自己顕示欲が強い妹にプロデュースされる事になりました

自己顕示欲が強い妹にプロデュースされる事になりました

last updateDernière mise à jour : 2026-08-02
Par:  白石マサルMis à jour à l'instant
Langue: Japanese
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人は誰でも自己顕示欲を持っている。それが大きいか小さいかの違いはあるが。 中学時代からヲタクでぼっちだった主人公は高校一年の終業式の後、自分の所為で虐められている妹を見てしまう。 妹は気丈に振る舞っていたが、自分の所為で妹が虐められるのは嫌だと奮起する。 「どうすればリア充になれる?」 この言葉を切っ掛けに妹プロデュースの元、リア充になるべく特訓を開始する。 そんな中、妹の思惑を知った主人公だが、妹の為に学校一のリア充を目指すのだった。

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Chapitre 1

1話 切っ掛け

 春、俺は無事二年生に進級できた。

 校門の前で感動して立ち尽くしている。

 という訳ではなく、緊張して足がすくんでしまっていた。

 何故なら今年からある目標に向かって頑張る事になったからだ。

『ヲタぼっちの俺が学校一のリア充になる!』

 今まで俺はリア充の事を心の中で馬鹿にし、自分の好きなアニメ観たりゲームさえ出来れば人間関係なんてどうでもいいと思っていた。

 そんな俺の信条を変える出来事が3月の終業式の後に起こった。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 終業式が終わり、そそくさと学校を後にする。

 クラスメイトが「これからカラオケ行かね?」等とやり取りをしているが、俺には関係ない。

 何故ならボッチで友人が居ないからだ。

 早く家に帰ってアニメでも見よう。

 などと考えながら歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえた。

 声の聞こえた方を確認すると、どうやら公園から聞こえてきたらしい。

 公園に近づき中を覗いてみる。

 すると数人の女子がたむろしているのを見つけた。 いわゆる『ギャル』と称される、俺とは無縁の異種族だ。

 ボッチの俺にギャルの知り合いなど居る訳が無いので、今聞こえた声は聞き間違えだろう。

 そう結論づけて踵を返そうとすると、再び聞き覚えのある声が聞こえた。

 その声はやはりギャル達の方から聞こえる。

 ギャル達の方をよーく見てみると、そこには妹の姿があった。

 妹は決してギャルではない。

 むしろギャルとは正反対に位置しているだろう。

 そんな妹が何故? と観察していると

「マジうけんだけど~」

「何すわっちゃってんの~?」

「お腹でも痛いんですか~?」

「「ぎゃはははは」」

 と不快な笑い声をあげながら妹を見下ろしている。

 妹は殴られたのだろうか、お腹を押さえてうずくまっている。

 何故妹がこんな目に合っているのだろうと考えていると

「まさかアンタにあんなキモイ兄貴がいたなんてね~」

「思い出しただけで吐きそうー」

 原因は俺だったらしい。

 確かに俺は中学時代学校中から嫌われていたが、何故妹まで標的にされているんだ?

 俺の妹だからというだけで虐められているのか?

 そんな事を考えていると、妹はギャル達に言い返す。

「だからどうしたのよ! それより私を蹴った事謝りなさいよ!」

「は? どうでもよくないっしょ~!」

「そうそう」

「まさかアンタが佐藤友也さとうともやの妹だったなんてね~」

「どうしてかくしてたのかな~? 佐藤柚希さとうゆずきちゃ~ん」

「それは、私は私だし! お兄ちゃんは関係ない!」

 妹が力強く反論するが、ギャルたちはそれを嘲笑う。

 っていうか、俺ってそんなに悪評がひろまってるのか。

「いや、関係大ありでしょ~」

「そうそう」

「あんなキモイ兄貴いるやつと一緒に居たくないし~」

「実はアンタもヲタクなんじゃね?」

「きゃはは、言えてる~」

 なんだそれ。

 俺がキモイから妹もキモイって事なのか?

