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第570話

Author: 小春日和
黒澤は大股でずかずかと近づき、真奈を一気に背後へと庇った。

「言っただろう、真奈に手を出すな」

その表情は氷のように冷たかった。

黒澤おじいさんの顔からも先ほどまでの笑みが消え、手にしていた箸を置き、首に巻いていたスカーフを静かに外した。

老いた声には逆らえない威厳がにじんでいた。「それが孫の口の利き方か?」

長年の恵まれた暮らしの中で、黒澤おじいさんの体つきには多少の貫禄があった。顔には皺と溝が刻まれていたが、決して多すぎることはなく、髪も白く整っていて、見た目はまるで上品な紳士そのものだった。ただ、その目だけは孫とそっくりで、獣のような鋭さと危うさを宿していた。

「遼介、おじいさんは私に何もしてないわ。さっきまで一緒に食事してただけ」

食事という言葉を聞いて、黒澤はようやく黒澤おじいさんの前に置かれていた餃子の皿に目をやった。

彼は歩み寄ると、箸で一つ餃子をつまみ、口へと運んだ。その様子は、まるで毒が入っていないか確かめているかのようだった。

「ちょっとしょっぱいな」

そう淡々と言い放った黒澤に、真奈は腕を組んだまま言い返した。「遼介、その餃子は私が作ったのよ」
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