりが頭をめぐって。 本当に限界ギリギリの時に親に勧められて勝手に送られてきたのが『神託の剣』。当時は何か気分転換にできるものを見つけるか、いっそ会社を辞めて実家に帰ってくるよう言われていたけど、そんな余裕はないと突っぱねていた時期でもあって。 かといって送られてきちゃったなら仕方ない…と読んでみるとわかりやすい導入とテンポの良いコマ割り、そして真っ直ぐなストーリーと時々少しだけ難しい設定に惹かれ読み進めるようになっていた。 寝る前に読む一冊が楽しみになっていった中で、私はそれを見る。 初登場時はレオの後ろに側近として仕えているような地味な登場で、でもモブにしてはキャラデザインが明確だなと思った程度だった。 でも勇者たちが旅立つその日、朝早くに出立の挨拶をするカトレアに向かって優しく微笑んだその姿を見た時、私の目は一

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