Se connecter人は誰でも自己顕示欲を持っている。それが大きいか小さいかの違いはあるが。 中学時代からヲタクでぼっちだった主人公は高校一年の終業式の後、自分の所為で虐められている妹を見てしまう。 妹は気丈に振る舞っていたが、自分の所為で妹が虐められるのは嫌だと奮起する。 「どうすればリア充になれる?」 この言葉を切っ掛けに妹プロデュースの元、リア充になるべく特訓を開始する。 そんな中、妹の思惑を知った主人公だが、妹の為に学校一のリア充を目指すのだった。
Voir plus春、俺は無事二年生に進級できた。
校門の前で感動して立ち尽くしている。 という訳ではなく、緊張して足がすくんでしまっていた。 何故なら今年からある目標に向かって頑張る事になったからだ。『ヲタぼっちの俺が学校一のリア充になる!』
今まで俺はリア充の事を心の中で馬鹿にし、自分の好きなアニメ観たりゲームさえ出来れば人間関係なんてどうでもいいと思っていた。
そんな俺の信条を変える出来事が3月の終業式の後に起こった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――― 終業式が終わり、そそくさと学校を後にする。 クラスメイトが「これからカラオケ行かね?」等とやり取りをしているが、俺には関係ない。 何故ならボッチで友人が居ないからだ。早く家に帰ってアニメでも見よう。
などと考えながら歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえた。 声の聞こえた方を確認すると、どうやら公園から聞こえてきたらしい。公園に近づき中を覗いてみる。
すると数人の女子がたむろしているのを見つけた。 いわゆる『ギャル』と称される、俺とは無縁の異種族だ。 ボッチの俺にギャルの知り合いなど居る訳が無いので、今聞こえた声は聞き間違えだろう。 そう結論づけて踵を返そうとすると、再び聞き覚えのある声が聞こえた。その声はやはりギャル達の方から聞こえる。
ギャル達の方をよーく見てみると、そこには妹の姿があった。妹は決してギャルではない。
むしろギャルとは正反対に位置しているだろう。そんな妹が何故? と観察していると
「マジうけんだけど~」
「何すわっちゃってんの~?」 「お腹でも痛いんですか~?」 「「ぎゃはははは」」と不快な笑い声をあげながら妹を見下ろしている。
妹は殴られたのだろうか、お腹を押さえて何故妹がこんな目に合っているのだろうと考えていると
「まさかアンタにあんなキモイ兄貴がいたなんてね~」
「思い出しただけで吐きそうー」 原因は俺だったらしい。 確かに俺は中学時代学校中から嫌われていたが、何故妹まで標的にされているんだ? 俺の妹だからというだけで虐められているのか?そんな事を考えていると、妹はギャル達に言い返す。
「だからどうしたのよ! それより私を蹴った事謝りなさいよ!」
「は? どうでもよくないっしょ~!」 「そうそう」 「まさかアンタが妹が力強く反論するが、ギャルたちはそれを嘲笑う。
っていうか、俺ってそんなに悪評がひろまってるのか。「いや、関係大ありでしょ~」
「そうそう」 「あんなキモイ兄貴いるやつと一緒に居たくないし~」 「実はアンタもヲタクなんじゃね?」 「きゃはは、言えてる~」なんだそれ。
俺がキモイから妹もキモイって事なのか?「私は違う!」
「ふ~ん。ま、どっちでもいいけどね~」 「どういう意味よ?」 「アンタ高校兄貴と同じ所行くんだろ? アタシたちは学校ちがうからさ~」 「だから何? あなた達に関係ないでしょ?」 「そ。もう関係ないね~」 「だから二度と友達面しないでね~」そういいながら足で地面を蹴って妹に砂を掛ける。
そして「兄貴となかよくね~、きゃはは」と言いながらギャルたちは去っていった。妹を見ると悔しそうに俯き握りこぶしを作って震えている。
思わず駆け寄りそうになるがグッと堪える。 今俺が出て行けば妹は更に惨めになると思ったからだ。 しばらく様子を見ていると妹は立ち上がり砂を払って家に向かって歩き出した。その足取りはしっかりしていて、とてもさっきまで苛められていたとは思えない程だった。
妹が完全に見えなくなってから俺も帰路に着いた。 家に着き「ただいま~」と言って自分の部屋に向かう。 途中でリビングに居る妹をチラリと見て自分の部屋へ入った。「はぁ……」
部屋に入るなり俺は大きなため息を吐いた。
「チラッとしか見えなかったけど、泣いてたよな……」
俺は今まで自分さえ良ければいいと思っていた。
周りからどう見られようと全く気にしなかった。 そんな事よりもゲームやアニメの方が大切だった。でも、そんな俺でも妹の柚希は大事にしてきたつもりだった。
シスコンと思われるかもしれないが、柚希だけが俺にとっての大切な存在だった。 だが、そんな柚希を俺のせいで泣かせてしまった。本当ならイジメてた奴らに説教してやりたい。いや、それだけじゃ俺の怒りが収まらない。柚希がされてきた事を同じ様にやってやりたい!