「私は違う!」

「ふ~ん。ま、どっちでもいいけどね~」

「どういう意味よ?」

「アンタ高校兄貴と同じ所行くんだろ? アタシたちは学校ちがうからさ~」

「だから何? あなた達に関係ないでしょ?」

「そ。もう関係ないね~」

「だから二度と友達面しないでね~」

 そういいながら足で地面を蹴って妹に砂を掛ける。

 そして「兄貴となかよくね~、きゃはは」と言いながらギャルたちは去っていった。

 妹を見ると悔しそうに俯き握りこぶしを作って震えている。

 思わず駆け寄りそうになるがグッと堪える。

 今俺が出て行けば妹は更に惨めになると思ったからだ。

 しばらく様子を見ていると妹は立ち上がり砂を払って家に向かって歩き出した。

 その足取りはしっかりしていて、とてもさっきまで苛められていたとは思えない程だった。

 妹が完全に見えなくなってから俺も帰路に着いた。

 家に着き「ただいま~」と言って自分の部屋に向かう。

 途中でリビングに居る妹をチラリと見て自分の部屋へ入った。

「はぁ……」

 部屋に入るなり俺は大きなため息を吐いた。

「チラッとしか見えなかったけど、泣いてたよな……」

 俺は今まで自分さえ良ければいいと思っていた。

 周りからどう見られようと全く気にしなかった。

 そんな事よりもゲームやアニメの方が大切だった。

 でも、そんな俺でも妹の柚希は大事にしてきたつもりだった。

 シスコンと思われるかもしれないが、柚希だけが俺にとっての大切な存在だった。

 だが、そんな柚希を俺のせいで泣かせてしまった。

 本当ならイジメてた奴らに説教してやりたい。いや、それだけじゃ俺の怒りが収まらない。柚希がされてきた事を同じ様にやってやりたい!

 だけど、俺みたいなボッチヲタクが怒ったところでバカにされるのは目に見えてる。だけど……。

「きちんと話した方がいいよな……」

 そう思いリビングに向かうと柚希はもう泣いておらず、いつも通りの笑顔でスマホを弄っていた。

 やがて俺に気づき

「あ、お兄ちゃん帰ってたんだ。おかえり~」

 いつもの調子で声を掛けてくる。

 あんな事があった後なのに。

 俺はなるべく普段通りに話しかけた。

「おう、ただいま」

 いつも通りにソファーに腰を掛けてから、少し真剣なトーンで聞いてみる。

「今日で中学最後だったろ? どうだった?」

「う~ん、特別変わった事は無かったかな~」

「そうか」

「カラオケに誘われたけど今月ピンチだから断ってそのまま帰って来た感じ」

 いつも通りの柚希だ。

 そしてギャルたちの一件には一切触れなかった。

 無理をしている様子でも無さそうに見える。

 だから俺は確信を突く事にした。

「柚希、俺の事で虐められたりしてないか?」

 俺の言葉に一瞬ビックリするような表情を見せたが、直ぐに笑顔になった。

「なに言ってるのお兄ちゃん、そんな事ないよ~」

 笑いながらそう言う。

(もういい。もう我慢なんかさせたくない)

 だが、俺の次の一言で柚希から笑顔が消えた。

「さっき公園でギャルグループに囲まれてただろ?」

「……」

 笑顔が無くなり、目線を下に下げた。

「見てたんだ……?」

「偶然な」

「そっかぁ……」

 そう言った後少しの沈黙が続いたが、柚希が意を決した様に話し始めた。

「私ってさ、自分で言うのもなんだけど、男子からも女子からも好かれてて、お兄ちゃんが言う所のパーフェクトヒロインだと思うんだ」

 俺もそう思う。柚希は勉強や運動も出来て交友関係も広いからな。

「クラスのトップカーストにも属してるしね。私凄いリア充でしょ?」

 そう言ってまた「ふふふ」と笑う。

「それでね、クラスにはもう一つのトップカーストのグループがあるんだけど、それがお兄ちゃんが見たギャルグループなんだよね」

 そうだったのか……。

「ウチのグループとそのグループはそんなに仲良く無くて、たまに衝突する事はあったけどそれ以外ではお互いに干渉しないようにしてたんだ」

 柚希の事だから衝突するたびに間に入って仲裁していたのだろう。

「お兄ちゃんって悪い意味で中学の時有名だったじゃん? いつも一人で居てマンガ読んだりゲームしてたりしてて、話す時もぼそぼそと何言ってるかわからないキモヲタクだって」

