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第4話

Auteur: 愛夢
それから丸1週間、駿と柚葉は大学に姿を見せなかった。

卒業記念の集合写真撮影の日、ようやく二人は遅れてやってきた。

駿は花束を抱えており、人混みを縫うようにして、私の方へ歩み寄ってきた。

それを見て、周囲の同級生たちが野次を飛ばした。

「わー!瑠璃ちゃん、大学4年間、一番見せつけてきたカップルがついに結ばれるのね」

「そういえば入学した頃、先生が出欠をとったときも、浅野くんが立ち上がってこう言ってたよな。『先生、こんにちは。瑠璃の彼氏です。付き添いで来ました』って!」

それを聞いて、周囲がさらにどっと沸き立った。

そんな中、駿は悠然とみんなとあいさつを交わした。だが、私が完全に無視を貫くのを見ると、彼はあっさりとその花束を柚葉の手に預けた。

それを受けて、柚葉が驚いた声を上げた。「ありがとう、駿くん」

一瞬にしてその場は静まり、気まずい空気が流れた。

駿は私を見つめ、低い声で言った。

「本社に、二人分の異動枠が確保できた。その内の一枠は柚葉にあげることにしたんだ。

お前はここで今の仕事を続けてろ。俺が東都で基盤を整えたら、結婚のことをまた考えよう。

これを俺からのお前への試練だと思え。合格できたら、東都で結婚してやるから」

それを聞いて、私は一瞬呆然とした。駿はなぜ自信満々に、私が待っていると確信できたんだろう?

一方、柚葉は口元を覆い、あどけない顔で信じられないといった風に目を丸くした。

「瑠璃、そうだったのね。私が本社へ異動できるのを知ったから怒ってあんなことしたの?

もしあなたがしたって分かっていたら、通報なんてしなかったのに……」

私ははっとした。「何?通報って?」

柚葉がスマホから動画を見せ、皆にさらけ出した。

そこには、彼女の車が傷つけられ、「アバズレ」と刻まれる映像が流れていた。

その監視カメラがとらえた映像には私が映っていた。

私は気がめいるとよく図書館裏の林へ息抜きに行く習慣があった。

駿たちの行方が分からなくなった数日間、私は確かにそこへいた。

「私じゃない!」

しかし、私がそう言い終える前に、パトカーがサイレンを鳴らしてやってきた。

「柚葉、私がやってないことを知ってるでしょ」

私は焦って、柚葉の手首を掴みかかった。

卒業間近なのだ。ここで前科を作るわけにはいかない。

でも、柚葉はまるで痛みを感じたかのように声を上げた。

すると、駿が私を引きはがした。その目から、心配の色も消えていた。

「瑠璃、柚葉のことがそんなに憎いか?いつからお前は、そんな恐ろしいことをする人間になったんだ?」

警察に肩を押さえつけられ、私は何も弁解できず、ただ呆然と口元を震わせるしかなかった。

それを見て、これまで私を買っていた先生さえも、溜め息混じりに首を横に振った。

「一ノ瀬さん、何をしているんだ?成績優秀者として表彰されるはずだったのに、これじゃ卒業できるかどうかもわからんな」

それに伴って、周囲からも嘲笑と、憐れみの視線が集まった。

私の頭がガーンと鳴り響き、視界も次第にぼやけていった。

ただ、柚葉の口元に浮かんだ、あの嘲笑だけが鮮やかに目に焼き付いた。

それから、私は警察署で供述をとられた。

警察は言った。「小林さんが和解を拒否しているので、もし、罪が確定すれば拘留15日間、さらに10万円程度の賠償になるでしょう」

私は力なく笑うしかない。銀行の残高は駿に使い切られ、10万円どころか、1万円さえ残っていない。

翌日、留置所から出ると、保釈にきてくれた雅美が車で待っていてくれた。

彼女は時計を見て言った。「本当に、サヨナラは言わなくていいの?」

私は黙って首を振った。

スマホには、駿からのメッセージ。

【瑠璃、今回はさすがにお前がやりすぎただろう。柚葉は昨晩、お前のことを心配して一睡もできなかったんだぞ】

【この面接は柚葉にとって重要なものなんだ。終わり次第、保釈しに行ってやるから】

【仕事についても心配はいらない。俺の父さんが経営者の知り合いだ。お前は犯罪歴が付いたわけだし、柚葉に謝る気があるなら、父さんのツテで口利きしてやるよ】

それ以外に、画面を辿ると、先月送られたメッセージがまだ残っていた。

そのメッセージでは、駿がこう書いていた。【瑠璃、開発部に入ったら籍を入れようね】

当時は期待で溢れていたが、今はただ、反吐が出そうだ。

寮へ戻り、私は全ての荷物をまとめた。

そして画面を睨みつけ、私は最後に短い言葉を送った。

【駿、別れよう!】

次の瞬間、駿の連絡先をすべてブロックした。

……

一方、正社員登用の発表会で柚葉と待っているとき、駿はなぜか得体の知れない不安に襲われていた。

会場が次第にざわつき、学生たちの元に採用結果の書類が届き始める。

柚葉は笑顔で文書を開いた。

しかし、結果を見た途端、彼女は血相を変えて叫び声を上げた。

「どうして?」

突如、駿のスマホに一通の通知が入る。

その内容を目にした瞬間、彼の瞳は驚愕で大きく見開かれた。

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