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第2話

Auteur: 早起き
しかし、ここ最近の一年だけは、数値がまるでジェットコースターのように、激しく乱高下し続けていた。

付き合いが長ければ熱が冷めるのは当然――そう自分を欺いていた。だから数値が乱れても、ただの倦怠期だと思い込んだ。

あきれるほどに、彼の浮気など一度も考えなかった。

それどころか、任務が終わっても残ろうと、折に考えていた。

今ならわかる。あの数値の上下こそが、彼の心がもう私から離れていた確かな証だった。

文彦が風呂から出てきた時、私はまだ手を洗い続けていた。

皮膚は真っ赤に腫れ、ところどころめくれてきた。

彼は流れを止め、私の手をそっと握ると、心配そうに言った。

「どうしたの?これ以上洗ったら、本当に傷ついちゃうよ」

私が潔癖症なのは知っているが、この異常なまでの手洗いに、彼はやはり理解できないという顔をしている。

私は顔を上げ、彼をじっと見つめた。

「汚いものに触ったの。すごく汚いから、洗わなきゃ」

彼は改めて私の手を眺め、不審そうに首を傾げた。

「別に何も付いてないな」

「あるの。すごく汚らしい。もう、この手はいらなくていいかも。

言ったでしょう。もしあなたが汚れたら、私、もう要らないって」

彼の瞳が一瞬かすかに揺らぎ、喉仏がぐっと上下した。私がどこまで真相を知っているのか、必死に見極めようとしているようだった。

だが、次の瞬間には平静を取り戻し、力強い口調で言い放つ。

「覚えてるよ。霞を離すなんて、ありえない。そんなこと言わないでくれ」

いつものように少し子供っぽく唇を尖らせると、彼はタオルを手に取り、私の指を一本一本、丁寧に拭いていった。

「お前のことが本当に大好きなんだ」

その目は昔と変わらぬ深い愛情であふれていた。

けれど、私の心はもう何も感じなかった。

本当に愛していたのなら、どうして他の女を抱けたのだろう。

結局、愛しているという言葉は、彼にとって都合のよい綺麗事でしかなかった。

「脱出まで、残り二日」

一晩中、浅い眠りを繰り返していた。リビングから聞こえるかすかな話し声で完全に目を覚ました。

頭はズキズキと痛み、吐き気さえ覚えるほどだった。

壁に手を当てながら、よろよろとリビングへと進むと、そこで目にした光景に、思わず息を詰まらせた。

若くて魅力的な女性が、文彦のすぐ脇に寄り添い、嬉しそうにコロッケを彼の口元へ運んでいた。

文彦は揚げ物が大の苦手で、他人とこの距離を詰めることさえ嫌がる男だった。

それなのに今、彼は口を開け、むしろ蕾の指先までくわえ込むようにして受け入れていた。その視線は、紛れもなく艶めいた色をたたえている。

その女性はわざとらしく驚いたふりをして私を見た。笑みを湛えた目が細くなる。

「霞さん、お目覚めになったんですか?

私は林田社長の個人秘書、鈴木蕾(すずき つぼみ)と申します。今日は社長のご指示で、朝食をお届けに参りましたよ」

口調は穏やかだが、その目の中には得意げな色が潜んでいた。まるで主権を宣言しているかのように。

入り口に立つ私の姿を見て、文彦は慌てて体を引き離し、形だけの凛とした姿勢をとった。しかし、そんな取り繕い方が、逆に彼の後ろめたさをあからさまにしていた。

彼は蕾を一瞥して警告の視線を送ると、私に向き直って優しく言った。

「彼女のことは気にしないで。さあ、朝食を食べて」

テーブルの上にはコーヒーとコロッケが残されていたが、もう二人でほとんど食べ終わった後だった。私の分など、最初から考慮されていなかったのだろう。

私は口元をわずかに歪め、淡々と言った。

「二人でどうぞ。私は後で簡単に済ませるから」

文彦もようやく食卓の状況に気づいたらしく、慌てて言い添えた。

「いや、俺が作ってあげるよ」

そう言い残して、彼はキッチンに入った。

蕾が挑発する目線を向けてきた。

「まだ粘ってるの?金持ちの生活が手放せないんでしょ、おばさん?」

頭の痛みが増し、やり返す気力もない。私はただ食卓に腰かけ、額を押さえていた。

「どうしたの?本当のこと言われて、ショック?」

蕾は私の眼前まで進み、見下ろすように言い放った。

「正直に言うわよ、文彦はあなたにはもう飽きてるんだから。これまでの情けで別れずにいるだけ。

大人しく消えたら?ここにいても、ただの邪魔よ」

「文彦は本当にあなたを愛してるなら、私に別れろって言わせてみれば?」

蕾は口元を歪めて、挑戦的な笑みを浮かべた。

「いいわ、覚悟してね」

次の瞬間、彼女は床に大きく倒れ、わざとらしい悲鳴を上げた。

物音に気づいた文彦が、慌てて台所から駆け出してきた。

転がる蕾を見ると、焦った表情で駆け寄り、抱き起こそうとした。

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