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第92話

Author: 炭酸が抜けたコーラ
「ええ、まあ……少し、いろいろあってね。昨夜はあまり眠れなかったんです」

自分のデスクへと戻り、腰を下ろした心愛の瞳には、一瞬だけ深い虚脱の色が滲んだ。

「大丈夫ですか?やっぱり、例の写真の件のせい……?」

碧は相変わらず裏表のない直情的な性格を覗かせ、堰を切ったように言葉を継いだ。

「ネットのニュース、全部見ましたから!本当に腹が立って、はらわたが煮えくり返りそうです。あの葵っていう女、本当に執念深いというか、あそこまで悪辣になれるなんて信じられません!」

碧の声は決して叫んでいたわけではないが、聞き耳を立てていたデザイン部の面々に届くには十分な音量だった。

心愛は口角をわずかに持ち上げ、淡く、どこか儚げな微笑を浮かべた。

「いいんですよ、高橋さん。もう終わったことなのですから」

自らの境遇を詳らかにするつもりは毛頭なかった。わざわざ傷口を晒して、他人の格好の餌食になる必要などどこにもない。

心愛は静かにPCを立ち上げ、滞っていた業務の整理に取り掛かった。

長期の不在が、次期プロジェクトの進捗に影を落としていないか。それが今の彼女にとって唯一の懸念だった。

「私
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