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Penulis: 雲井
紙袋を開けると、中に入っていた服はどれも一度開封されていた。

タグは切り取られ、ベージュのカジュアルパンツには、食べ物の汁がついた跡が残っている。

乾いてはいたが、かなり目立った。

これでは返品もできない。

その染みを見つめていると、まるで散々に荒れ果てた、この三年間の結婚生活を見ているようだった。

「この服、誰が開けたの?」

清晃は一瞬言葉に詰まり、それから少し態度を軟らかくして説明した。

「さゆだよ。荷物が届いたから、自分へのプレゼントだと思って開けちゃったらしくて……」

私は淡々と尋ねた。

「開けただけじゃなくて汚したものを、私の両親に渡せって持って帰ってきたの?」

すると清晃は、たちまち苛立った顔になった。

「もう開けたものは仕方ないだろ!タグも切っちゃったんだから返品できないし。

その服、お義父さんとお義母さんのサイズだろ。他の人じゃ着られないんだから。

お前が渡したくないなら捨てればいいだろ。それでいい?」

他の人じゃ着られない。

その「他の人」が誰なのかなんて、聞くまでもなかった。

真相なんて、笑ってしまうほど単純だった。

さゆりの両親にはサイズが合わなかった。だから、私の両親に渡すために持ち帰ってきた。

もしサイズが合っていたなら、この二着も今まで何度も「送り間違えた」荷物と同じように、そのままさゆりのものになっていたのだろう。

私は服を紙袋に押し戻した。

「そっちで処分して」

そう言って書斎へ向かおうとすると、清晃に呼び止められた。

「もう機嫌直せよ。謝るために、わざわざいいフレンチ予約したんだから。

せっかくの連休なんだし、こんな些細なことでいつまでも喧嘩するのやめよう。な?」

そのまま腕を引かれ、私は家を出た。

だが清晃が予約した席に着くと、そこにはすでに一人の女性が座っていた。

上品なワンピースに、細いストラップの華奢なヒールサンダル。メイクも完璧で、髪の一本一本まで丁寧に整えられている。

一方、突然連れ出された私は、ゆったりした長袖Tシャツにパンツという普段着姿。長い髪も、適当にクリップでまとめただけだった。

高級フレンチには、どう見ても場違いだ。

シャツにジャケット姿の清晃と、きれいに着飾ったさゆり。二人で並んでいると、まるでデートを楽しむ恋人同士に見えた。

むしろ私のほうが、厚かましく二人の食事についてきた邪魔者のようだった。

私は何も聞かなかった。私へのお詫びのために予約したはずの店に、どうしてさゆりが先に来ているのか。

尋ねるまでもなく、清晃は私を席に座らせながら説明した。

「さゆ、連休なのに実家に帰れないんだって。この店もずっと来たがってたみたいだから、一緒にどうかなと思って呼んだんだ。

さゆはまだ子どもっぽいところがあるからさ。お前が大人になって、少しくらい大目に見てやってよ」

私は清晃を見つめた。

結婚前、彼は言っていた。元カノは私より半年ほど年上だ、と。

そのさゆりを「子供っぽいから」と言い、私に我慢しろと言う。

本当に忘れているのか、それとも、ただ露骨に彼女をひいきしているだけなのか。もう、考える気にもなれなかった。

私がフレンチを好きではないことは覚えていない。

なのに、さゆりがこの店にずっと来たがっていたことは覚えている。

この店を予約したとき、清晃の頭に浮かんでいたのは、いったい誰だったのだろう。

その問いを口にすることはなかった。

聞いたところで、何の意味もない。

私は清晃の向かいに腰を下ろした。清晃とさゆりは隣同士に座り、店員からメニューを受け取ると、私がいることなど忘れたように肩を寄せ合って料理を選び始めた。

「さゆ、マカロン好きだったよな。頼もうか」

「アキくんも好きだったでしょ?二つ頼もうよ」

「このエスカルゴ、おいしそうだな」

「絶対さゆ好きだと思った。この店、エスカルゴが有名なんだよ。きっと気に入るよ」

……

二人がひと通り注文を終え、メニューを店員に返してから、ようやく私の存在を思い出したらしい。

清晃がわざとらしく咳払いをした。

「まあ、三人で食べるには十分頼んだから」

さゆりは甘ったるい笑みを浮かべた。

「柚葉さん、ごめんなさい。私、アキくんと食べ物の話を始めると、つい夢中になっちゃって」

アキくん。

私は心の中で、その呼び方をそっと繰り返した。

清晃とは二年付き合い、結婚して三年。さゆりと別れてからは、もう六年近く経っている。

それでも彼女は、今も当然のように親しげな呼び名で彼を呼ぶ。清晃も、それを当たり前のように受け入れている。

なのに以前、私がふざけて「きよくん」と呼んだときは、「やめろよ、気持ち悪い」と眉をひそめて、「普通に呼んでくれ。鳥肌立つから」とまで言った。

やがて料理が運ばれてきた。

定番のエスカルゴ、フォアグラ、生牡蠣にムール貝。

それから、サーモンのポシェ。

テーブルに並んだ料理を見つめたまま、私はナイフにもフォークにも手を伸ばさなかった。

向かいのさゆりは、料理が運ばれ始めたときからずっと嬉しそうだった。

一皿来るたびに小さく歓声を上げ、ナイフとフォークを握りしめて、待ちきれないとばかりに目を輝かせている。

清晃は慣れた手つきでフォアグラを切り分け、さゆりの皿に載せた。

さゆりは驚いたように顔を輝かせ、「ありがとう、アキくん」と嬉しそうに笑った。

それから清晃は私を見て、眉をひそめた。

「お前の好きなサーモンも来たぞ。なんで食べないんだ?」

私は静かに答えた。

「私、魚介アレルギーだから。サーモンなんて食べられないわ」

清晃の表情が一瞬固まった。

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