「ああ……」

 俺が遠慮気味に相槌をする。

「私とお兄ちゃんて全く正反対じゃん? だから私がお兄ちゃんの妹だって分からなかったみたい。お兄ちゃんも学校では絶対に私に近づこうともしなかったしね」

 俺が兄貴だと知れたら柚希に迷惑かけると思ってたからな。

「それでね、この間お母さんに頼まれて一緒にスーパーに買い物に行ったでしょ? それをギャルグループの一人が見てたらしくて、私が妹だってばれちゃったんだよね」

 あの時見られてたのか。 迂闊だった。

「次の日にギャルグループがウチのグループに接触してきて、私がお兄ちゃんの妹だって皆にバラしたの。皆凄いおどろいてたなぁ」

「それで虐められる様になったのか?」

 俺がそう訊ねると

「ううん。武田君っていうグループのリーダーが庇ってくれたから。実質3年のトップのリーダーの言う事には他クラスも含めて逆らえないっていう状況になって、それ以降私がお兄ちゃんの妹という事で私をいじるなっていう暗黙の了解が出来たんだ。」

 それならなんで……?

「なら今日の出来事はどうして?」

「中学最後だからこれまでの分も含めてのお礼参りだってさ。今時お礼参りなんて笑っちゃうよね~」

 そう言いながら柚希は笑った。

 でも、俺には泣いている様に見えた。

(もし、俺が武田君のようなリア充なら、こんなイジメは解決出来たはずだ)

