第354話

つまり、類は友を呼ぶ、ということなのだろう。

向かい側で、聡は女性が話すときの表情を見て、一つうなずくと食事を続けた。透子もそれに倣って俯いた。

再び、一分、一秒と時間が過ぎていく。今度は透子ではなく、聡自身が気まずさを感じていた。

先ほどの質問に対する透子の答えには満足していた。だが、なぜか「奇妙な」感覚が拭えない。

まるで自分が何かを証明しようと躍起になっているようで、当の透子は全く本気にしていない。そんな相手にわざわざ念を押した自分が、ひどく器の小さい人間に思えたのだ。

……それに、万が一透子が「なぜ藤堂はあんなことを言ったのだろう」と考え、火のない所に煙は立たないと、自分に結びつけてしまったらどうする。

聡は再び顔を上げ、もう一度釈明しようと唇を微かに開いたが、結局その言葉を飲み込んだ。

透子は先ほど、あれは翼個人の言動で、彼とは無関係だと答えている。これ以上、釈明する必要はない。この話はもう終わったのだ。

聡がそう思った矢先、向かいの女性が何かに気づいたように顔を上げた。

聡は不意を突かれ、視線を逸らす間もなく相手と目が合ってしまった。

透子はわずかに首を傾げ、その眼差しに少しの疑念を浮かべる。

聡は言った。「君がくれた返礼品、気に入った。センスがいいな」

柚木グループの社長として、その卓越した対応能力で、彼は見事な手腕で話題を転換した。

透子は返した。「聡さんのお眼鏡にかなったのなら幸いです。聡さんから頂いた香水ほど高価なものではありませんが」

透子のその改まった物言いを聞き、聡は眉をひそめた。

「まだそんなに堅苦しいのか。さっき、もっと気楽でいいと言っただろう。そんなに神経を張り詰めて、言葉を選んで遠慮する必要はない」

だからと言って、本当に気安くなんてできない。自分の立場くらい、分かっている。透子は心の中で思った。

どう返すべきか分からずにいる女性を見て、聡はそれ以上何も言わなかった。透子がすぐに素の自分を見せることはないだろう、気長に待つしかない、と彼は思った。

彼は呼び出しボタンを押して店員を呼んだ。間もなくノックの音がして店員が入ってくると、透子はそちらに視線を向けた。

聡が飲み物を三杯追加しただけだと分かると、彼女はすぐに視線を戻し、再び目の前の食事に集中した。

店員が去り、個室に再び静寂が訪れた。ちょ