だけど、俺みたいなボッチヲタクが怒ったところでバカにされるのは目に見えてる。だけど……。「きちんと話した方がいいよな……」
そう思いリビングに向かうと柚希はもう泣いておらず、いつも通りの笑顔でスマホを弄っていた。
やがて俺に気づき「あ、お兄ちゃん帰ってたんだ。おかえり~」
いつもの調子で声を掛けてくる。
あんな事があった後なのに。 俺はなるべく普段通りに話しかけた。「おう、ただいま」
いつも通りにソファーに腰を掛けてから、少し真剣なトーンで聞いてみる。
「今日で中学最後だったろ? どうだった?」
「う~ん、特別変わった事は無かったかな~」 「そうか」 「カラオケに誘われたけど今月ピンチだから断ってそのまま帰って来た感じ」いつも通りの柚希だ。
そしてギャルたちの一件には一切触れなかった。 無理をしている様子でも無さそうに見える。 だから俺は確信を突く事にした。 「柚希、俺の事で虐められたりしてないか?」俺の言葉に一瞬ビックリするような表情を見せたが、直ぐに笑顔になった。
「なに言ってるのお兄ちゃん、そんな事ないよ~」
笑いながらそう言う。
(もういい。もう我慢なんかさせたくない)
だが、俺の次の一言で柚希から笑顔が消えた。
「さっき公園でギャルグループに囲まれてただろ?」
「……」笑顔が無くなり、目線を下に下げた。
「見てたんだ……?」
「偶然な」 「そっかぁ……」そう言った後少しの沈黙が続いたが、柚希が意を決した様に話し始めた。
「私ってさ、自分で言うのもなんだけど、男子からも女子からも好かれてて、お兄ちゃんが言う所のパーフェクトヒロインだと思うんだ」
俺もそう思う。柚希は勉強や運動も出来て交友関係も広いからな。
「クラスのトップカーストにも属してるしね。私凄いリア充でしょ?」
そう言ってまた「ふふふ」と笑う。
「それでね、クラスにはもう一つのトップカーストのグループがあるんだけど、それがお兄ちゃんが見たギャルグループなんだよね」
そうだったのか……。
「ウチのグループとそのグループはそんなに仲良く無くて、たまに衝突する事はあったけどそれ以外ではお互いに干渉しないようにしてたんだ」
柚希の事だから衝突するたびに間に入って仲裁していたのだろう。
「お兄ちゃんって悪い意味で中学の時有名だったじゃん? いつも一人で居てマンガ読んだりゲームしてたりしてて、話す時もぼそぼそと何言ってるかわからないキモヲタクだって」
「ああ……」
俺が遠慮気味に相槌をする。
「私とお兄ちゃんて全く正反対じゃん? だから私がお兄ちゃんの妹だって分からなかったみたい。お兄ちゃんも学校では絶対に私に近づこうともしなかったしね」
俺が兄貴だと知れたら柚希に迷惑かけると思ってたからな。
「それでね、この間お母さんに頼まれて一緒にスーパーに買い物に行ったでしょ? それをギャルグループの一人が見てたらしくて、私が妹だってばれちゃったんだよね」
あの時見られてたのか。 迂闊だった。
「次の日にギャルグループがウチのグループに接触してきて、私がお兄ちゃんの妹だって皆にバラしたの。皆凄いおどろいてたなぁ」
「それで虐められる様になったのか?」俺がそう訊ねると
「ううん。武田君っていうグループのリーダーが庇ってくれたから。実質3年のトップのリーダーの言う事には他クラスも含めて逆らえないっていう状況になって、それ以降私がお兄ちゃんの妹という事で私をいじるなっていう暗黙の了解が出来たんだ。」
それならなんで……?
