鷹はつまらなそうに「チッ」と舌打ちした。南が一言聞いた。「こんなに可愛い娘がいたら、嬉しくないの?」海人はみっちゃんを一瞥した。小さな頬にえくぼが二つ、宝石のように輝く大きな瞳。まるで人形のように精巧な顔立ちだった。来依との間にこんな娘が生まれたら、もちろん嬉しいに決まってる。けれど、目の前の子は明らかに違った。彼にも来依にも似ていない。二人ともえくぼなんてないし、何より、せめて八重歯くらいは遺伝してもいいはず。でも、それもなかった。「俺と来依には、可愛い娘がきっとできる」南はさっと身を引き、みっちゃんを連れて部屋を出た。二人きりにしてあげようと気を利かせたのだった。そのことを忘れていた鷹が、のんびりと口を開いた。「おめでとう。お前、多分娘ができるぞ」「……は?」南は慌てて鷹の口を塞ぎ、引っ張って隅に連れて行った。「こういうサプライズは、来依ちゃん本人の口から言わせるべきでしょ」鷹は海人と冗談を言い合うのに慣れていたせいで、つい口が滑った。女の子がこういうのに敏感だってことを、すっかり忘れていた。彼は海人の方を見て言った。「……俺の願望ってことにしといて」「……」南は小声で怒った。「黙ってられないの?」鷹は腰をかがめて言った。「じゃあ、黙らせてくれる?一つだけ受け入れられる黙らせ方があるけどね」みっちゃんが二人の間にぬっと顔を出し、好奇心で目を輝かせて聞いた。「ねぇ、おじさん、どんな方法?」明日菜はさっとみっちゃんを引き寄せ、そのまま海人のベッドに近づいて、彼の脈を取った。そして来依に向かって言った。「もう大丈夫よ。二日ほど休めば、帰国しても問題ない。私は往診があるから、先に行くね」ちょうどよく南が言った。「私と鷹が送るわ。あなたたちは話してて」部屋を出るとき、ちゃんとドアも閉めてあげた。車へ送る前に、南は部下に買いに行かせたものを手渡した。「道中で食べて」明日菜は笑みを浮かべた。「ありがとう」車が出発すると、鷹はすぐに南を抱きしめた。南は彼を睨んだ。「本当に、あなたっておしゃべり」鷹は笑いながら、彼女に顔を寄せた。「じゃあ、何も言わないでキスする」「……」……病室の中。海人が来依
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