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511.逃走劇②

مؤلف: 中道 舞夜
last update تاريخ النشر: 2026-05-17 19:57:23

瑛斗side

三村と玲の逃走から数日後――――

警察に、東京駅の改札付近で撮影した玲とハットの男の写真を証拠として提出し、二人が逃亡を図ったことを詳細に報告した。

これまでは「事件に実害が出ていない」「確証がない」と腰が重かった警察も、消息不明だった元副社長の生存、そして三村との明白な共犯関係を示す決定的な証拠を突きつけられたことで、ついに本格的な合同捜査へと動き始めた。

即座に捜査員が三村の自宅マンションを訪問し家宅捜索に踏み切った。しかし、すでにそこはもぬけの殻だった。部屋のクローゼットからは貴重品が綺麗に持ち去られており、冷たい空気が流れるだけで人の

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  • 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー   555.りゅうちゃん

    瑛斗side一週間後、探偵からの着信に息を呑み、すぐさま通話へと切り替えた。「一条社長、先日ご依頼いただいた件ですが、櫻子さんの件で例の従兄弟の男性とアポイントが取れ、直接話を聞くことが出来ました。実は三十年前、その男性は一度だけ櫻子さんのアパートまで足を運んでいたそうなんです。ですが、玄関口で男性の存在を理由に固く面会を断られ、そのまま引き返したそうで……」「本当ですか……! それで、その時に相手の男を目撃したんですか?」「ええ。しかし、ドアの隙間から一瞬見えた程度だったため、顔の特徴はほぼ覚えていないとのことでした。先日いただいた四兄弟の写真をお見せしたのですが、『うーん、違う……ような気がする』と非常に曖昧な回答でした。もう三十年近く昔の話になりますから、当時の記憶と写真だけで特定するのは、正直厳しいかもしれません。ただ……一つだけ、非常に有力な証言が得られました。櫻子さんがその相手の男性のことを『りゅうちゃん』と呼んでいたそうです」「りゅうちゃん……?」受話器を握る手に、知らず知らずのうちに力がこもる。「ええ。その呼び名だけは、鮮明に覚えていると仰っていました。櫻子さんは普段、身内に対してもどこか余所余所しく、一定の距離を置いて接する冷めた性格だったそうなのですが、その男性に対してだけは普段誰も聞いたことが

  • 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー   554.昔の写真

    瑛斗side櫻子さんと三村家の間に隠された関係、そして玲の本当の血縁。 玲の父親は一体誰だったのか――その正体が突き止められれば、この一連の事件の全貌が一気に解き明かされるのではないか。 そう確信した俺は、ある人物へ連絡を入れた。「一条です、ご無沙汰しております。実は……一つお願いしたいことがありまして」「これは、一条社長。お久しぶりです。先日は長谷川の逮捕について連絡をくださり、本当にありがとうございました。その節は、大変お世話になりました。それで……私へのお願いとは、どのようなことでしょうか?」電話の向こうから聞こえてきたのは、芦屋グループ会長の娘である芦屋彩菜さんの落ち着いた声だった。彩菜さんは現在、長谷川によって自殺として処理されかけた夫の不審死について、長谷川の罪を徹底的に追及すべく法廷で戦っている最中だった。夫を奪われた遺族としての強い意志が、その声の端々から伝わってくる。「突然のお願いで恐縮なのですが……以前、電報社のパーティーに出席した際、貴社の会長のご子息方をご紹介いただきましたが、もう一度みなさんのお名前と、出来れば全員の顔がはっきりと分かる写真を分けていただけないでしょうか? 可能であれば、最近撮られたものと、少し昔の古い写真があれば助かるのですが……」「昔の写真……も、ですか?」

