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第519話

Author: 小春日和
真奈と黒澤は、持仏堂の中を二周りして隅々まで見て回った。けれど、そこは拍子抜けするほど何もなく、役に立つ情報どころか、価値のありそうな物すら一つも見当たらなかった。

「無駄な努力はやめよう。もし本当に何か価値のあるものがあったとしたら、とっくにお前の叔父が持ち去ってる」

黒澤は、調べ終えた位牌を丁寧に元の位置に戻した。

さっきまで、位牌の一つひとつに至るまで調べ尽くし、床まで這いつくばるようにして探したというのに――結局、持仏堂には何もなかった。

「まさか……家族に隠された秘密って、全部嘘だったの?」

真奈は言葉を失い、ふっと黙り込んだ。

これほどの歳月が経っているというのに、もし本当に海城に何か宝のような存在があるのだとすれば、すでに誰かが見つけに来ていたはずだ。もっと騒がれていてもおかしくない。

「宝が嘘なんじゃない。きっと、先祖が本当に上手く隠しただけなんだ」

黒澤は目の前にずらりと並ぶ位牌たちを見渡しながら、落ち着いた声で言った。「今日はこれで帰ろう。鍵はもう俺たちの手にある。戻ろうと思えば、いつでも戻ってこれる」

「遼介……私、なんだかすごく不安なの」

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