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4話 あの時も今も変わらない

last update 최신 업데이트: 2025-10-12 08:00:31

私達は昔を思い出しながら夜の街を歩いている。小さな飲み屋街がキラキラと輝いていて妖艶《ようえん》さを醸《かも》し出していた。

大人になった私達はお酒を楽しみながら、夜の街に消えていくーー

学生時代に戻ったように手を繋《つな》ぎ合うと、温もりを感じながら、行きつけの店へ潜り込んでいった。

あの頃に戻る事は出来ない。それでも思い出しながら楽しむ事は出来る。

毎日の授業をこなしていくと、放課後になった。普段なら部活へ向かうのだが、文化祭の準備に追われている私達は、こちらを優先《ゆうせん》している。

吹奏楽に入っているので、文化祭のイベントとしてコンサートが組み込まれていた。練習をした方がいいが、それでもクラスメイト達との思い出を大切にしたかった。

表面的な気持ちは周囲に見せる事が出来る。本音を言えば帰宅部の遊莉《ゆうり》と一緒の空間で作業出来るから。

彼女はクラス対抗の合唱コンサートの幕《まく》を作っている。裁縫《さいほう》が得意だったとは知らなかった。私の知らない遊莉《ゆうり》を知れる事が嬉しい反面、他の人に見せたくない独占欲《どくせんよく》に飲まれている。

「ちょっと手伝ってほしいんだけど。美穂って裁縫《さいほう》出来る?」

「一応出来るけど……」

自信がない私は言い切る事が出来ないでいた。クラスメイトの一人は私の手を引っ張りながら遊莉《ゆうり》の元へと連れていく。

裁縫《さいほう》の話が出た時点で予感はしていたが、まさか願いが叶うなんて思わなかった。

遊莉《ゆうり》の隣でいたいとーー

アタフタしながらも周囲の流れに乗っていく。するとそんな私を見て、クスリと微笑む彼女の姿があった。

久しぶりに真近で見る遊莉《ゆうり》は女神様のようで、心臓が加速していく。

彼女に憧れを抱く人も多いが、中々距離を詰める事が出来ない。その中で自分は彼女にとって特別な立ち位置にいる。

その事を知るのは、もう少し先の話。

「久しぶりだね。美穂」

「……久しぶり」

同じクラスなのに話すのはあの夜以来だった。遊莉はあの瞬間の出来事に触れず、ふんわり微笑むと、作業に集中し始める。

そうだよね……目の前にしなくちゃいけない事があるのだから、私を優先《ゆうせん》してはくれない。

現実に打ちのめされながら、自分のペースで布を合わせながら縫《ぬ》い始める。

休憩を挟《はさ》みながらも、ゆっくり進めていくと、いつの間にかある程度《ていど》終える事が出来た。何日かに分けて、限られた時間で制作していく。

こういう時、自分の能力が高かったらと思う程だった。

「今日の作業はここまで。部活に行く人は行っていいからね~。ってもう終わってるか」

日雪《ひゆき》は皆にそう告げると、てへっと可愛く首を傾《かし》げ、舌を出して茶目《ちゃめ》っ気を演出している。そんな彼女を見ている男子達は、変にテンションが高い。

単純だな、と思いながら呆《あき》れている自分がいる。ああはなりたくない。

「手伝ってくれてありがとう。助かったよ」

「ううん、いいの遊莉の力になれたのなら」

「ふふふ。そんな謙遜《けんそん》しないでいいのに」

横目でチラリと彼女の真剣な表情を見ていた。当の本人は気づいていない様子。遊莉《ゆうり》が見せてくれる表情の一つ一つが私の宝物になっていく。

もう少しでいいから一緒にいたい、そう思い始めた。今まで我慢していたから余計に、歯止めが効かない状態になろうとしている。

自分から提案《ていじ》するのは恥ずかしい。それでもモタモタしていると他の人が近くに来てしまう。んーと目を粒りながら悶《もだ》えている私を見ている彼女がいた。

「……よかったら一緒に帰らない?」

その瞬間、目覚めたように目を見開きながら、頷《うなず》いた。何度も高速に首を上下に動かす私を見て、笑いを堪《こら》えている。

「本当、可愛いね。美穂は」

「ふぇっ」

「その反応もーー」

それ以上の言葉は聞けなかった。彼女が私をどう思っているのかを具体的に探るチャンスだったのに、簡単に手放してしまった。

私達は微笑《ほほえ》み合いながら両手を重ねると、夜の道へと歩き出した。

あの時も、今と変わらない景色が脳裏《のうり》に浮かんで離れる事はない。

私達は離れていた時間を取り戻すように近況《きんきょう》を報告し合う。遊莉にとっては何の変哲《へんてつ》もない日々かもしれないけど、私には違った。彼女が特別なのには変わりない。自分でも気づかない程に、クラスメイトとの新しい関係性が嬉しかったのだろう。

