로그인私達は昔を思い出しながら夜の街を歩いている。小さな飲み屋街がキラキラと輝いていて妖艶《ようえん》さを醸《かも》し出していた。
大人になった私達はお酒を楽しみながら、夜の街に消えていくーー 学生時代に戻ったように手を繋《つな》ぎ合うと、温もりを感じながら、行きつけの店へ潜り込んでいった。 あの頃に戻る事は出来ない。それでも思い出しながら楽しむ事は出来る。 毎日の授業をこなしていくと、放課後になった。普段なら部活へ向かうのだが、文化祭の準備に追われている私達は、こちらを優先《ゆうせん》している。 吹奏楽に入っているので、文化祭のイベントとしてコンサートが組み込まれていた。練習をした方がいいが、それでもクラスメイト達との思い出を大切にしたかった。 表面的な気持ちは周囲に見せる事が出来る。本音を言えば帰宅部の遊莉《ゆうり》と一緒の空間で作業出来るから。 彼女はクラス対抗の合唱コンサートの幕《まく》を作っている。裁縫《さいほう》が得意だったとは知らなかった。私の知らない遊莉《ゆうり》を知れる事が嬉しい反面、他の人に見せたくない独占欲《どくせんよく》に飲まれている。 「ちょっと手伝ってほしいんだけど。美穂って裁縫《さいほう》出来る?」 「一応出来るけど……」 自信がない私は言い切る事が出来ないでいた。クラスメイトの一人は私の手を引っ張りながら遊莉《ゆうり》の元へと連れていく。 裁縫《さいほう》の話が出た時点で予感はしていたが、まさか願いが叶うなんて思わなかった。 遊莉《ゆうり》の隣でいたいとーー アタフタしながらも周囲の流れに乗っていく。するとそんな私を見て、クスリと微笑む彼女の姿があった。 久しぶりに真近で見る遊莉《ゆうり》は女神様のようで、心臓が加速していく。 彼女に憧れを抱く人も多いが、中々距離を詰める事が出来ない。その中で自分は彼女にとって特別な立ち位置にいる。 その事を知るのは、もう少し先の話。 「久しぶりだね。美穂」 「……久しぶり」 同じクラスなのに話すのはあの夜以来だった。遊莉はあの瞬間の出来事に触れず、ふんわり微笑むと、作業に集中し始める。 そうだよね……目の前にしなくちゃいけない事があるのだから、私を優先《ゆうせん》してはくれない。 現実に打ちのめされながら、自分のペースで布を合わせながら縫《ぬ》い始める。 休憩を挟《はさ》みながらも、ゆっくり進めていくと、いつの間にかある程度《ていど》終える事が出来た。何日かに分けて、限られた時間で制作していく。 こういう時、自分の能力が高かったらと思う程だった。 「今日の作業はここまで。部活に行く人は行っていいからね~。ってもう終わってるか」 日雪《ひゆき》は皆にそう告げると、てへっと可愛く首を傾《かし》げ、舌を出して茶目《ちゃめ》っ気を演出している。そんな彼女を見ている男子達は、変にテンションが高い。 単純だな、と思いながら呆《あき》れている自分がいる。ああはなりたくない。 「手伝ってくれてありがとう。助かったよ」 「ううん、いいの遊莉の力になれたのなら」 「ふふふ。そんな謙遜《けんそん》しないでいいのに」 横目でチラリと彼女の真剣な表情を見ていた。当の本人は気づいていない様子。遊莉《ゆうり》が見せてくれる表情の一つ一つが私の宝物になっていく。 もう少しでいいから一緒にいたい、そう思い始めた。今まで我慢していたから余計に、歯止めが効かない状態になろうとしている。 自分から提案《ていじ》するのは恥ずかしい。それでもモタモタしていると他の人が近くに来てしまう。んーと目を粒りながら悶《もだ》えている私を見ている彼女がいた。 「……よかったら一緒に帰らない?」 