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第16話

Author: 青葉凛
紫音はボウルをそっとテーブルに戻し、考え込むように頷いた。その瞳に複雑な色が走る。

実家との縁談などの事情で少し会社を空けている間に、まさか清也がここまで愚かな真似をするとは。これでは自ら会社を火の海へ突き落とし、破滅へ向かわせているようなものだ。

「それで……私財の処分の方はどうなっているの?」

紫音は視線を蘭に戻した。その声は静かだが、鋼のような意志が感じられる。

蘭は小さく溜息をついた。「ご指示通り、他の役員の秘書たちに打診してみました」

「ですが、皆さんの反応は芳しくありません。紫音さんが株を手放せば、会社の経営は悪化の一途を辿り、最悪の場合は倒産するのではないかと。株が紙屑になるのを恐れて、買い手がつかない状況です」

紫音はペンの先で卓上を一定のリズムで叩きながら、目を細めた。その表情には、焦りなど微塵もない余裕が漂っている。「構わないわ。売れなくても損をするわけじゃないし、手はある」

二人が次の手を熱心に話し合っていると、テーブルに置かれた蘭のスマートフォンが震動した。

紫音は何気なく画面を横目で捉え、途端に眉を顰める。

蘭が視線で問いかけた。「……出ます
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