彼女ははしゃぐ私を見て、クスクスと笑いながら聞き役に徹してくれている。途中で自分しか話していない事に気づいた私は、逆に遊莉《ゆうり》の事を聞いた。

「私ばかり話してごめんね。遊莉は最近どんな感じだったの?」

「美穂の話は面白いから、聞いてて飽きないよ。私はいつも通りって感じかな」

そうやって何かを誤魔化《ごまか》すように話を誘導《ゆうどう》しようとする。彼女は少し悲しそうに瞳を揺らした。その瞬間を見逃さなかった私は、彼女の心に問いかけるように言葉を向けていく。

「どんな事でも私にとっては特別なの。だって……遊莉は私にとって大切な人だから」

自分でもこんな事を言えるなんて思わなかった。それでもこれが私に出来る精一杯の言葉。少しでも彼女の心に届いてくれる事を信じながら、見つめた。

いつもヘラヘラしていて、自分を表現しようとしない私が、初めて本気で彼女と向き合っている。その事実が嬉しかった遊莉は私を思い切り抱きしめ、離さない。

「私にとっても美穂は特別なんだよ。だって好きだから」

「……遊莉?」

自分に向けられた言葉がどんな意味を含んでいるのか理解出来なかった。そこまで思ってくれているとは、考えなかった。自分の思い違いだと、一方通行な気持ちだと思っていたから。

この言葉が嬉しかった。

私と彼女は少し体を話すと、目の前に真っ赤になっている遊莉の顔が見え隠れする。街頭《がいとう》に照らされながらも、夜の風が邪魔《じゃま》をしようとしている。

私は今まで隠していた素直な気持ちを言葉に変えながら、彼女に本当の想いを告げていく。

この瞬間から私達は今までとは違う関係性に進展《しんてん》していく。

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     胸の中で眠る彼女を見つめながら、髪を優しく撫でていく。人に甘える事もせず、ただひたすらに走り続けた美穂は長い間、夢見た現実を手に入れる事が出来た。気を張っていたのだろう。遊莉が見つめていても起きる気配はない。あの時久喜がいなければ、この時間もこの関係性もここまで深くなる事はなかった。すれ違う二人は別々の道を選び、別の相手を受け入れていただろう。  それでも遊莉の心の中には美穂がいる。それだけは変えようのない事実。どんな事があっても枯れる事のない想いは大人になるたび、遠い記憶の中で輝きながら現実とのギャップを生み出していくのかもしれない。守り切る事が出来るのかと何度も挫けそうになった遊莉は、美穂の笑顔があったから、ここまで進む事が出来た。 「私はどんな時も美穂を守るからね」  想いを表面に綴ると、実感していく。過去の物事だとしても確実に存在していた事実なのだと。二人は大人になり、沢山の世界を見て、あの瞬間へと戻っていく。 「私が遊莉を守るから、ずっと一緒だよ」  天真爛漫な姿を見せる美穂に振り回された事が今では妙に懐かしい。遊莉はぎゅっと彼女の存在を確かめるようにスンスンと彼女の髪の匂いを吸っていく。ふんわりと香る柑橘系の香りが鼻腔を駆け巡り、心の中へと満ちていく。この瞬間が一番落ち着くようだった。ぐっすり眠る美穂を起こさないように、彼女の太陽のような温もりを抱きしめながら、夢の中へと沈んでいった。  彼女が見ているのは現実なはずなのに、全てが夢の一部として作られていく。ふわふわと漂う意識を手招きするように昔の自分が待っている。  □□  美穂の状況を理解しようともせず、目の前の光景に揺れてしまった自分を責めるように歯を食い込ませていく。悔しさと悲しみが合わさりながら、耐えきれなく鳴った遊莉は涙を流し続けた。自分の感情をコントロール出来ないでいる自分に驚きつつ、溺れていくーー  巡を呼びつけると、素直に応じてくれる。何度も何度もさゆりをどうにかして欲しいと頼み込む為に彼女に接近しようとしていたが、やっとその願いが報われた。話の内容を理解していた巡は、普段のキャラを捨て、感情を丸めた。巡を守っていた偽物の仮面が剥がれた時に見えたのは無表情な彼女の姿。 「私にさゆりは止められない。頼んでも無理だから」 「そんなにあの人の事が好きなんですか?」 「

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