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第1155話

Author: ラクオン
「昨日の自然とのふれあいは、効果あったと思うんですよね」

カンニーは一郎が反応する前に、勝手に話を進めはじめた。

一郎はしぶしぶ付き添い、清孝と共に教会へ向かうことに。

だが、その教会ではなんと撮影が行われており、敷地は完全に封鎖されていた。

さらに周囲には大勢のファンが集まり、黄色い悲鳴が飛び交っている。

その中に聞き慣れた名前が混ざっていた。

——「神埼吉木!」

……うわ、マジかよ。

目を凝らすと、ファンたちが掲げているうちわやボードに写っているのは、やはり吉木本人だった。

なんという偶然、いやもはや因縁か。

「まさか撮影やってるとはね……」

カンニーは肩を落として嘆いた。「この教会はこっちで一番有名な場所なんです」

教会での治療がどうして効果的なのかは、一郎にはわからない。

けれど今やるべきことは一つ。清孝とカンニーを中へ入れる準備だ。

「藤屋さん、ちょっと交渉してきます」

清孝は静かに頷いた。

しばらくして、一郎は無事交渉を終え、二人を連れて中へ。

その道中、ついに我慢できず聞いてしまう。

「カンニー先生、なんでこの教会じゃないとダメなんです?」

「この教会で愛を誓った夫婦は、誰一人離婚していないんですよ。愛の聖地として有名なんです。愛の傷を抱える藤屋さんには最適だと思いまして」

思いましてか……と一郎は眉をひそめた。

この医者、大丈夫なのか。

だが清孝の担当医はこの人だし、海人からも変更の指示はない。

まあいい。自分は自分の役目を果たせばいい。

そう思った矢先、一本の柱の向こうで、ふと足を止めた。

視線の先、芝生の方に、見覚えのある人影。

彼はすぐに清孝を見た。

表情は変わらず冷静――だが、一郎には分かる。彼は長年海人に仕えてきた。訓練も受けているから、物事の本質を見抜く力がある。

だからこそ、清孝の目に一瞬だけ宿った光を見逃さなかった。

明らかに、清孝は紀香がここにいることを知っていた。

やばい、これはまずいぞ。

海人は言っていた。「三ヶ月は絶対に紀香に会わせるな」と。

なのに――ほんの数日で、まさかの対面。

「藤屋さん……」一郎は顔を引きつらせた。「約束、破りましたね」

「偶然の再会まで、俺のせいにするのか?」

一郎は呆れた。「偶然かどうかは、ご本人が一番よくわかってるはずです」

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