  • 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー   553.新たな疑惑

    瑛斗side(三村は、これまでも用済みになれば容赦なく見捨ててきた。そんな冷酷非道な三村ジョニーが、リスクを冒してまで逃がそうとしたなんて何か理由があるはずだ……)三村雅と三村ジョニーの、親子の絆を超えた八年間にも及ぶ歪んだ同居生活―――華の実母である翠さんの凄惨な事故と、命を守るためにひそかに養子へ出された真珠さん。 玲が海外へ留学する前に、三村のNPO法人から受け取っていたという、返済義務すらない不可解な謎の奨学金。 そして……逃亡を図った玲の元秘書・長谷川が逮捕された際、激しい憎悪を剥き出しにして吐き捨てた「玲はただの被害者ではない」「指示されて玲と一緒に逃げることになった」という言葉。これまでバラバラに散らばっていた思考のピースが、凄まじい速度で形を成していく。そして、ひとつの末恐ろしい一つの仮説が生まれた。真珠さんを守るため、そして何より愛する華をこれ以上の危険に晒さないために、俺はこの仮説を検証しなければならなかった。「……神宮寺会長。玲の……留学時の奨学金の手続きをすべて仕切っていたのは、櫻子さんでしたね?」俺の切迫した声に、神宮寺会長は思わず顔を上げた。「ああ、そうだ。留学に関する手配や資金の管理はすべて櫻子に任せていて、私はノータッチだった。……それがどうかしたのかね?」「……会長、失礼なことと承知の上で私の考えを述べさせていただきます。……櫻子さんと、三村家の間に接点はありませんでしたか? たとえば……櫻子さんが神宮寺家に嫁ぐ前の過去の交友関係や、三村家の人間との裏での繋がりとか神宮寺会長の知らない繋がりがある可能性はありませんか……?」俺の言葉を聞いた瞬間、会長の顔色が目に見えて変わった。血の気が引き、みるみるうちに会長の顔が土気色に青ざめていく。「な……何を言っているんだ、瑛斗君。まさか、櫻子と三村家が裏で繋がっている……君は本気でそう考えているのか……?」重苦しい静寂が恐ろしいほどの圧力を伴って割烹の個室を押し潰していく。 会長の唇が微かに震え、見開かれた瞳は焦点を失ったまま固まっていた。言葉にならないその沈黙こそが、俺が口にした恐ろしい疑念を残酷なまでに肯定しているように見えた。「……もし、玲が、櫻子さんと三村家の誰かとの間に作った子だとしたらどうですか!? そうだとすれば、三村ジョニーと玲は、従兄弟、もしくは異母

  • 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー   552.妹

    瑛斗side神宮寺家と三村家の因縁、親父と雅さんの関係。これらすべてが長い期間を経て複雑に絡み合っていた。親の世代に起きた出来事が、今、俺や華、そして玲に振りかかっている。(両家が三村家と関わりがあったなんてこれは単なる偶然なのか……?それとも分かった上で近づいたのか?雅さんから話を聞いた三村が、俺と玲が結婚したことを知り、復讐のために玲に近づいた……?いや、玲と三村は、玲が大学生になる頃……結婚するずっと前に接触をしている。それなら、目的は、神宮寺家?)両家が三村家と関わりを持っていたという事実は、単なる偶然の一致として片付けるにはあまりにも出来過ぎている。(雅さんから親父との関係を聞かされて育った三村が、俺と玲の結婚を知って復讐のために近づいた……? いや、三村が玲に接触したのは玲が大学生の頃だ。俺と華が結婚をするずっと前に、二人はすでに繋がっていた。それなら、最初の標的は一条家ではなく、神宮寺家だったということか……?)脳内で組み上がる仮説を繋ぎ合わせようともがいていると、神宮寺会長が静かに手元の杯を置き、背筋を正した。その瞳には、先ほどまでの悔恨とは異なる冷徹で思いつめた光が宿っていた。「瑛斗君。……やはり、もう一つ君には今この場で話しておくべきだと判断した。いや、話さなければならない」「話さなければならないこと?会長……一体、何のことですか?」

