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夫を後悔させるミッション、クリアで100億獲得

夫を後悔させるミッション、クリアで100億獲得

By:  初冬Completed
Language: Japanese
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植田慎司(うえだ しんじ)によって精神病院に送り込まれてもう3年が経つ。私の中にはもう生きる気力なんて残っていなかった。 寒さの厳しい冬のある日、慎司の新しい恋人が現れ、やつれた私の頬を優しく撫でた。 「あなたが、慎司の奥さん?」 私は警戒するように山田智子(やまだ ともこ)を睨みつけただけで、何も答えなかった。 すると次の瞬間、相手は瞳に猛烈な殺意を宿しながら、私を階段から突き落としたのだ。 「あなたが消えてくれさえすれば、私が慎司の奥さんになれるって、みんな言ってくれるんですよ。だから早く死んでくださいね!」 咄嗟のことで一切反応できなかった私は、そのまま階段から落ち、頭から血が流れ出すのを感じた。 手術室で丸一日生死を彷徨ったが、何とか死の淵から這い上がることができた。 血走った目の慎司が駆け込んできて、私の手を固く握りしめる。 「日和(ひより)、約束する。君が助かった後に、智子がやったことを公にしないでいてくれるなら、過去のことは全部帳消しにしてやる。それに、これからは二度と君に迷惑なんてかけないから!」 私には、返事をする気力も残っていなかった。 その時、頭の中でずっと沈黙を貫いていたシステムのアラート音が、突然鳴り響いた。 「おめでとうございます。任務対象からの罪悪感ポイントが100パーセントになりました。この世界からの脱出が可能です」 私は小さく安堵の息を漏らす。 ようやく、家に帰れるのだ。

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Chapter 1

第1話

植田慎司(うえだ しんじ)によって精神病院に送り込まれてもう3年が経つ。私の中にはもう生きる気力なんて残っていなかった。

寒さの厳しい冬のある日、慎司の新しい恋人が現れ、やつれた私の頬を優しく撫でた。

「あなたが、慎司の奥さん?」

私は警戒するように山田智子(やまだ ともこ)を睨みつけただけで、何も答えなかった。

すると次の瞬間、相手は瞳に猛烈な殺意を宿しながら、私を階段から突き落としたのだ。

「あなたが消えてくれさえすれば、私が慎司の奥さんになれるって、みんな言ってくれるんですよ。だから早く死んでくださいね!」

咄嗟のことで一切反応できなかった私は、そのまま階段から落ち、頭から血が流れ出すのを感じた。

手術室で丸一日生死を彷徨ったが、何とか死の淵から這い上がることができた。

血走った目の慎司が駆け込んできて、私の手を固く握りしめる。

「日和(ひより)、約束する。君が助かった後に、智子がやったことを公にしないでいてくれるなら、過去のことは全部帳消しにしてやる。それに、これからは二度と君に迷惑なんてかけないから!」

