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30話. 私のカレンダーにないシンガポール

Author: YuIm
last update publish date: 2026-10-11 08:01:00

二人は事務所を出て、近くの食堂に入った。唐揚げの店ではなかった。ただ、その時間にも昼食を食べられる場所だった。

蓮司は注文を済ませると、スマートフォンの画面を見た。指は動かなかった。紗月が向かいに座って水差しを持ち上げると、ようやく画面を消した。

「今日は思ったより話してしまいましたね」

彼は言った。

「嫌ではありませんでした」

紗月は自分のコップに水を注いだ。蓮司にも水差しを渡した。

「でも、ずっと悪いことをした人みたいに話すんですね」

蓮司は水差しを置いた。

「遅かったという思いが消えないんです」

「あの日の夕食に?」

「その日もそうですし。事故のあとも」

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