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第379話

Author: 花辞樹(かじじゅ)
桃子はスマートフォンを取り出すと、わざわざ典子にテレビ電話を繋いだ。

「典子様、ご覧ください。今、小林さんを丁重に『ご招待』しているところですわ!」

薄い病衣一枚の姿月は、まるでゴミのように床を引きずられている。その姿は見るも無惨で、屈辱にまみれていた。彼女は血が滲むほど下唇を噛み締め、乱れた髪の隙間から、桃子を射殺すような怨毒の眼差しを向ける。

この薄汚い古狸が……!

いつか必ず、泣いて詫びるまで追い詰めてやる!

「深雲さん、助けて!」廊下の向こうから大股で近づいてくる深雲の姿を認めると、姿月の瞳が希望に輝き、途端にか弱い声で助けを求めた。

「貴様ら、やめろ!」深雲が怒号を上げる。

それより早く、研時が駆け寄り、姿月の腕を掴んでいた男を突き飛ばした。

「彼女に触るな!」

怯える小動物のように震える姿月を見て、研時は胸が張り裂けそうな痛みと激しい憤りを覚えた。拳を握りしめ、ボディーガードたちを睨みつける。

「病院で拉致まがいの真似をする気か?警察を呼ぶぞ!」

桃子が持つスマートフォンの画面越しに、割って入ってきた研時の姿を認めると、典子は不快げに眉根を寄せた。「研時。これは鷹野家の内部の問題ですよ。部外者が首を突っ込むんじゃありません。そこをお退き」

スピーカーから響く老婦人の声には、年輪を重ねた者特有の重みと威厳があった。

鷹野家と陸野家は代々の付き合いだ。典子は研時のオムツが取れる前からの顔なじみでもある。研時は唇を噛み締め、それでも引かずに鋭い声で反論した。「おばあ様。姿月が何をしたと言うんですか。こんな仕打ちはあんまりだ」

だが、典子は伊達に長く生きているわけではない。研時のその必死な態度を見るだけで、彼の腹の底など透けて見えた。「おやおや。お前もこの泥棒猫にたぶらかされているのかい」

「滅多なことを言わないでください」研時の顔が一瞬にして朱に染まる。彼は即座に否定した。「俺にとって、姿月は妹のようなものです」

「ほう。陸野のご夫妻に聞いてみようかね、そこの娘を『妹』として迎える気があるかどうか。……研時、私はお前のことを本当の孫のように思っているから忠告してあげるんですよ。まともな育ちの娘ならね、血の繋がらない男を『お兄ちゃん』なんて呼んで甘えたりしないもんだ」

「……ッ」

「男だってそうさ。下心もないのに、赤の他人の女
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Comments (2)
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継代
姿月がクソすぎて、腹が立って 読んでて苦しくなります。 作者さま。早く姿月親子をドン底に つき落としてください。
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Julius
だよね 硫酸浴びて跡が残らない傷なんて あり得ない…姿月の仕込みでしょう そして まんまと騙されるクズ夫www
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