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やっぱり、沼②

Author: 藍沢咲良
last update publish date: 2026-09-17 14:29:33

表情は、いつも通り整っている。

冷静で、理性的で、隙がない顔。

なのに。

視線だけが、明らかに揺れている。

一度、私の顔を見て。

次に、首元に落ちて。

すぐに逸らして、また戻ってくる。

「……似合うな」

ぽつり、と。

それだけ。

からかうでもなく、褒めるでもなく、ただ事実を確認するみたいな声音。

「部屋着ですよ?」

「分かっている」

即答だった。

なのに、視線は外さない。

むしろ、外せないみたいに。

私は少しだけ首を傾げた。

「……どうしました?」

数秒の沈黙。

瑛は何も言わない。

ただ、深く息を吐いた。

そのあと、ゆっくりと視線がまた落ちる。

私の肩。

鎖骨。

そして、また目へ。

「……気付いていないのか」

「え?」

「何でもない」

すぐに否定される。

でも。

その言い方が、あまりにも“何でもなくない”。

胸の奥が、小さくざわついた。

ベッドの端に座り直すと、マットレスがわずかに沈む。

隣の気配が近い。

近いのに、触れてこない。

その距離が、逆に意識を強くさせる。

「……あの」

気付いたら、声が出ていた。

瑛の視線が、ゆっくりこちらに戻る。

「なんだ」

低くて、落ち着いた声。

でも
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