国外に送ったのは、来依へのケジメでもあった。そして、清孝自身も今回の件で紀香に対して度が過ぎたことを自覚し、自らを省みるためでもある。飛行機が到着すると、南が迎えに来た。実咲はすぐに場に溶け込み、女四人であっという間に食事の約束を取り付けた。鷹と海人は少し遅れて歩いていた。前者は気だるげな足取りで口を開いた。「……由樹に頼まれたんだろ?」海人は逆に問い返す。「お前にも頼んだのか?」鷹は舌打ちしながら言った。「うちの嫁が前に塩成夫人のドレスを作ってさ、すごく気に入られたんだよ。で、塩成夫人って、伊賀家の長男の嫁とめっちゃ仲いいんだよな。その長男の嫁、塩成夫人の大ファンでさ、彼女の言うこと全部聞くって有名な話。お前に頼んでも無理だからって、俺を通して動かそうとしてるっぽい」海人の声に抑揚はなく、淡々と言った。「関わらないほうがいい」鷹は、興味深そうに片眉を上げた。「ほう?理由は?」海人は、飛行機に乗る前の出来事を簡潔に説明した。「確実に言えるのは、近いうちに南は全部を知る。お前が下手に動いたら、絶対に彼女に怒られる」鷹も別に深入りする気はなかった。両手を後ろに組み、肩を揺らしながら言う。「でもさ……由樹、追い詰められて暴走する可能性もあるぜ?」海人もそれを想定して、すでに対策は打っていた。一行は一品旨に到着。女四人が席を囲むと、止まることなくおしゃべりに夢中になった。海人と鷹は空気を読んで、向かいの席に座り、仕事の話を始める。「春香が本当に藤屋家を支えられるなら、これから塩成光と接触することもあるかもな」鷹は口元を歪めて笑う。「そういや、清孝って、塩成と裏で手を組んでたらしいぜ。ただ春香の手前、表には出さなかったみたいだけど」海人は茶を一口すする。「あれは元々、極秘プロジェクトだ。深入りしてたわけじゃない。将来的に接触があるかどうかは……本人次第だ」鷹は声を漏らして笑った。「お前は手助けしないし、俺も止めた。地位を守って藤屋家を発展させるためには、春香もあちこち顔を出すしかないだろう」海人は茶碗を指でゆっくり回しながら、視線を来依の方へと移す。途端に、穏やかな光が目元に差す。しかしその来依は、怨念こもった目で睨んできた。……海人は苦笑するしかなかっ
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