「なら今日の出来事はどうして?」
「中学最後だからこれまでの分も含めてのお礼参りだってさ。今時お礼参りなんて笑っちゃうよね~」そう言いながら柚希は笑った。
でも、俺には泣いている様に見えた。 (もし、俺が武田君のようなリア充なら、こんなイジメは解決出来たはずだ)だから俺は決心した。
「柚希! どうすればリア充になれる?!」
「……ええええぇぇぇぇ!?」
自宅に帰って来た俺は昨日柚希から教えて貰った友達の情報を反芻して暗記していた。 春休みに入ってから今日まで色々な特訓をしてきたが、果たして上手く出来るか不安もある。 俺に特訓をさせた本人である柚希は「ちゃんと情報を整理しといてね!」 と言い残し、友人を迎えるための準備をしている。 しばらくして柚希に呼ばれリビングに向かう。 「もうすぐ来ると思うからお兄ちゃんは其処に座ってて」「わかった」 指示に従いソファーに腰掛けながら昨日から気になっていた事を聞いてみる。「あのさ、友達は俺の事知ってるの?」 俺の事とはつまり、中学の時ヲタクでぼっちで学年どころか学校中から避けられていた事だ。 高校ではまだそこまでではなく、いつも一人で居る暗い奴という認識だろう。 この間まで同じ中学に通っていた妹の友達が俺の存在を知っている可能性はある。 今回俺に協力する事で終業式の時の妹の様に周りから虐められたりしないか心配なのだ。 そんな心配をしていると「知ってるよ。勿論私のお兄ちゃんって事も知ってるから!」「そうか。 大丈夫なのか?」 虐められたりしてないかという意味を込めて聞くと「大丈夫だよ! それどころかお兄ちゃんに対してそんなに嫌なイメージは持ってないと思う」「マジで?」「うん。私が色々補助してたからね」「そうか。 悪いな」 中学で俺に対して悪いイメージを持ってないなんて奇跡的だと思う。 人は誰でも空気という物を読む。 その空気を読んで行動する人が多数だろう。 そして俺が在学していた時の中学の空気は『佐藤友也=悪』という方程式が成り立っていた。 なので俺に味方したりすると『空気の読めない奴=悪』という方程式に組み込まれ、俺と同じように『悪』として扱われてしまうのだ。 だからこそ妹の友達が俺に悪いイメージを持っていないという事にビックリした。 しかしそれは、柚希が『佐藤友也=悪
翌朝、柚希に半ば強引に外に連れ出された。 何処へ行くのかと尋ねると「着いてからのお楽しみ」としか答えてくれず、柚希に引っ張られるような感じで歩く。 しばらく歩いて、駅前の繁華街までやってきた。 繁華街といっても大都市の物に比べると繁華街と言っていいものか困るが、一応俺の住む市では一番栄えてる場所なので気にしない。 結構人が居るのにスイスイと人を避けながらスムーズに歩いている柚希とは対照的に、俺は時たま肩がぶつかってしまい、思うように進めない。 柚希の姿を見失わない様に必死に後を追うと、柚希は目的地に着いたのかとある店の前で俺を待っている。 ようやく柚希に追いつくと「遅いよ~」 とお叱りを受ける。「それじゃあもうすぐ予約の時間だから受付に行って予約した佐藤です。って言ってきて」 と言い、柚希の後ろにある美容院を指差した。「え? 何で俺が?」「お兄ちゃんが髪を切って貰うからに決まってるじゃん!」 いやいや、俺が美容院? 無理無理無理無理! 美容院ってまさにリア充御用達感あるし、店員も凄い話しかけてくるしで、俺の苦手な物の一つだ。 「ま、まだそんなに伸びてないし切らなくてもいいんじゃないか?」 と、小さな抵抗をするが「ダメ! 身だしなみをキチンとするのもリア充には必須なの」「それはそうだけど……。店員に何て言って切って貰えばいいんだ? それに話しかけられたとき平常心でいられる自信ないぞ」 俺の言葉に柚希はニヤリと笑って「大丈夫! 今日カットしてくれる人はいつも私の担当の人だし、予約する時にある程度事情は話してあるから!」 なんて用意周到なんだ! と驚いていると「もう時間だから早く! 1センチ程カットして貰って、全体的に梳いてください。って言えば大丈夫だから!」 半ば強引に店に入らされた俺は、緊張と元からのコミュ力の無さで店員にどもりながら「あ、あの……。よ、よ、予