その瞬間、目覚めたように目を見開きながら、頷《うなず》いた。何度も高速に首を上下に動かす私を見て、笑いを堪《こら》えている。 「本当、可愛いね。美穂は」 「ふぇっ」 「その反応もーー」 それ以上の言葉は聞けなかった。彼女が私をどう思っているのかを具体的に探るチャンスだったのに、簡単に手放してしまった。 私達は微笑《ほほえ》み合いながら両手を重ねると、夜の道へと歩き出した。 あの時も、今と変わらない景色が脳裏《のうり》に浮かんで離れる事はない。 私達は離れていた時間を取り戻すように近況《きんきょう》を報告し合う。遊莉にとっては何の変哲《へんてつ》もない日々かもしれないけど、私には違った。彼女が特別なのには変わりない。自分でも気づかない程に、クラスメイトとの新しい関係性が嬉しかったのだろう。 彼女ははしゃぐ私を見て、クスクスと笑いながら聞き役に徹してくれている。途中で自分しか話していない事に気づいた私は、逆に遊莉《ゆうり》の事を聞いた。 「私ばかり話してごめんね。遊莉は最近どんな感じだったの?」 「美穂の話は面白いから、聞いてて飽きないよ。私はいつも通りって感じかな」 そうやって何かを誤魔化《ごまか》すように話を誘導《ゆうどう》しようとする。彼女は少し悲しそうに瞳を揺らした。その瞬間を見逃さなかった私は、彼女の心に問いかけるように言葉を向けていく。 「どんな事でも私にとっては特別なの。だって……遊莉は私にとって大切な人だから」 自分でもこんな事を言えるなんて思わなかった。それでもこれが私に出来る精一杯の言葉。少しでも彼女の心に届いてくれる事を信じながら、見つめた。 いつもヘラヘラしていて、自分を表現しようとしない私が、初めて本気で彼女と向き合っている。その事実が嬉しかった遊莉は私を思い切り抱きしめ、離さない。 「私にとっても美穂は特別なんだよ。だって好きだから」 「……遊莉?」 自分に向けられた言葉がどんな意味を含んでいるのか理解出来なかった。そこまで思ってくれているとは、考えなかった。自分の思い違いだと、一方通行な気持ちだと思っていたから。 この言葉が嬉しかった。 私と彼女は少し体を話すと、目の前に真っ赤になっている遊莉の顔が見え隠れする。街頭《がいとう》に照らされながらも、夜の風が邪魔《じゃま》をしようとしている。 私は今まで隠していた素直な気持ちを言葉に変えながら、彼女に本当の想いを告げていく。 この瞬間から私達は今までとは違う関係性に進展《しんてん》していく。胸の中で眠る彼女を見つめながら、髪を優しく撫でていく。人に甘える事もせず、ただひたすらに走り続けた美穂は長い間、夢見た現実を手に入れる事が出来た。気を張っていたのだろう。遊莉が見つめていても起きる気配はない。あの時久喜がいなければ、この時間もこの関係性もここまで深くなる事はなかった。すれ違う二人は別々の道を選び、別の相手を受け入れていただろう。 それでも遊莉の心の中には美穂がいる。それだけは変えようのない事実。どんな事があっても枯れる事のない想いは大人になるたび、遠い記憶の中で輝きながら現実とのギャップを生み出していくのかもしれない。守り切る事が出来るのかと何度も挫けそうになった遊莉は、美穂の笑顔があったから、ここまで進む事が出来た。 「私はどんな時も美穂を守るからね」 想いを表面に綴ると、実感していく。過去の物事だとしても確実に存在していた事実なのだと。二人は大人になり、沢山の世界を見て、あの瞬間へと戻っていく。 「私が遊莉を守るから、ずっと一緒だよ」 天真爛漫な姿を見せる美穂に振り回された事が今では妙に懐かしい。遊莉はぎゅっと彼女の存在を確かめるようにスンスンと彼女の髪の匂いを吸っていく。