 だから俺は決心した。

「柚希! どうすればリア充になれる?!」

「……ええええぇぇぇぇ!?」

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1話 切っ掛け
 春、俺は無事二年生に進級できた。 校門の前で感動して立ち尽くしている。 という訳ではなく、緊張して足がすくんでしまっていた。  何故なら今年からある目標に向かって頑張る事になったからだ。『ヲタぼっちの俺が学校一のリア充になる!』 今まで俺はリア充の事を心の中で馬鹿にし、自分の好きなアニメ観たりゲームさえ出来れば人間関係なんてどうでもいいと思っていた。 そんな俺の信条を変える出来事が3月の終業式の後に起こった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 終業式が終わり、そそくさと学校を後にする。 クラスメイトが「これからカラオケ行かね?」等とやり取りをしているが、俺には関係ない。 何故ならボッチで友人が居ないからだ。 早く家に帰ってアニメでも見よう。 などと考えながら歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえた。 声の聞こえた方を確認すると、どうやら公園から聞こえてきたらしい。 公園に近づき中を覗いてみる。 すると数人の女子がたむろしているのを見つけた。 いわゆる『ギャル』と称される、俺とは無縁の異種族だ。 ボッチの俺にギャルの知り合いなど居る訳が無いので、今聞こえた声は聞き間違えだろう。 そう結論づけて踵を返そうとすると、再び聞き覚えのある声が聞こえた。 その声はやはりギャル達の方から聞こえる。 ギャル達の方をよーく見てみると、そこには妹の姿があった。 妹は決してギャルではない。 むしろギャルとは正反対に位置しているだろう。 そんな妹が何故? と観察していると「マジうけんだけど~」「何すわっちゃってんの~?」「お腹でも痛いんですか~?」「「ぎゃはははは」」 と不快な笑い声をあげながら妹を見下ろしている。 妹は殴られたのだろうか、お腹を押さえて蹲っている。 何故妹がこんな目に合っているのだろうと考えていると「まさかアンタにあんなキモイ兄貴がいたなんてね~」「思い出しただけで吐きそうー」  原因は俺だったらしい。 確かに俺は中学時代学校中から嫌われていたが、何故妹まで標的にされているんだ? 俺の妹だからというだけで虐められているのか? そんな事を考えていると、妹はギャル達に言い返す。「だからどうしたのよ! それより私を蹴った事謝りなさいよ!」「は? 
last updateDernière mise à jour : 2026-07-28
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2話 春休みの特訓
 昨日柚希にどうすればリア充になれるか聞いた時の柚希の驚きっぷりを思い出して笑ってしまう。 あんな表情の柚希を見たのは初めてだ。 その後は「どうしたの?」「拾い食いでもしたの?」「生きるのしんどくなったの?」と散々な言われようだったが「何かあったの?」という質問に対してだけ答えた。「柚希が俺のせいで虐められた。だから俺は変わりたい」 俺がそう言うと「本気なの?」「ああ」 という短いやり取りの後「わかった! 私がお兄ちゃんを立派なリア充にしてみせる!」 という心強い言葉を貰った。 そして柚希の提案で今日からリア充に成る為の特訓をする事になった。 今の時間は朝の7時58分 朝から特訓するから8時にリビングに来てと言われている。 リビングのドアを開けながら「おはよー」と入って行くと「遅い!」 と、いきなり怒られた。「まだ8時になってないぞ?」 と反論すると「これも特訓の内なの。待ち合わせには常に5分前行動を心掛ける様に!」「す、すまん」 既に特訓は始まっていたらしい。 しかし、柚希の様子がいつもと違う。「っていうか、その喋り方はどうしたんだ?」 という質問に対して「私はお兄ちゃんに立派なリア充になって貰いたいの。だから厳しくいくからね!」 俺を思っての事みたいだけど、その喋り方は全然似合ってないな。「特訓って一体何をすればいいんだ?」 素直に疑問をぶつけてみる。「逆に聞くけど、リア充ってどんなイメージ持ってる?」 質問に質問で返されてしまったが真剣に考える。「えーっと、やたら騒いでて群れてるイメージかな?」 俺のイメージをそのまま伝えた。「なるほど~。じゃあ私のイメージは?」 柚希のイメージか。「いつも笑顔で明るくて、人懐っこくてみんなから好かれてるイメージかな」 俺の中のイメージをそのまま伝えると「そ、そうなんだ……」 と言い顔を赤くしている。「顔赤いぞ? 大丈夫か?」「だ、大丈夫だから!」 と言いながら顔の前で手をブンブン振っている。 やがて気を取り直して「お兄ちゃんが私に抱くイメージみたいに、やたら騒いで群れるだけがリア充じゃないんです! むしろお兄ちゃんがイメージしたリア充はクラスカーストだと上から2~3番目って所かな」「そ、そうなのか……」 流石トップカーストに属する妹さま
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3話 姿勢と表情