俺は自分のコミュ力の無さに打ちひがれていた。 家族相手にすらまともに話せないなんて……。「お兄ちゃんは会話には何が必要かわかる? って聞くまでも無いか」 再び言葉のナイフが俺を切り刻む。「何気ない会話にも相手や周りの事を考える必要があるの。相手が興味の無い話題を振っても相手は食いつかないし、その周りの人も同調出来ない。だから先ずは相手や流行りについて知る必要があるんだよ。流行りの話題だったらリア充なら当然把握してるしね」 という柚希からの有り難いお言葉を頂いた。「でもどうやって相手が興味が有るか無いか見分けるんだ?」 「ん~、お兄ちゃんの場合は観察から入った方がいいかな。クラス内を観察して誰と誰が仲がいいのか、クラスでどんな話題が流行ってるのかを観察するの」 観察なら得意だ。 伊達にいつも休み時間一人で過ごしてないからな。 あれ? なんだか悲しくなってきた。「あと、喋る時はキチンと自信を持って喋る事! 携帯ショップの店員の話ししたでしょ? 自信なさげに喋ってもスルーされるか笑いものになるだけだからね!」 「はい。肝に銘じます」 とは言っても喋り慣れてないから自信がもてないんだよなぁ。 自信持って喋った事がスベッたらどうしようとか考えてしまう。「その事を踏まえてもう一回やってみよう!」 それから何回も挑戦した。 柚希の学校の事や部活の事、友人や高校でやりたい事などを話題に出して、何度も繰り返し、何度もダメ出しを食らう。それを何度も何度も繰り返した。「う~ん、及第点ってところかな」 「やったー! ってか疲れた~」 やっと柚希からオッケーを貰えた。「お兄ちゃんにしては頑張ったね」 「まぁな。リア充になる為だしな」 俺がそう言うと、柚希は少し沈んだトーンで「私が虐められない為に……だよね?」 俺は一瞬言葉に詰まるが「まぁ、そうだな」 と返す。 すると
「はぁ、はぁ……」 直立したまま爆笑する事1時間、柚希の「もういいよ~」という言葉で俺は生き地獄から解放された。 慣れない姿勢で、しかも爆笑しながらの1時間は想像以上にキツかった。「お疲れさま~。大丈夫?」「いや、だいじょばない……」「ははは」 両手と両ひざを床に付いた状態で呼吸を整える。 しばらくして呼吸も落ち着いてきた時「じゃあ、この鏡の前に立って自分を見てみて」 柚希に促され何とか立ち上がり鏡の前に立つ。「これは……?」 鏡に映し出されたのは笑顔で姿勢よく立つなかなかのイケメンが居た。「柚希! こ、これって……!」 興奮しながら柚希に尋ねる。「それが本来のおにいちゃんだよ」 このイケメンが俺? 鏡に映った自分を見て驚愕していると「始めたばかりだからそんなだけど、これを続けて行けばもっと変わると思うよ?」「は? え? もっと変わるのか?」 今でも十分イケメンの部類に入るかもしれないのに、もっとイケメンになれるだと? 俺が半信半疑でいると柚希は自信ありげに言う。「兄妹なんだからもっといけるよ! それともお兄ちゃんには私がそこまで可愛く映ってないのかな?」「いやいや! 柚希は滅茶苦茶可愛いよ!」 俺が興奮気味に言うと「ふふ、ありがとう。 だからお兄ちゃんももっと上を目指そう?」 俺を諭す様に柔らかい口調で言ってくる。 ここは兄の意地を見せなければ!「ああ、柚希のお蔭で自信が沸いてきたよ!」 こうしてキツイ訓練が終わった。 と思っていたら「じゃあ、次の訓練に移りますか」 という天使の声色で悪魔の言葉がリビングに響いた。 「あー! あー! あ~。 あ