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第1619話

作者: 桜夏
蓮司は少しだけ冷静さを取り戻した。その場に立ち尽くし、しばらく地面を見つめて黙り込んだ。やがて顔を上げ、透子を見た。

「今日はわざわざ来てくれて、ありがとう」

透子は何も答えなかった。

その頃、執事もようやく悲痛な感情をどうにか押し殺せるようになっていた。蓮司のそばへ歩み寄り、低い声で告げる。「若旦那様、ドローンの件はすでに調べさせております。結果が分かり次第、すぐにご報告いたします」

蓮司はその言葉には答えなかった。

ただ執事を見つめ、静かに尋ねる。「高橋、お爺様は本当はどういう状態なんだ。なぜ、あんなふうに泣いていた?」

これまで新井のお爺さんが二度倒れ、緊急処置を受けた時でさえ、執事がここまで取り乱すことはなかった。

それなのに今日は違う。執事は人目もはばからず、声を詰まらせるほど泣いていたのだ。

蓮司は指をきつく握りしめた。手の甲に青筋が浮かぶ。その視線は、執事の表情に釘づけになっていた。

その答えを聞くのが怖い。それでも、新井のお爺さんの本当の状態を知らずにはいられなかった。

「旦那様は、急に意識を失われただけでございます。強いショックを受けて、お倒れにな
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    蓮司は少しだけ冷静さを取り戻した。その場に立ち尽くし、しばらく地面を見つめて黙り込んだ。やがて顔を上げ、透子を見た。「今日はわざわざ来てくれて、ありがとう」透子は何も答えなかった。その頃、執事もようやく悲痛な感情をどうにか押し殺せるようになっていた。蓮司のそばへ歩み寄り、低い声で告げる。「若旦那様、ドローンの件はすでに調べさせております。結果が分かり次第、すぐにご報告いたします」蓮司はその言葉には答えなかった。ただ執事を見つめ、静かに尋ねる。「高橋、お爺様は本当はどういう状態なんだ。なぜ、あんなふうに泣いていた?」これまで新井のお爺さんが二度倒れ、緊急処置を受けた時でさえ、執事がここまで取り乱すことはなかった。それなのに今日は違う。執事は人目もはばからず、声を詰まらせるほど泣いていたのだ。蓮司は指をきつく握りしめた。手の甲に青筋が浮かぶ。その視線は、執事の表情に釘づけになっていた。その答えを聞くのが怖い。それでも、新井のお爺さんの本当の状態を知らずにはいられなかった。「旦那様は、急に意識を失われただけでございます。強いショックを受けて、お倒れになったのです」執事はそう答えた。リハビリ担当者や透子が見た光景は、蓮司には伏せておいた。先ほどまでの蓮司は、怒りで完全に我を失いかけていた。透子が止めて、ようやく落ち着きを取り戻したところなのだ。ここで残酷な真実を告げれば、蓮司はさらに崩れ、再び怒りに飲まれてしまうだろう。だが、蓮司は恐ろしく勘が鋭い。執事の答えを聞いても、納得した様子は微塵もなかった。「ただ意識を失っただけなら、どうしてお前が泣くんだ。前の二度は泣かなかった。なのに、なぜ今回は泣いた?」執事は口を開きかけ、一瞬だけ言葉に詰まった。それでも、すぐに答えを絞り出す。「旦那様のことが、あまりにも心配だったからでございます。今回で三度目です。以前から医師にも、これ以上強い刺激を受ければ危険だと言われておりました。ですから、心配のあまり、つい取り乱してしまいました」執事は短い時間のなかで、もっとも筋が通り、説得力のある理由を必死にひねり出した。どうかこれで蓮司が信じてくれればいい。せめて今だけは、これ以上疑いを深めないでほしい。しかし蓮司はまだ疑っていた。執事を見つめたまま、眉間に

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