 俺は今、リビングの壁に『踵』『お尻』『背中』『後頭部』をくっつけて直立し、お笑い動画を観てわざとらしく爆笑している。 うん。客観的に見るとキモイな。頭がおかしくなったのかと思われても仕方ない。 だが、これが柚希曰くリア充に成る為の第一歩らしい。 1時間程前に遡る――――――――「まずお兄ちゃんはコミュ力の前に色々足りてないの」 俺は真剣に柚希の言葉に耳を傾ける。「まず、その猫背! リア充で猫背の人見た事ある?」 そう言われハッとする。「居ない……な」「でしょ?」 そうか、俺はいつも派手な言動にばかり目が行っていたが、よーく思い出してみればみんな背筋がピンと伸びていた気がする。「猫背だけで自分に自信が無い、なんか暗そうって思われちゃうの!」 なるほど。「例えば、携帯ショップの店員さんいるじゃん? 色々なプランとか説明される時に自信なさげに猫背で説明されるのと、自信たっぷりに背筋をピンッと伸ばして説明されるのとどっちが納得しやすい?」「それは、自信たっぷりに姿勢よく説明された方が安心しやすいかな」「でしょ? それは学校という場所でも同じ事なの」 なるほど確かに。 そう考えると姿勢って大事だな。「あと、表情も大事!」「表情?」 柚希は軽く頷いて「そう!」と言い、顔の横に人差し指を立てて「お兄ちゃんが私に抱いてるイメージをもう一回言ってみて」「それは、いつも笑顔で明るくて、人懐っこくて男子からも女子からも好かれてるイメージだな」 さっきと同じ回答をする。 すると柚希は「そう! それ!」と言って俺の顔を指さす。「いつも笑顔でって言ったでしょ? お兄ちゃんは表情が硬いし、いつも口角が下がってるの。これって不機嫌とか暗いとかのマイナスイメージしかないんだよ!」 確かに俺はあまり表情豊かではないな。 でも口角が下がってるっていうのはどういう事なんだろう。「表情が硬いのは分かったけど、口角ってどういう意味なんだ?」 素直に疑問をぶつけてみる。「口で言っても分かりずらいと思うから見せてあげる」 そういって「よく見ててね」といい、両手で顔を隠した。 そして「どう?」と言いながら両手をどける。「え? あれ?」 そこには見慣れた柚希の笑顔は無く、少し暗い感じの顔をした柚希の顔があった。「じゃあ元に戻すね。今度は手で隠さ
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 「はぁ、はぁ……」 直立したまま爆笑する事1時間、柚希の「もういいよ~」という言葉で俺は生き地獄から解放された。 慣れない姿勢で、しかも爆笑しながらの1時間は想像以上にキツかった。「お疲れさま~。大丈夫?」「いや、だいじょばない……」「ははは」 両手と両ひざを床に付いた状態で呼吸を整える。 しばらくして呼吸も落ち着いてきた時「じゃあ、この鏡の前に立って自分を見てみて」 柚希に促され何とか立ち上がり鏡の前に立つ。「これは……?」 鏡に映し出されたのは笑顔で姿勢よく立つなかなかのイケメンが居た。「柚希! こ、これって……!」 興奮しながら柚希に尋ねる。「それが本来のおにいちゃんだよ」 このイケメンが俺? 鏡に映った自分を見て驚愕していると「始めたばかりだからそんなだけど、これを続けて行けばもっと変わると思うよ?」「は? え? もっと変わるのか?」 今でも十分イケメンの部類に入るかもしれないのに、もっとイケメンになれるだと? 俺が半信半疑でいると柚希は自信ありげに言う。「兄妹なんだからもっといけるよ! それともお兄ちゃんには私がそこまで可愛く映ってないのかな?」「いやいや! 柚希は滅茶苦茶可愛いよ!」 俺が興奮気味に言うと「ふふ、ありがとう。 だからお兄ちゃんももっと上を目指そう?」 俺を諭す様に柔らかい口調で言ってくる。 ここは兄の意地を見せなければ!「ああ、柚希のお蔭で自信が沸いてきたよ!」 こうしてキツイ訓練が終わった。 と思っていたら「じゃあ、次の訓練に移りますか」 という天使の声色で悪魔の言葉がリビングに響いた。 「あー! あー! あ~。 あ
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6話 髪型と服装
 翌朝、柚希に半ば強引に外に連れ出された。 何処へ行くのかと尋ねると「着いてからのお楽しみ」としか答えてくれず、柚希に引っ張られるような感じで歩く。 しばらく歩いて、駅前の繁華街までやってきた。 繁華街といっても大都市の物に比べると繁華街と言っていいものか困るが、一応俺の住む市では一番栄えてる場所なので気にしない。 結構人が居るのにスイスイと人を避けながらスムーズに歩いている柚希とは対照的に、俺は時たま肩がぶつかってしまい、思うように進めない。 柚希の姿を見失わない様に必死に後を追うと、柚希は目的地に着いたのかとある店の前で俺を待っている。 ようやく柚希に追いつくと「遅いよ~」 とお叱りを受ける。「それじゃあもうすぐ予約の時間だから受付に行って予約した佐藤です。って言ってきて」 と言い、柚希の後ろにある美容院を指差した。「え? 何で俺が?」「お兄ちゃんが髪を切って貰うからに決まってるじゃん!」 いやいや、俺が美容院? 無理無理無理無理! 美容院ってまさにリア充御用達感あるし、店員も凄い話しかけてくるしで、俺の苦手な物の一つだ。 「ま、まだそんなに伸びてないし切らなくてもいいんじゃないか?」 と、小さな抵抗をするが「ダメ! 身だしなみをキチンとするのもリア充には必須なの」「それはそうだけど……。店員に何て言って切って貰えばいいんだ? それに話しかけられたとき平常心でいられる自信ないぞ」 俺の言葉に柚希はニヤリと笑って「大丈夫! 今日カットしてくれる人はいつも私の担当の人だし、予約する時にある程度事情は話してあるから!」 なんて用意周到なんだ! と驚いていると「もう時間だから早く! 1センチ程カットして貰って、全体的に梳いてください。って言えば大丈夫だから!」 半ば強引に店に入らされた俺は、緊張と元からのコミュ力の無さで店員にどもりながら「あ、あの……。よ、よ、予
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