私には、返事をする気力も残っていなかった。

その時、頭の中でずっと沈黙を貫いていたシステムのアラート音が、突然鳴り響いた。

「おめでとうございます。任務対象からの罪悪感ポイントが100パーセントになりました。この世界からの脱出が可能です」

私は小さく安堵の息を漏らす。

ようやく、家に帰れるのだ。

……

あの怪我の状態なら、本来集中治療室行きのはずなのだが、私はなぜか一般病棟に移された。

まだ顔色の悪い私を見て、慎司が優しい声を出す。

「心配するな。最高レベルの医者を集めたから。

ただ智子は今、仕事が絶好調だから、この件は内密に処理したいんだ。だから、お前が今回のことは『事故』だと公に発表するなら、ここから出してやる」

慎司が私を抱き起こし、雑炊を渡してきた。

「医者が言うには、今の体じゃこれしか食べられないらしい。ほら……」

私は顔を背け、目線を下に向ける。

「慎司、あなたはそんなことしなくていいから」

慎司は顔色をさっと変え、少し大きな声を出した。

「3年も経ったっていうのに、まだそんなよそよそしい態度をとるのか?」

私は何も答えない。

私だって慎司に心を壊される前は、彼に対して、こんな他人のような態度をとることはなかった。

この世界に来たばかりで、まだ任務も伝えられていなかった頃、私は慎司と出会ったのだが、その時の慎司はとても優しくしてくれた。

私が最愛の妻であることを、彼は全身で証明してくれていたのだ。

だから結婚して10年間、私も慎司の愛に全力で応え、私からも愛情を伝えてきた。

しかし先に変わったのは慎司だった。

私が歳をとってきたことで、慎司は自分の会社で契約している新人女優をそばに置いた。その女は智子といい、私の若い頃にそっくりだった。

二人が一緒に買い物をしている写真を目にした時、私は怒りを抑え切れず、慎司にどういうつもりなのか、と問い詰めた。

すると、返ってきたのは、身勝手な言い訳だった。

「智子は君の若い頃に似てると思わない?だから、懐かしくなってさ。でも、心配はしなくていいから。俺たちの間には何もない。愛しているのは君だけだよ」

私はただ黙り込み、悔し涙を流した。

慎司は私を強く抱きしめて宥める。

「ごめん、もう二度とこんなことはしないから」

私は信じた。

しかし、後に慎司と智子のキス動画がネットで話題になった。

私は怒りを抑え、冷静に聞いたのだが、慎司は初めて私に苛立ちを見せたのだった。

「あれは仕事での撮影だったんだ!なのに、何に嫉妬することがある?もういい加減にしてくれないか?」

そんな言い訳を、私は信じられなかった。

俳優でもない慎司が、撮影などを手伝うわけがないじゃないか。

私は静かに口を開く。

「離婚しよう」

慎司は同意してくれなかった。しかし、私は彼の顔も見たくなかったので、荷物を持って旅に出ることにした。

だが、私が逃げ出すと勘違いした慎司は、わざわざ私を連れ戻して自宅に軟禁したのだ。

慎司が私に手錠をかけたとき、私はもう片方の手で彼の頬を思い切り叩いた。

「おかしいんじゃないの?!」

慎司は怒りもせず、口元を拭って笑うだけだった。

「言っただろ?愛しているのは君だけだって。だから離さないよ。

俺が智子と仲良くしたのが嫌だったんじゃないのか?ほら、今はこうしてずっと君のそばにいてやれる。なのに、何が不満なんだ?」

狂っているとしか思えなかった。

それでも私は諦めることなく、慎司の出張の隙を突いて窓から逃げ出した。

足を引きずりながら空港に着いたとき、そこに慎司が立っていた。

その瞬間、一瞬にして全身の血の気が引いた。

慎司がボディーガードを呼び、私は捕らえられた。

「君は俺をあんなに愛してるというのに、何度も何度も俺の元からいなくなろうとする。こんな、矛盾めいたことをするなんて、君は何か精神的な病に決まってるよ」

慎司はそう言って、私を精神病院に送り込み、私がいかに愛に飢え、わがままだったかを反省させた。

電気ショックを与えられたり、棒で打たれたり、薬を飲まされたり。日に日に私の魂は擦り減っていった。

呼吸をするのも苦しくなっていた時、慎司から「これからは言うことを聞くか?」と問われたのだが、その瞬間システムからも通知があった。

「ミッション開始。ミッションは攻略相手『植田慎司』の罪悪感ポイントを100パーセントまで貯めること。現在の罪悪感ポイントは80パーセント」

私は驚きを隠せなかった。

ベッドから立ち上がろうとすると、看護師は私が錯乱したと思ったのか、すぐに鎮静剤を打ってきた。

鎮静剤を打たれた私はベッドに寝かされ、何も話せなくなる。

「罪悪感ポイント、83パーセントへ上昇」

視線を慎司に向けると、その瞳には後悔の念のようなものが窺えた。

どうやら、私の悲惨な姿を見れば見るほど、慎司は罪悪感を感じるらしい。

ということは、この演技を続ければ、家に帰れるのだ。

しかしその後、罪悪感ポイントは一向に増えなかった。

待つこと3年、やっと智子が私の元へ現れた。

智子は最初にして最大の贈り物を私にくれた。

なぜなら、私を階段から突き落とし、瀕死の状態にまでしてくれたのだから。

生死の狭間を彷徨い、裂けているのではないかと思うほど身体が痛む。

しかし、「罪悪感ポイント100パーセント」という通知を聞いた瞬間、私は心からの笑みを漏らしてしまった。

よかった。やっと家に帰れる。

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