ふんわりと香る柑橘系の香りが鼻腔を駆け巡り、心の中へと満ちていく。この瞬間が一番落ち着くようだった。ぐっすり眠る美穂を起こさないように、彼女の太陽のような温もりを抱きしめながら、夢の中へと沈んでいった。 彼女が見ているのは現実なはずなのに、全てが夢の一部として作られていく。ふわふわと漂う意識を手招きするように昔の自分が待っている。 □□ 美穂の状況を理解しようともせず、目の前の光景に揺れてしまった自分を責めるように歯を食い込ませていく。悔しさと悲しみが合わさりながら、耐えきれなく鳴った遊莉は涙を流し続けた。自分の感情をコントロール出来ないでいる自分に驚きつつ、溺れていくーー 巡を呼びつけると、素直に応じてくれる。何度も何度もさゆりをどうにかして欲しいと頼み込む為に彼女に接近しようとしていたが、やっとその願いが報われた。話の内容を理解していた巡は、普段のキャラを捨て、感情を丸めた。巡を守っていた偽物の仮面が剥がれた時に見えたのは無表情な彼女の姿。 「私にさゆりは止められない。頼んでも無理だから」 「そんなにあの人の事が好きなんですか?」 「
教室に辿り着くとそこには遊莉がいる。美穂はホッとした表情で彼女に近づいていく。周囲がどんな目で見ているかを知らない彼女は、ただただ目の前だけを見つめていた。基本教室で会話する事のなかった二人が向き合いながらクラスメイト達がその光景に釘付けになっていた。事情を知らない彼女達は二人から流れ出る異様な雰囲気に飲み込まれそうになっていく。 「……おはよう」 「……」 遊莉は美穂が話しかけているのに、誰もいないような素振りをする。話し合う事はしたくないと言う意思表示にも取れた。このまま何も言わずに今の状況を受け入れていくなんて出来る訳がない彼女は、何度無視されても諦める事をしなかった。 心が折れそうな美穂の瞳には沢山の涙が溢れている。少しでも気を抜いてしまうと溢れてしまいそうだ。周囲の視線が痛い。自分達が視線を集めていた事に気付くと、顔を見られないように教室を出ていく。どうやっても遊莉との関係性を戻す事が出来ないのだろうか。彼女と通わしていた心は、何もなかったように離れていく。 話も出来ないまま関係性が終わるのかと不安になる美穂がいる。遊莉の気持ちを考えずに、目の前にある事を優先してしまった自分が悪いのは理解しているが、それでもあんな態度は納得が出来ない。他に何かを抱えているのかもしれないと思うと、妙に納得出来る自分がいた。 彼女は知らない。自分の恋人の前で他の人を受け入れてしまった事を、催眠術にかかったようにあの時の記憶を手放し、日常の生活に戻ってしまった。美穂が遊莉の立場でも耐えれないはずだ。真実は彼女の見えない部屋へと仕舞い込まれ、美穂に伝わる事はない。 そんな様子を見つめているさゆりは彼女の表情を見ているとズキンと心に矢を射られたように痛む。自分の思い通りになっているはずなのに、そこには美穂の
自分の後ろに遊莉《ゆうり》がいるのに、自由に体を動かす事が出来ない。実崎《さんざき》先輩のちからがまるで男性のように感じてしまい、力が抜けていく。全ての感覚が歪《いびつ》になっている。自分の中で何が起きているのか分からない。私は焦《あせ》る気持ちを抱きながらも、どこか実崎《さんざき》先輩を受け入れてしまう。頭の中がパンクしそうだ。 「はぁはぁ……んあ」 「可愛い……遊莉《ゆうり》もそんな所で見ていないで、こっちに来れば?」 「……」 実崎《さんざき》先輩は私が向かってくるのを確認すると、口にある錠剤《じょうざい》を含《ふく》み、隠していた。