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第177話

Author: 風羽
藤堂沢は電話を切った。

彼はソファに寄りかかり、静かに窓の外の雪を眺めながら、ソファで丸まっている九条薫の姿を想像した......もちろん、今すぐに車で彼女の家に行き、彼女の心身を完全に掴むこともできた。

間違いなく、今夜、彼は彼女を手に入れられるだろう。

彼女は彼の首に腕を回し、昔のように従順に彼の所有物になるだろう。ただ、彼女が彼を好きだから。

しかし、藤堂沢は動かなかった。

必要ないからだ。彼はすでに彼女を再び手に入れたのだから。心身ともに、九条薫は過去の愛に囚われていた......

静まり返った雪の夜。

書斎のドアをノックし、使用人が静かに言った。「社長、白川さんという方がお見えです。お会いしたいそうです」

白川......

藤堂沢は白川篠の父親だと察した。

彼は会いたくなかった。額に手を当てて低い声で言った。「帰らせろ!私は休んでいると言え!」

使用人はためらいがちに言った。「でも、あの方は玄関の外で跪いていらっしゃいます。今夜は大変冷え込んでいますし、もし凍死でもしたら、明日ニュースになってしまいます」

午前1時、藤堂沢は白川篠の父親に会った。

一生真面目に生きてきた運転手は、中年になって娘のおかげで裕福な暮らしを送っていた。藤堂沢の邸宅に来るのは初めてで、豪華な内装に圧倒され、雪の付いた足は震えが止まらなかった。

使用人がお茶を入れた。

茶の香りが部屋いっぱいに広がった。

白川の父はうつむいてお茶を飲み、カップを持つゴツゴツとした指もかすかに震えていた。

藤堂沢はソファに深く腰掛けて、少し疲れた声で言った。「篠の容態は安定している。雪が止んだら海外へ出発できる。これからはそこで療養生活を送ってもらう。お前たちも一緒に行ってくれ。あの金があれば、残りの人生は安泰だ」

白川の父はカップのお茶をこぼしてしまった。

浅黒い顔に涙を浮かべ、彼は藤堂沢に謝罪した。「療養といっても、それはつまり死を待つということでしょう!藤堂さん、篠はまだ若く、分別がないことを承知しております。藤堂さんと奥さんに大変なご迷惑をおかけしましたが......ですが、どうか篠との過去のよしみで、かつて彼女との結婚をお考えになったことがあると伺っております。どうか彼女を......故郷の土に返させてください!」

真面目な男は、どさっとひざまずいた。

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千恵
ほんと流される男だな
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