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第 21 話

作者: 藍葉
綾香は、この男がまだ諦めていないことくらい分かっていた。

むっとしながら、娘を健司の腕の中へ押しつける。

「はい、どうぞ。あげます。一日四回ミルクで、ニンジンは嫌い、あと海鮮アレルギーがあります」

健司は、ふわふわでミルクの香りがする小さな思奈を抱きながら、どうしていいか分からず固まった。

「君、名前は?」健司が尋ねる。

「私は水野思奈。思奈の『思』は思いの『思』。みんなには『奈々』って呼ばれてるの」思奈は真面目な顔で自己紹介した。黒ぶどうのような大きな瞳が、嬉しそうにきらきら輝いている。

「じゃあ、あの人は?」健司は綾香を指差した。

「お姉ちゃんだよ、かっこいいパパ!」

思奈はそう言って、ま
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