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第3話

金運おいで
画面に並ぶ文字を見つめていると、息が詰まるほど胸が苦しくなる。

もし何も疑わずに白紙答案を出して、地元に残っていたらどうなるか。

自慢だった成績も、憧れていた大学生活も、すべて失ってしまうだろう。そして、悠真と芽唯の歪んだ関係を成り立たせるための都合のいい存在と踏み台にされるだろう。

利用されるだけ利用されたあと、周囲から笑い者にされながら、惨めな一生を送ることになるかもしれない。

想像しただけでもぞっとする。

この瞬間まで必死に保っていた強がりが、完全に崩れた。こらえていた涙が、ついに堰を切ったように流れ出す。

過去の記憶が潮のように押し寄せてくる。これまでわざと見て見ぬふりをしてきた些細な違和感の数々が、今はすべて私の心を突き刺す刃へと変わっていく。

芽唯を見つめる悠真のあの眼差し、彼女の前でだけ見せる生き生きとした表情……今日という日まで、私は馬鹿みたいに、二人の間に入って、邪魔をしていた。

涙を拭い、立ち上がる。もういい。本当に、もう終わりにしよう。

……

夜、悠真から電話がかかってきた。少し疲れたような声だ。

「今実家に着いたところ。さすがに疲れたな。

そういえば、まだ返事聞いてなかったけど、今日の試験、ちゃんと白紙で出したよな?心配するな、俺たち絶対に同じ大学に行けるから」

電話越しの白々しい声と、昼間にホテルで聞いたあの声が重なり、胃がムカムカして気持ち悪い。

平静を装って答える。

「もちろん、私たちの未来のためだもん。何も書かなかったよ」

電話を切った後、鏡に映る無表情な自分を見つめて、冷たく笑う。

……

芽唯と悠真が志望している地元の私立大学は、共通テストの成績だけで合否が決まる。出願して、必要書類を郵送すれば、あとは合格発表を待つだけだ。

そんなわけで、悠真はLINEで、以前約束していた海外への卒業旅行に絶対一緒に行こうと、しつこく迫ってきた。

「俺たちもうすぐ大学生になるんだぜ。大人になって初めての遠出じゃないか」

ボイスメッセージから流れる彼の声は、優しくて期待に満ちている。

「プランは全部俺が立ててあるんだ。サーフィンしたり、シュノーケリングしたり、梨花の可愛い写真、いーっぱい撮ってやるから」

喉に苦いものがこみ上げてくるのを感じながら、私はただ一言【わかった】とだけ返信した。

この関係に、きっちりケリをつける時だ。

……

出発の日、予定通りに空港のターミナルに到着した。

遠くからでも、すぐに悠真の姿が見えた。そして、その隣には、花柄のキャミワンピースを着ている芽唯が立っている。

私に気づくと、芽唯は嬉しそうに駆け寄ってきて、ごく自然に私の腕を組む。

「やっと来た!悠真がね、せっかくの旅行なんだから人数が多いほうが楽しいって言って、私も誘ってくれたの……迷惑じゃないよね?」

私はそっと自分の腕を抜いて、表情を変えずに答える。

「別に、搭乗手続きに行こう」

自動チェックイン機の前へ行くと、悠真はパスポートを読取口に置いて、手際よく2枚の搭乗券を受け取った。1枚は彼自身のもの。もう一枚は芽唯のものだ。

私は横に立ったまま、画面に表示された文字を見る。【予約情報が見つかりません】

その表示から視線を外して、悠真を見ながら、静かな声で問い詰める。「私のチケットは?」

悠真は眉をひそめて不満げな声を上げる。

「芽唯!この前梨花の分も一緒に予約してくれって頼んだだろ?」

すると芽唯はすぐに不満そうな顔で言い返す。

「え?何それ、自分のミスを私になすりつける気?

梨花はいつも自分でファーストクラスを予約するって言ってたよね。

だから、勝手にエコノミーを予約したら、嫌な気持ちにさせるかもしれないと思って、勝手に決められなかったんだよ」

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