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第513話

作者: 小春日和
「話は後でたっぷり聞かせてもらう」

真奈はそんな口約束には乗らず、立ち上がってその場を離れようとした。だが黒澤は彼女をぐいと引き寄せ、腕の中に抱き上げた。真奈の顔に不機嫌そうな色が浮かぶ。「黒澤!下ろしなさい!」

「俺の嫁さんだ。死んでも放さねえ」

「ふざけてんの!?」

「俺はもともといい人じゃないからな」

顔を赤らめた真奈を、黒澤はそのまま寝室まで運び、丁寧にベッドに寝かせた。

さっきのキスで、黒澤の体にはすでに火がついていた。彼は真奈の頬にそっと口づけし、かすれた声で囁いた。「いいだろう、真奈。今夜は一緒に寝させてくれ。何もしないから」

「何もしないって?それなら、今なにをしているのかな?」

真奈は黒澤を押し返し、ぷいっとそっぽを向いた。黒澤は後ろからそっと抱きしめ、耳元で低く囁いた。「ちょっとキスするだけだ。それ以上はしない」

どこかで聞いたことのあるような台詞だった気がして、真奈は小さく言い返した。「いいわよ。でも今夜あなたが私に手を出したら、二度とこのベッドに上がらせないから」

その瞬間、黒澤の体がわずかに強張ったのを、真奈ははっきりと感じ取った。

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