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107.護のプロポーズと華の決意

Penulis: 中道 舞夜
last update Terakhir Diperbarui: 2025-08-07 21:57:27
華side:

「華ちゃん、今回の一件もあるしここを出て僕たち一緒に暮らさないかい?」

「え……?」

気持ちを落ち着かせるために、護さんの部屋で二人きりになり温かいハーブティーを飲んでいるときのことだった。唐突な提案に私は思わず顔を上げ、護さんを見つめた。いつもの優しい笑顔の中にも、真剣な眼差しの彼を見て私は言葉を失った。頭の中が真っ白になり、ただただ今の言葉を反芻することしかできない。

「いつでも華ちゃんと子どもたちのことを守るためには、ここから離れて一緒に暮らせばいいかなと思って……。彼がまた来るかもしれない。華ちゃんたちにそんな危険な思いはもうさせたくないんだ」

言葉の裏には、瑛斗の存在から私と子どもたちを完全に守りたいという、彼の強い意志が感じられる。

「本当は、記念日とかもっと大切な日に指輪を用意して言うつもりだったんだけれど、今の華ちゃんの様子を見たら、もう僕のそばから離したくないって思ってしまって……。つい言葉に出してしまったよ。」

護さんは照れながら頭を掻き、参ったなという顔をしていた。指輪まで用意しようとしていたことに、彼の真剣さがひしひしと伝わり私の胸は熱くなった。護さんは、私との将来を真剣に考えてくれていたのだ。

「護さん……。ありがとう。子どもたちのこともあるし、少し考えさせてもらえるかな」

「ああ、もちろんだよ。環境が変わることだし、子どもたちの気持ちも大切だ。一緒に決めていこう」

護さんは優しく微笑み、私の決断を急かすことはなかった。その包み込むような優しさが私の心をさらに揺れ動かした。護さんとの未来は、結婚して「三上 華」として生きる未来だ。「神宮寺」の名前を捨て、過去をすべて清算し、新しい人生を護さんと歩むのもいいかもしれない。

「護さん、いつも側にいてくれてありがとう」

「僕もだよ。華ちゃんの一番になれて嬉しいよ。」

私は、手に持っていたティーカップをそっとテーブルに置き、彼の首に腕を絡めた。護さんは優しく私の髪を撫で、おでこにキスをする。そして、再び見つめ合うと、今度は長くて、深い甘いキスを交わした。
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