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第871話

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「ええ、分かりました。では、藤堂美雨の方ですが……」

「通常通りに契約を進めろ」

「承知いたしました」

電話を切ると、律はスマホを下ろし、その顔には冷淡な表情が浮かんだ。

もし楓が生きて戻ってこなければ、子供のために美雨と一生添い遂げたかもしれない。しかし、楓が戻ってきた今、美雨はただ邪魔な存在でしかなかった。

邪魔者なら、当然排除しなければならない。

慎についても、彼なら新しい母親である楓をすぐに受け入れるはずだと信じて疑わなかった。

秘書がドアをノックして入ってくると、律の顔に浮かぶ笑みを見て、思わず言葉を漏らした。

「社長、今日は随分とご機嫌がよろしいですね」

律は普段から親しみやすい上司とは言い難く、常に無表情で、感情をここまで露わにすることは滅多になかった。

「ああ、悪くない」

「こちらが今四半期の財務報告書になります。ご確認をお願いいたします」

律は書類を受け取った。

「ああ、ご苦労。仕事に戻れ」

「はい」

秘書が退出した後、律は財務報告書に目を通し始めた。以前と変わらず、会社の時価総額は順調に伸びており、何の問題も見当たらなかった。

報告書
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