本当は遊莉《ゆうり》に飲ませて快楽に沈《しず》む所を写真として残す計画を考えいたのだが、タイミングが合わさって、違った方向で使用する事にした。目の前に遊莉《ゆうり》が現れたタイミングを見計らって私の自由を奪《うば》い、口の内部に仕込んだ媚薬《びやく》を飲ませる為に、無理矢理《むりやり》流し込んだ。飲み込んだ瞬間から、作用の効果《こうか》が発動《はつどう》する即効性《そっこうせい》のある薬だ。馴染《なじ》ますまで時間を待つ必要もなかった。 自分の思い通りに事が進んだ実崎《さんざき》先輩は、満足そうに何度も私に唾液《だえき》を流し込み、より早く促進《そくしん》させていく。最初は自我《じが》があった私も、時間が経《た》つに連れ、視界《しかい》は歪《ゆが》み、何をしているのか理解できない程に染まっていく。そんな事を遊莉《ゆうり》は知るはずもなく、ただ二人が心地よさそうに絡み合っている姿をぼんやり見つめている。 「ねぇ、美穂。私の方がいいでしょ? そうならほら、舌絡《から》めて……んんっ。いい子」 思い通りに動いている私を見て、手に入れる事が出来たのだと実感する。実際は薬の効果《こうか》でこうなっているだけで、実崎《さんざき》先輩の気持ちを受け入れた訳でも、求めた訳でもない。しかし遊莉《ゆうり》から見たら、全く違うものに見えてしまっていた。
私はあの時の出来事を今でも反省している。先を考えずに行動してしまった幼い自分を恥《は》じるようにーー ほんのりと照《て》らされているルームライトが私達を包み込む。ベッドに雪崩込《なだれこ》んだ二人を祝福《しゅくふく》するように。ギュッと抱きしめ合いながら、互いの体温を確認するように、何度も何度も戯《たわむ》れ合っていく。ハラリと束ねられていた髪を解《ほど》くと、ふんわりとしたシャンプーの匂いが鼻について離れない。 二人の時間を大切にしたいと願いながら、火照《ほて》りを貪《むさぼ》るように舌先を堪能《たんのう》し始めた。チュチュと唇が重なる音が部屋全体に広がり、響き渡る。 大人になったからこそ、素直に自分の気持ちを表現出来るようになった。あの時のすれ違いも、苦しみも、歯痒さも全ては過去の産物《さんぶつ》のように忘れ去られてしまう。この環境に慣れてしまった私と遊莉《ゆうり》は、一つ一つ、階段を登るように新しい刺激を求めていくのかもしれない。 「きっと私はまた貴女に恋をするーー」 一度の別れを経験した私達は成長した姿を見せながら、現在を生きている。 瞼《まぶた》を閉じるとあの瞬間が再び訪《おとず》れてしまうのではないかと疑念《ぎねん》に揺られながら、快楽への世界へと沈《しず》んでいった。 あの時の私はどうして遊莉《ゆうり》の気持ちを大切に出来なかったのだろう。ふるふると部屋の隅《すみ》っこで後悔に埋《う》もれながら、ただ泣き続けるしか出来ない。会話を交《か》わして、互いの気持ちを形にする事で関係性を作っていく。その事を忘れてしまっていたのだろう。きちんと了承《りょうしょう》を取ればよかった……実崎《さんざき》先輩と時間を共有《きょうゆう》していた私は、何も考えれずにいた幼子《おさなご》だった。 ピコンとスマホから音が溢《あふ》れた。もしかしたら遊莉《ゆうり》から
