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第387話

Author: タロイモ団子
紬は心の中で、そっと唯のために祈った。

理玖は彼女をちらりと見やり、問いかける。

「どうした?」

「いいえ、何でもないわ」紬は首を横に振った。

「ありがとう、神谷さん。私のためにいろいろとしてくださって」

「言ったはずだ、礼はいらないと」

紬の脳裏に、以前彼に言われた言葉がよぎる。

――「どういたしまして」と何度も言うのは疲れる、と。

彼女は小さく微笑んだ。

「ええ、できるだけ気をつけるわ」

その晩、紬は新しくなったキッチンに立ち、理玖のために食事を作った。

彼はそれを実に美味そうに平らげた。

唯が学校から帰ってきた頃には、彼女のために取り分けておいたはずの夕食は、欠片ひとつ残っていなかった。

唯は大声で抗議したが、もはや手遅れだった。

紬はその様子を微笑ましく見つめていた。

翌日。

紬は今度こそ、早朝から入念に準備を整えた。

コンペの時間については、二度と油断するわけにはいかない。

今回は渋滞に巻き込まれることもなく、前回のように足止めを食らうこともなかった。

神谷商事に到着すると、紬は係員にスムーズに案内され、そのまま会場へと足を踏み入れた。

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