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第5話

Auteur: 枝火
湊は眉をひそめ、春日がどうしてそんな質問をするのか理解できなかった。

どうせ彼女に妊娠できそうにないから、嘘をつくつもりもなかった。

「実際、俺が欲しいのは雪葉の子供だけだ。同時に妊娠したとしても、俺は確実に彼女の子供を贔屓するだろうね」

その言葉を聞いて、春日の顔は真っ青になった。

彼女は俯いてお腹に手を当てると、すべての罪悪感が跡形もなく消え去った。

「そうだ、二日後は俺の誕生日だ。国外に出る前に友達を集めて祝うつもりだし、ついでに雪葉が妊娠したことを知らせたい。お前も来てくれ」

湊はドアの近くにもたれかかりながら、淡々と春日を見つめた。

春日はこのことを予想していた。

だが、実際にその言葉を耳にしたとき、彼女の心はやはりぎゅっと痛んだ。

「そうなら、私が行く必要なんてないでしょう?」

湊は眉をひそめた。

「お前が行かなければ、彼らは雪葉を不審に思うだろう。みんなに誤解されたくないんだ」

春日の顔には複雑な感情が浮かび上がった。自嘲、哀しみ、失望、そして心が折れたような表情だ。

「行かないわ。正妻が側室を支えるなんて聞いたことがないもの」

湊は険しい表情を浮かべ、しばらくしてからゆっくりと言った。

「君が来てくれるなら、俺は無条件でお前の要求を一つ飲むよ」

春日は水のように澄んだ目を伏せ、静かに言った。

「ならいいわ。その時、書類にサインして」

離婚届にサインしてもらうという意味だ。

二日後、湊の誕生日パーティーが開かれた。

彼の友達やビジネスパートナーが大勢集まっていた。

湊は雪葉の手を取り、みんなの中心へと歩み寄った。

彼は咳払いを二度し、瞬く間に周囲は静まり返った。

「今日は誕生日を利用して、皆さんに良い知らせをお伝えしたい」

「雪葉が妊娠しました。俺はついに父親の、家族三人の夢を叶えてくれた彼女に感謝します」

その言葉に、春日を知る多くの人々が一斉に彼女が座る隅を振り返った。

春日は俯いたまま黙っていたが、赤くなった目が彼女の感情を隠しきれなかった。

三年前、湊が事業に成功した後、彼は自ら春日に結婚式を挙げ直そうと提案した。

彼女は派手なことを嫌がったが、湊はそれでもなお式を強行した。

「他の女があるもの、うちの嫁さんにもあげたいんだ」

「お前はずっと苦労をしてきた。その恩は今から返すよ。俺にはその能力がある」

その日、結婚式の舞台で湊は彼女を見つめ、嬉しそうな表情でこう言った。

「俺たちは今、二人家族だ」

「子供を産んでくれたら、三人家族になれるよ」

だからこそ、式が終わった後、彼女は家で体調を整え、積極的に妊活に取り組んだのだ。

それなのに今、彼は他の女性が産む子供をみんなに喜んで発表している。

出席者の多くは春日が正妻であることを知っていた。

しかし、中には素早くお祝いの言葉を送る人たちもいた。

「おめでとうございます!」

「梅村さんは本当に幸せ者ですね。夏山さんという立派な方に巡り合えて」

一方で、不満げな表情を浮かべる男たちも少なからずいた。

「春日が昔、湊のために取引先を回るため、どれだけ俺に頼み込んだか覚えてますよ。何回も一緒に飲んでいました」

「そうそう、一番凄かったのは、彼女が一日に七軒も飲み歩いた時だ。今でも俺の妻が彼女を尊敬してるくらいだ」

パーティーは再び賑やかさを取り戻し、歌う者、カードゲームに興じる者、それぞれが楽しんでいた。

春日は隅の席に座り、スマホをいじりながら黙々としていた。

雪葉は周囲を見回し、隅で座っている春日に気づくと、お腹を支えながらゆっくりと彼女の側に歩み寄った。

「春日、お湯を一杯持ってきてくれない?赤ちゃんが喉が渇いたの」

春日は顔を上げ、雪葉の得意げな目つきを捉えたが、取り合う気にはなれなかった。

「無理、今忙しい」

雪葉は彼女がゲームをしているのを見て、ふと悪だくみを思いつき、さらに近づいてきた。

「もし、あなたがずっと湊の子供を妊娠できず、別の男の子供を妊娠したらどうなると思う?」

「湊はあなたと完全に縁を切って、私を正妻にするんじゃない?」

春日はゲームをしていた手を止め、目を細めて言った。

「試してみれば?もしそんなことをしたら、あなたの腹を蹴って流産させてやるわ」

雪葉は舌を出し、淡々と笑った。

「冗談よ、そんなに怒らないってば」

春日は冷たい目で雪葉を一瞥し、それ以上相手にしなかった。

湊に約束したことは既に果たしたため、彼女は立ち上がり、部屋を出ようと歩き始めた。

しかし、振り返った瞬間、雪葉はすかさずスマホを取り出し、メッセージを送信した。

「彼女が出るよ、やれ」

春日はボックスを出た後、トイレに行き、そのままタクシーに乗るつもりだった。

だが、数歩進んだところで、突然別のボックスのドアが内側から勢いよく開き、

一本の男性の腕が伸びてきて、彼女を力強く引き込んだ。春日はその勢いで床に倒れ込んだ。

春日は警戒して叫んだ。

「誰?」

彼女の声が響く中、別の男が素早くボックスの音量を最大にした。

激しい音楽が流れ始め、春日の助けを求める声はかき消されてしまった。

春日は恐怖に駆られて顔を上げた。

ボックスには6人の男たちがいて、誰もが邪悪な視線を彼女に向けていた。その目つきは卑猥で、凶悪だった。

「美しい奥さんじゃないか。最高だな」

「大物の女だって聞いたけど、今日は贅沢させてもらえるな」

「始めようぜ!」

数人の男が一斉に春日へ手を伸ばしてきた。春日は恐怖で逃げようとしたが、男たちの一人の手がすでに彼女の体に触れていた。

その時、彼女はふと雪葉の言葉を思い出した......

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