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第55話

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病院までの道中、楓はずっと大輔の腕の中で激しく抵抗し、下ろせと要求し続けたが、すべて徒労に終わった。

救急救命室のベッドに彼女をようやく下ろすと、大輔は彼女の両手を押さえ込み、低く威圧的な声で言った。

「楓、今の俺はひどく機嫌が悪い。いい子にしてろ」

その声に潜む脅迫の響きを感じ取り、楓は彼の手を振り払うと、氷のように冷たい視線を向けた。

「あなたの機嫌が悪いことと、私に何の関係があるの?従順で『いい子』なのがお好みなら、智美のところへ行けばいいわ。私には彼女みたいに物分かりよく振る舞うなんて、到底無理だから」

大輔は彼女の無表情な横顔をじっと見つめ、突然口角を上げた。

「楓、もしかして妬いてるのか?」

楓は眉をひそめた。一体どういう思考回路をしていればそんな結論に行き着くのか理解できなかった。彼と言い争う気力すらなく、勝手に勘違いさせておくことにした。

まもなく医師が到着し、精密な検査を行った後、楓の傷ついた手を丁寧に包帯で巻き直した。そして、念のため数日間入院して経過を観察するよう勧めた。

病室に移っても、大輔が一向に帰ろうとしないのを見て、楓の心に苛立ちがよぎっ
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