「もちろん」綿は即答した。彼女がこれまで正体を隠していたのは、単に面倒ごとを避けたかっただけだった。以前は恋愛にばかり夢中になり、余計な手間を嫌っていたのだ。だが、今は違う。今の彼女には、何のしがらみもない。もう輝明に振り回されることはなく、今度は輝明を自分の周りに振り回させる番だ。恋愛のために自分の人生を犠牲にするようなことは、二度としない。「それじゃ、派手に正体を明かす?それとも、こっそりと?」清墨はワクワクしながら尋ねた。ついに、皆が憧れる「バタフライ」がその正体を現すのだ。興奮しないわけがなかった。「私はこう考えてる」綿は静かに答えた。「まずはアトリエを準備して、オープンの日に私の正体を公開する。事前には、『バタフライが私のアトリエと契約した』って発表しておいて、期待値を最高に引き上げる。それから、アトリエと私の正体を同時に発表するの」「ボス、さすが!俺も全く同じこと考えてた!」清墨はテンション高く叫んだ。綿は思わず大きく目を回した。——今になって同じ考えだと言うけど、さっきは何も言わなかったじゃないか!「それで、清墨君」綿はわざとらしく尋ねた。「アトリエの準備、あなたに任せてもいい?」清墨は大声で笑った。「ボス、この任務、俺に任せてください!完璧に仕上げるよ!場所でも内装でも、要望を教えてくれたらすぐに動く!」綿は軽く「うん」と返事した。「あとでまとめて送るね。よろしく!」「ボスのためなら、何でもやるよ!ていうか、俺たち、今めっちゃ暇だし!」清墨は冗談めかして言った。最近、綿が活動を控えているおかげで、M基地のスタッフたちは暇を持て余していたのだ。綿は数秒間黙った。PCでSH2Nの最新データを確認しながら、ふと冗談めかして言った。「もし私がこのままM基地にいられなくなったら、基地のこと、任せてもいい?」「は?」清墨は一瞬、頭が真っ白になった。綿は黙って彼の反応を待った。しばらく沈黙の後、彼はぼそっと呟いた。「……頭が焼き切れそう」綿はくすくす笑った。「それと」清墨は小声で言った。「ボス、俺、ニュースで見たんですけど……高杉輝明と復縁したって……もしかしてまた恋愛ボケになっちゃって、俺たちのこと見捨てるんじゃ……」清
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