色々あって疲れた私は、やっと文化祭を周れる事に安堵《あんど》しながら、三人で歩いている。ぐぅーとお腹の虫が鳴ってしまって、顔を真赤にしていた。誰にも気づかれないといいのに、そう心の中で言葉を吐きながら、何事もないように表情を保《たも》っていた。 「お腹空いたねー。そういや二年生露店《ろてん》出してなかった?」 「出してますよ」 「美穂のクラスは何出してるの?」 「……チョコバナナです」 嫌な予感がして堪《たま》らない。この話の流れ的に二年生が展開《てんかい》しているブースに行くのではないだろうか。そこには遊莉《ゆうり》がいる。二人は彼女の存在を知らない。私は遊莉《ゆうり》に何も伝えずに、先輩との戯《たわむ》れを楽しんでいる。この状況《じょうきょう》を見られるとマズイ。 浮気をしている訳ではないのに、後ろめたい。こんな事なら一言、伝えとくべきだったと今更反省している自分がいる。そんな私の内情《ないじょう》なんて知らずに、実崎《さんざき》先輩は露店に行こうと言った。最初は一年生のブースから周るものだと思っていた私は、言葉を失いながら呆然《ぼうぜん》としている。 「美穂?」 「……はい?」 「なんだか顔色悪くない? 体調良くないの?」 「いいえ……そんな事は」 言えない、恋人に黙って先輩達と居るなんて。遊莉《ゆうり》にどんな言い訳をしたらいいのか考える事が出来ない。そしてこの話からどうやって逃《のが》れる方法が思いつかずにいる。 「美穂が顔色悪いのはーお腹が空いているからなのさ」 「ほえっ?」 「聞こえてたよー。お腹の虫さんが泣き叫んでいる音を……」 誰にも気づかれていないと思っていたのに、神楽坂《かぐらざか》先輩
全力を出し切った私達は楽器を仕舞い終わると、少しの間、休憩に入った。文化祭は続いているが、休む事も大切だ。久しぶりの演奏に観客の拍手がまだ耳に残って離れない。刺激的な空間は思い出の一つとして心の奥底に仕舞われていく。緊張感を吐き出すように、息を漏《も》らすと、全身の力が抜けていった。 「美浦、お疲れ。演奏会上手くいったね」 「やっぱり舞台に立つと、緊張感が半端ないです。疲れました」 実崎《さんざき》先輩は満面の笑みでコキコキと首をまわしている。余程力が入っていたのだろう。私はそんな実崎《さんざき》先輩のいつもと違う表情《かお》にほんわかしている。他の先輩は同級生達とのグループ内で話しているのに、何故だが実崎先輩はいつも私の所に来てくれた。上下関係が厳《きび》しいのが嘘みたいに思えてしまう。 「先輩はこれからどうするんですか?」 「ん〜。文化祭周ってないから、色々見てこようと考えてるよ。演奏会が終わった後、続けて休憩を取る事が出来たんだ」 私達の学年は露店をしているが、実崎《さんざき》先輩はお化け屋敷を開いている。時間に追われていた私はまだ見に行けていない。一人で周ろうと考えていたが、こういうイベントは複数で周るのが一番楽しい。遊莉《ゆうり》と一緒に見に行きたいが、休憩時間を合わす事が出来なかった。こういう時程、理想通りには行かない。 「美穂の休憩は何時から?」 そう聞かれ、隠す必要性もないだろうと思った私は、先輩と同じ休憩の取り方になっている事を説明していく。こんなタイミング良く、自分にとって都合良く姿を現したチャンスに、乗っかるようにある提案をしていった。 「それなら、私と一緒に周らない? 友人と時間合わなくてさ、淋しいんだよね。美穂《みほ》さえよければだけど……」 「いいですよ。私も一人で周るしかなかったし、一緒に周りましょうか」 後先を考えずに誘いに応じる。実崎《さんざき》先輩は余程《よほど》嬉しいらしく、はにかむように笑っている。その姿を見て、いつもの先輩とは違う雰囲気に飲まれそうになっていく私がいた。元気いっぱいで、何事にも挑戦する実崎《さんざき》先輩の可愛らしい姿と雰囲気が部室に漂い始めた。 「さーゆーきぃー、みーほぉー」 私達の会話を聞きつけたのか実崎《さんざき》先輩の友人である神楽坂《かぐらざか》先輩が名前を呼びながら、げっ