  • 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー   551.元親子の告白

    瑛斗side「……もう三十年以上も前の話だったから、華と君が結婚する時は敢えて話さなかったのだがね。実は、神宮寺家と三村家には深い確執があってね。かつて大きなビジネストラブルに見舞われ、なかなか和解ができず、当時には珍しく裁判までに至ったのだよ」「神宮寺家と三村家が裁判……ですか?」「ああ。新規取引先の参入を巡っての対立だった。結局、相手方の不当性が認められ、神宮寺家には一切の非がないとしてお咎めなしとなり、裁判を起こした三村側が裁判費用を全額負担することで決着した。一時は裏で悪質な嫌がらせも受けたが、しばらくするとそれも収まり、私はすべて終わった過去のことだと思っていたんだ……」神宮寺会長は、悔恨の念を滲ませながら静かに言葉を続けている。思ってもみなかった告白に俺は息を呑んだ。「それが、今になって……華と玲が成人してから、一条家と神宮寺家の間に気味の悪い出来事が不気味に続いている。三村君が一条グループの副社長の座に収まったのもそうだ。断ち切ったはずの三村家との関わりが、再び出来てしまった。そして、今の三村家は、神宮寺家ではなく一条家を直接のターゲットにしているように思える。……もしかして、神宮寺家が一条家と婚姻関係を結んだからこそ、奴らの狙いが一条家へとシフトしてしまったのではないかと……。瑛斗君、本当に申し訳ない。すべての根源は、我が家にあるのかもしれないんだ」そう言って、神宮寺会長は俺に対して深々と頭を下げた。今まで親父の口からも、神宮寺家と三村家の間のそんな凄絶なトラブルなど一度も聞いたことはなく、初めて知る歴史に戸惑いを隠せなかったが、同時に胸の中で疑問が芽生える。(いくら激しい損害を受けたとはいえ、三十年も前のビジネス上の遺恨だけで、ここまで執念深く家族全員を巻き込むような陰湿な復讐を仕組むだろうか……)「会長、どうか頭を上げてください……。実は、私の方からもお話ししなければならない重要な事実があります。……以前、電報社が主催したパーティーに招待された際、三村家の方々を順番に紹介されました。その中に……私の父と極めて深い繋がりを持つ人物がいたのです。その人の名は、三村雅(みむら みやび)。電報社会長の息子に嫁ぎましたが、ご主人が病死された後は本家を離れ、別邸で暮らしています。そして彼女は……その別邸で数年間、三村ジョニーと一緒に暮らして

  • 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー   550.密談

    瑛斗side三日後の夜、俺はある人物と会うために、都内にある高級割烹料理店の個室へと入って行った。接待でも利用する店で個人のプライバシーがしっかりと守れており、ここなら安心して話が出来る。約束の時間の二十分前に到着し、案内された静かな和室の畳の上で、背筋を伸ばし正座をして待ち続けた。今日、一体どのような口からどんな真実が語られるのか。落ち着かない胸騒ぎが止まらず、静まり返った部屋の中で何度も腕時計をチラリと見ては、針の進みに気を揉んでいた。待ち合わせの七分前になると廊下の床を踏みしめてこちらへ向かってくる足音が聞こえてきた。 背筋を正しなおして膝の上で固く拳を握り締める。襖に大きな人影が映り込み、スッと静かに開く音が部屋中に響き渡った。「お待たせしたね。忙しいのに、わざわざ時間を作ってもらってすまない。今日は来てくれてありがとう」「いえ……お電話をいただき光栄です。ご無沙汰しております。……神宮寺会長」そこに立っていたのは、華の父親であり神宮寺グループのトップである神宮寺会長だった。 会長とこうして直接顔を合わせるのは、華が長野の別荘で暮らしていた頃以来で、実に三年ぶりになる。あの時は、三上のマンションに囚われていた華を救出することで互いに必死で、まともに言葉を交わす余裕などなかった。こうして落ち着いて面と向かって話をするのは、一体いつ以来だろうか……もう遠い昔のように思えるほどの年月が流れていた。

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